あなたはいくつ知ってる?2021年公開ミニシアター系映画ベスト10

第6位:『ずっと独身でいるつもり?』@シネクイント

ドラマ「M 愛すべき人がいて」「最愛」など、女優としての飛躍が話題な田中みな実の映画初主演作品となった『ずっと独身でいるつもり?』。

結婚に悩むライター・まみ(田中みな実)、自由な独身女子・由紀乃(市川実和子)、フォロワーはいても孤独な主婦・彩佳(徳永えり)、終焉を迎えつつあるパパ活女子・美穂(松村沙友理)。異なる生きづらさを抱える女性4人の物語は、20〜30代女性にとって凶器ともなり得るほどの威力を持つ。



「女だから」とか、「結婚=幸福」「独身=孤独」とか、「あーもうまじでうっせぇわ」とAdo並に叫びたくなる固定観念。それらを吹き飛ばしてくれる力強いラストにスカッとさせられた。

制作陣やストーリー、キャストから女性客が多いことが想像できるし、実際に観に行ったときも観客の9.5割が女性だったけど、女性にフィーチャーした作品だからこそ男性に観てほしいと切に願う。

女優・田中みな実の迫真の演技もさることながら、橋爪淳のイケオジ加減に完全にやられた。

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第5位:『由宇子の天秤』@ユーロスペース

監督・脚本・編集・プロデューサーと大役を担った春本雄二郎による完全オリジナル作品『由宇子の天秤』。

“ドキュメンタリーディレクターの由宇子(瀧内公美)を中心としたストーリー”という前情報しか知らないまま観に行った筆者には、あまりにも衝撃が強すぎた。とあるシーンを境に、予想だにしない方向に物語が進んでいく。



ドキュメンタリーディレクターとして、正しさを突き詰めていくことを生業としている由宇子が、突如逆の立場に置かれてしまったら。その後が描かれていないからこそリアルだし、できることなら見たくない。”自分のことを必要とする人のために尽くしすぎる”由宇子がこれ以上苦悶する姿に耐えられる自信がないからだ。

また、本作品の中で重要な役柄を務める新星・河合優実にも注目してほしい。
映画『佐々木、イン、マイマイン』『サマーフィルムにのって』『偽りのないhappy end』と、立て続けにまたたく間に足跡を残している彼女。どの映画を観ても全く異なる印象の河合優実であり、唯一無二な存在感として光り輝く不思議な魅力を持つ。
河合優実演じる小畑萌の不気味さには、最初から最後まである種の恐怖を感じさせられる。

“正しさ”とは何なのか?

鑑賞後、取り憑かれたように考え込んでしまう作品だ。

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第4位:『アナザーラウンド』@シネクイント

第93回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『アナザーラウンド』。

洋画をあまり観ない私が、公開前から「絶対観る」と決めていた本作品。なんたって、マッツ・ミケルセンはボトルごと酒飲んでるし、コピーは”人生に祝杯を”。こんなの、酒好きが観ないわけにはいかない作品でしょう。



就職や結婚など人生における大きなイベントを終えて、特段楽しみもないパッとしない毎日を送る4人の男たち。そんな彼らが思いついた”常に酔った状態をキープする”というとんでもない実験により、冴えないおっさんから一変、意気揚々としたイケオジに変貌していく様が愉快でたまらない。

だが、この映画を観るにあたって、ひとつだけ気をつけていただきたいことがある。

「4人の男たちが酒をキッカケとしてただただ人生が充実していく映画」と認識したまま観はじめてはいけない。決して間違ってはいないのだが、後々、本作品が”本当に伝えたいこと”が見えてきたときにあまりのつらさに逃げ出したくなってしまうからだ。

そう、『アナザーラウンド』は、ただのコメディ映画じゃない。酒が”娯楽”から”依存”に変わっていくことによる”快楽”から”苦難”へのコントラスト、そして、観終わってはじめて理解できる"人生に祝杯を"のコピーの意味

酒飲みな人にもそうじゃない人にも観てほしい作品だ。

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