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2021年11月10日

<SUPER RICH>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<SUPER RICH>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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氷河衛(江口のりこ)は、アパートを引き払い無一文で実家に帰ることも出来ないと言う春野優(赤楚衛二)を自分のマンションに連れて行く。すると、マンションの前で宮村空(町田啓太)と今吉零子(中村ゆり)が待っていた。

『スリースターブックス』に戻った衛は、当座必要なお金の工面について幹部たちと話し合う。空たちは一ノ瀬亮(戸次重幸)を探して金を返してもらうか、警察に被害届を出した方が良いと迫るが…。

その頃、優も『スリースターブックス』について来ていた。宿泊先のあてがないと言う優は、空に編集部へと連れていかれる。空は碇健二(古田新太)に頼んで、仮眠スペースで優を預かってもらうことに。

翌日、衛が出社すると島谷聡美(松嶋菜々子)が来ていた。聡美は『MEDIA』社との業務提携を衛に持ちかける。『スリースターブックス』存続に必要な金を出すと言う聡美だが、衛に対してある条件を提示し…。

第2話のレビュー

これから、大変恐ろしい話をしなければならない。私たちが「町田啓太に騙されている」可能性が出てきてしまったからだ。

本記事は「SUPER RICH」2話のレビュー記事だが、その感想を連ねる前に、時間を1話に戻させてもらいたい。

1話の冒頭。江口のりこ演じるセレブ社長・氷河衛はメンタルクリニックで診察を受けている。戸次重幸演じる一ノ瀬の裏切り(?)に遭い、全財産を失った後の展開だ。最終的には、顧客の情報を売っている悪徳メンタルクリニックであることがわかり、氷河はその場を後にしたのだが……。

おかしくないだろうか?

「氷河がメンタルクリニックで診察を受けるシーン」は、よくよく考えたらこの物語に必須ではない。もちろん1〜2話の時点で早まったことは言えないが、単に氷河の過去を回想したり、一ノ瀬の存在の大きさを視聴者に示したりするだけなら、メンタルクリニックを登場させる必要はないのである。

メンタルクリニックを予約したのは誰か?

氷河の下で働く仲間のひとり、宮村空(町田啓太)である。

「(メンタルクリニックは)都心の一頭地にあるのに、当日予約が取れたなんておかしい」と氷河は言っている。確かにおかしい。もともと宮村が悪徳メンタルクリニックと繋がっていたと仮定したら、どうだろう。会社を窮地に陥れるため、社長である氷河や、スリースターブックスの情報を流していたと考えてもおかしくはない。

また、急にいなくなってしまった一ノ瀬と宮村が繋がっている可能性もある。会社を離れざるを得ない一ノ瀬としては、宮村というスパイがいてくれた方が、社内の情報も得られて動きやすくなるだろう。

そう考えると、「今の自分がまっとうに働けているのは社長のおかげ」と、やたらに”忠犬感”を出しているのも怪しい。主人公に一番近い人間、もしくは主人公を最も慕っている人間が黒幕なのは定番である。

これで結果的に彼が黒幕だとしたら……!?

考えるだけで恐ろしい。

「チェーホフの銃」をご存知だろうか。「物語の冒頭に銃が出てきたら、後半でその銃は撃たれなければならない」。ロシアの劇作家であるアントン・チェーホフにちなんだ、有名な作劇術である。つまり、物語に必要なものは、冒頭に登場するのだ。

筆者は、ドラマ「真犯人フラグ」の考察・感想も担当しているため、どうやら変な勘繰り癖がついてしまっている様子……。

さて、話を2話に戻そう。

生まれながらに裕福で、お金に困ったことがないセレブ社長・氷河衛。そして、貧乏苦学生でありながら、目的に対しては熱く懸命な子犬系男子・春野優(赤楚衛二)。「お金」を軸に展開される本作の2話は、なぜか大怪我をして入院している一ノ瀬と、彼に殴りかかる氷河のシーンから始まる。

