<スナック キズツキ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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今回スナック キズツキを訪れるのは裕子の娘で芽衣(吉柳咲良)。17歳の芽衣は、大学進学のことばかり気にする大人達にもやもやするが実は夢がある。そんな中、片想いの人にばったり出会い良い感じの雰囲気になるが…。雨宿りで訪れたキズツキでホットサンドを食べる芽衣。今を大切にしたい芽衣は今ここにいる私って、価値がないってことなのかな』とトウコに打ち明け、今の自分を忘れないためにと驚きの方法を提案する。
第9話のレビュー
都会の路地裏でひっそりと営業する「スナック キズツキ」。そこに辿り着くものはみんな何かに傷つき、そしてまた誰かを傷つけている。そんな痛みや罪悪感をひと時“忘れたい”という気持ちが、彼らをキズツキに向かわせるのかもしれない。
だけど、今夜キズツキに訪れた少女は痛みもすべて“忘れたくない”と願う。
彼女の名前は芽衣ちゃん(吉柳咲良)。南さん(堀内敬子)の娘で、進路に悩む17歳の高校生だ。
芽衣ちゃんがベランダで気になる人の姿を見つめながら、友だちとお昼ご飯を食べる光景が眩しい。あまりの眩しさに思わず目を細めてしまうほど、キラキラと輝いている。
将来のことばかり気にする大人たちに不満を抱えている芽衣ちゃんだが、無理もない。
「生きてる分だけ荷物も多くなる」。こぐま屋さん(浜野謙太)がそう語るように、大人になると色んな責任がのしかかる。会社で与えられた役割を果たさなきゃいけない、大切な家族を養っていかなきゃならない。そんな重い荷物を少し軽くする、学歴やステータスがあれば……。そう思って子供たちにはつい口を出してしまうが、1秒たりとも見逃せない宝物のような日々が学生時代には詰まっている。
けっして楽しいことばかりじゃない。学生の頃だって、もう立ち直れないかもしれないと思うほど深く傷つくことがある。
芽衣ちゃんはこの日、失恋した。気になる人に彼女がいたのだ。
トウコ(原田知世)がスマホの操作を教えてもらったお礼に振る舞ったホットサンドを一口食べ、芽衣ちゃんは涙を流す。南さんも前回、シュークリームを食べて泣いてたっけ。食べ物を口にすると、安心して思わず涙が出ちゃうところに血の繋がりを感じる。
だけど、たくさん傷ついたはずなのに、「17歳の自分をずっと覚えていたい」と失恋した思い出ごと抱きしめる芽衣ちゃんは強い。傷ついた今日を記憶に留めるため、雨の中に飛び出す姿を見て、清竜人が歌うオープニングテーマ「コンサートホール」の冒頭フレーズを思い出した。
♪ 愛されず愛さずに 傷付けられず傷付けずに 生きていけたらいいな
笑わず怒らずに 涙せず喜ばずにいられたら どれだけ楽で苦しいかな
私たちは誰かを愛するからこそ、傷つく。傷つくからこそ、誰かを愛さずにはいられない。
涙が出るほど辛い日もあるから、嬉しいことがあった時に思い切り喜ぶことができる。
それはいつも対になっていることを、芽衣ちゃんは教えてくれた。地団駄を踏むような日々を越えた南さんの瞳に、夢を語るキラキラとした芽衣ちゃんの表情が映るように。
第9話は、芽衣ちゃんの輝きを目の当たりにしたトウコの、いつもとは違う表情が印象的だった。一度は夢を叶えたものの、背負い続ける自信がなく手放してしまったというトウコ。
「真っ直ぐだけだとぶつかって、その度に傷ついて……傷だらけだよ」
いつもそっと傷ついた者たちを迎える彼女もまた、傷ついているのだ。次週はトウコの過去を知るヒントとなりそうな、瀧井くん(小関裕太)の兄・和也さん(八嶋智人)がキズツキを訪れる。
※この記事は「スナック キズツキ」の各話を1つにまとめたものです。
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