<八月は夜のバッティングセンターで。>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話ストーリー
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高校入学後、女子野球部に入部した夏葉舞(関水渚)はエースとして活躍するが、勝ちを求めるためハードな練習を周囲に強要するように。苦言を呈する秋本美希(池田朱那)に舞は反発。そんな関係の中、追い討ちをかけるような事件が起き、野球から離れた舞はボールすら投げられなくなってしまう。一体何が起きたのか?舞の心を修復するため伊藤智弘(仲村トオル)が説く最後の野球論とは!
ベースボール・ヒューマンドラマ最終回!
第9話レビュー
の悩める女性は、他でもない、舞(関水渚)自身だ。
舞が投げたボールが腕に当たった美希は、翌年の復帰はおろか、まずは完治を目指さねばならぬ状況だった。
チームメイトがまた一緒に野球をやろう、美希のケガは誰が悪かったわけでもない、と言いに来てくれた。だが美希の手に当たったボールを投げた際、彼女と意見が対立して腹を立てていた舞は、わざとではないが本当に自分に邪心はなかったか、ずっと自問自答してきた。球が投げられなくなってしまったのは、人から野球を奪った自分への報いだと思っているのだ。
ここで口を開いたのが伊藤(仲村トオル)。
「俺は、お前の心を治しにきたんだよ」
元バッテリー相手の舞のおじに頼まれ、やってきたという。
もうどうしたらいいかわからない、美希に顔を合わせるのが怖い、勇気が出ないという舞。
「今までここで出会ってきた女性たちのことを思い出せ」という伊藤。
「みんなはじめは今のお前と同じように弱音を吐いていた、それでも彼女たちはみんな一歩前に進んだ。怖くても、情けなくても、踏ん張って歯を食いしばって、前に進んでたじゃないか。お前、その姿を見てきたんじゃないのか?」
伊藤が毎日バッティングセンターにきていたのは、お前にひとつでも多くの勇気を見てもらいたかったからだ、という。
思い悩むことの多い高校時代、お前の心を治しにきたんだよと手を差し伸べてくれる大人がいたらどんなによかっただろう。少々変人だけど、伊藤が気づかせてくれたことは多い。舞がちょっとうらやましい。
今まで冷静に女性たちを見守る立場だった舞が、取り乱している。いくら勇気を出して前に進んだ女性たちを見ているとはいえ、自分の問題となると別なのだな、と当たり前なのだが思った。
ライフイズベースボールの世界に来るも、勇気がなく逃亡する舞。
「今のお前にいちばん見てほしいピッチングをする男だ」
現れたのは上原だった。
「あの表情、あの気持ちが、野球人にとっていちばん大事なものじゃないか。お前がまだ野球人なら、感じるはずだ」
「お前の根っこには、野球があると思ってた。でも違ったんだな。お前はもう、野球が心底嫌いになったと。そんなに嫌いなら、捨てちまえよ野球なんか」
「嫌いなわけ、ないでしょ!!」そう言いながら球を投げた舞に、笑顔「ナイスボール」「マウンドに行ってこい」と声をかける伊藤。
「野球は好きか?」「大好き!」「じゃあ大丈夫だ」
泣きながら答える舞と笑顔の伊藤に、こちらの涙腺もゆるむ。
上原は「最後はお前が決めろ」と言って去っていく。
現実世界に戻り、意を決して美希の家に行く舞。
未希は「見て、ギブス取れた。ブイブイ」「言ったでしょ、どんなことがあっても諦めないって」と笑顔で迎え、舞を抱きしめ頭をなで「最後の夏、一緒に出るよ」と言う。素晴らしい友情だ……。
役名がわからなかったけど、バッティングセンターに来てくれ、このシーンでも見守ってくれたお友達もとてもいい子だ。
野球をまたやることに決めた舞を、途中まで送っていく伊藤。別れるときの二人のやり取りがいい。
舞を演じた関水渚は、自身も高校時代、野球部のマネージャーだったらしい。毎回ユニフォームにジーンズの短パン姿という独特のファッションがとても似合っていた。健康的なスポーツ少女っぽい感じと、何かを思い悩んでいる様子、仲村トオルとのやり取りもとても自然だった。彼女が今後どんな役を演じるか楽しみだ。
伊藤は去っていき、おじ「岡田圭右)と話す舞。バッティングセンターのボールにまぎれた硬球には「Life is Baseball 臆せず前へ 伊藤」と書かれていた。
「大きなお世話、ありがとうございました」と、あまのじゃくと思いきや、素直な反応をする舞。
伊藤から舞へのメッセージは、そのまま視聴者へのメッセージのようにも感じた。8人の女性たち、そして舞の勇気を見せてもらった今、勇気をもって前に進んでいけそうだ。
そして野球にまったく興味のなかった筆者だが、野球を好きな皆さんがなんであんなに野球を愛しているのか、世界をのぞかせてもらってほんの少しだけわかる気がした。
ありがとう、「八月は夜のバッティングセンターへ」。
※この記事は「八月は夜のバッティングセンターで。」の各話を1つにまとめたものです。
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(文:シネマズ編集部)
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