氷河のマンション前までやってきた一ノ瀬を、たまたま春野が発見。逃げた一ノ瀬を追いかけるも、ギリギリのところで逃がしてしまう。それ以降、最も一ノ瀬が現れる可能性の高い石高興業前で張り込む作戦に出た春野(1話の時点で、一ノ瀬が目撃されている場所である)。

奇跡的に一ノ瀬を発見できたが、彼は殺される直前までボコボコに殴られた状態だった。病院へ搬送された事実が氷河に知らされる。再会することになった一ノ瀬と氷河は「金返せ!!!」「金はない!!!」と応酬することになってしまう……。

かつては共同経営者として共に手を取り合った仲なのに。なんと一ノ瀬は、おそらく闇金と思われる相手から、収拾がつかないほどに金を借りてしまっていた。首がまわらなくなっているにもかかわらず、氷河に言い出せなかったらしいのだ。

2話終盤、病院の窓から飛び降り、そのまま逃走してしまった一ノ瀬。筆者は本記事の冒頭で「黒幕は宮村空では?」と書いたが、自信が持てなくなってきた。



それはそうと、なんとか1億円をかき集めないと倒産してしまう窮地に立たされたスリースターブックス。衛の元上司であり「MEDIA」社の社長でもある島谷(松嶋菜々子)が助け舟を出してくれた。純利益1500万を条件に、業務提携をしてもいい、と。

1億円をかき集めるよりは現実的だ、と宮村たちは胸を撫で下ろすが、純利益1500万だって簡単ではない数字だ。東海林(矢本悠馬)は「使ってないフロアの電気は消して、フリードリンクも廃止して、それでようやくいくらになると思いますか?」と氷河に現実を突きつける。良いところ数万円だ、と。

裕福すぎたせいでお金には無頓着だった氷河に対し、実質的な視点を与えてくれる役目が、東海林なのだろう。

余談だが、筆者は島谷社長のことも、黒幕ではないかと疑っている。業務提携という名の「乗っ取り」を提案してきたことからも、何かを企んでいるとしか思えない……。

一ノ瀬を見つけて金を返してもらえれば、MEDIA社の乗っ取りを避けられるかもしれないと、一縷の望みをかけるスリースターブックスの社員たち。しかし、蓋を開けたら一ノ瀬は金を使い込んでしまっていて、再び行方しれずになってしまった。

今回はとくに、氷河の社長っぷりが光っている。

普通なら、真っ先に人件費から削って金を捻出させようとする場面だ。それなのに、彼女はそれをしない。宮村をはじめ、設立当初から会社を支えてくれた仲間たちに丁寧に感謝を述べる。インターン生たちにも、約束の給与20万をしっかり払ってみせた。



いきなり転がり込んできた春野に対してだって、決して邪険にはせず、自宅で風呂に入れさせたり食事を提供したりしている。彼女は生まれながらに裕福で、家族の愛は知らずに育ったかもしれないけれど、仲間たちの支えのおかげで優しさあふれる自立した女性になったのだ。



スリースターブックス存続のため、もう1億円をかき集めてくることはどうしても無理だ。逃げた一ノ瀬から金を返してもらうことも望み薄。にっちもさっちもいかなくなった氷河たちは、オフィスを解散し、別宅で再スタートを切ることを選択する。

「ようこそ、我が家へ!」

お金のありがたみを知らなかったセレブ社長が、図らずも無一文になり、仲間とともにゼロからやり直していくストーリー。

今後、一ノ瀬は帰ってくるのだろうか。はたまた、筆者が想像(妄想?)したような黒幕は存在するのだろうか。「腹を空かせたやつを見ていられないだけだ」と言って春野にラーメンをご馳走した宮村が、悪いやつだとは思いたくない……! どうか、この予想が外れていることを祈る。

※この記事は「SUPER RICH」の各話を1つにまとめたものです。

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