<スナック キズツキ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
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傷ついた客だけがたどり着く“スナック キズツキ”。コールセンターにクレーム電話をしていた安達さん(平岩紙)もまた、傷ついている。わがままな客や同僚、電車での迷惑行為…いつも、自分ばかり損していると嘆く。しかし、スナック店主のトウコ(原田知世)と一緒にピアノを弾きながら、自らの愚痴を歌にすると、不思議と心が晴れやかに…。今日もまた、トウコの不思議な癒しの力で、誰かの心が救われます!
第2話のレビュー
「人はみな、傷つきながら、傷つけながら生きてる。」をコンセプトとした本作。あっという間に一週間が過ぎ去り、また砂埃みたいなモヤモヤが心に積もった。
どうしてあの人は平気で誰かを傷つけるのだろう?いいなあ、自分勝手に生きられて。だけど、もしかしたらあの人もまた同じように傷ついているのかもしれない。
第2話でトウコ(原田知世)のスナックに辿り着いたのは、総菜屋で働く安達よしみ(平岩紙)。コールセンターに苦情を入れ、イライラをぶつけていた彼女も誰かを傷つける一方で、傷ついた人間だ。
安達さんは一言で表すと、“損する人”。「言ったもの勝ち」という言葉があるけど、一つの主張が通るときには絶対裏に我慢した人がいる。安達さんは歯医者の予約をしているのに、同僚の急なシフト変更依頼に応じてしまうし、残り1つのクロワッサンを別の人に譲ってしまう。ひたすら優しい。でも誰かがそれを見て褒めてくれるわけでもなく、モヤモヤは溜まりに溜まってゆく。
特にバスのシーンなんて、思わず「わかるな〜」と零してしまうほど既視感があった。電車でもそうだが、大股開きで席に座っている人。運賃を払うときにもたついて、後ろの人を困らせる人。笑顔で寛容なフリをしていても、「私だったら、もっと他の人の迷惑にならないようにするけどね」と心の中でチクリ呟いてみたりする。
誰もが完全なる善人ではいられない。安達さんはイライラをコールセンターのオペレーターにぶつけた。本来それは、自分を傷つけた相手にぶつけるべきもの。だけど、ちょうど今クール放送されている「それでも愛を誓いますか?」に登場するセリフを借りるならば、“言わないで後悔すると癖になる”。今日こそ、自分の思っていることを言うぞ!と意気込んでいても、いざ相手を目の前にすると怖気づいてしまうのだ。
こちらの主張に対する相手の反応に傷つくくらいなら、自分が我慢したほうがマシ。一方、コールセンターのオペレーターは顔が見えない相手だから言いたいことがスラスラと出てくるのだろう。
だけど、誰かにつけた傷は自分に跳ね返ってくる。安達さんはオペレーターを傷つけながら、そんな自分にまた傷ついていたのだ。
トウコがそんな安達さんに提供したのは、ラッシーとミネストローネ。刺激のない毎日を送る中田さん(成海璃子)にはちょっとスパイスの効いたカレーを振る舞っていたが、今回は“甘さ”と“温かさ”で誰かの優しさが足りない安達さんを包み込む。
ロールピアノでセッションする二人の演奏シーンもやっぱりシュールだけど、癒される。「潰れかけた店でピアノを弾く」というフレーズを歌うトウコ。冒頭でこぐま屋さん(浜野謙太)が言った余計な一言を、意外にも気にしているところが可愛い。
そんな彼女に触発されて、安達さんも自分の愚痴を歌に乗せていく。気持ちを吐き出すことで気づけたのは、他人を優先してばかりで放ったらかし続けた自分自身。きっと安達さんが一番自分のことを傷つけてしまっていたのだろう。トウコにひたすら甘やかされた安達さんは、心の蓋にしまい込んだ傷を取り出して癒すことができた。
トウコの優しさが安達さんを温めたように、安達さんの優しさもまた誰かを温めている。傷つけられた分、誰かを傷つけるのではなく、優しくされた分、誰かに優しくしたい。そのためには自分をとことん甘やかす必要があるのだ。
劇的に自分を変えられなくても、「ご来店時ラッシー1杯無料」の名刺がきっと安達さんを助けてくれる。
※この記事は「スナック キズツキ」の各話を1つにまとめたものです。
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