<ミステリと言う勿れ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
>>>「ミステリと言う勿れ」の画像をすべて見る
久能整(菅田将暉)がカレー作りを楽しんでいると、スマホに風呂光聖子(伊藤沙莉)から着信。イヤな予感を覚えながらも応答した整に、風呂光は案の定、事件の謎解明を手助けしてほしいという。それは、闇サイトにアップされた爆破予告場所の特定だ。予告にはアルファベットの暗号文が付記されているが警察官たちは解明出来ない。昨日は品川に仕掛けたとアップされたが、幸い予告に書かれてたビルが特定されたため爆弾が発見されて未遂に終わる。だが、再度予告があり、今回は大隣署管内に仕掛けられたため、池本優人(尾上松也)が整に協力を求めようと風呂光を向かわせたのだ。
風呂光の迎えで、整はまたしても取調室へ。民間人への捜査協力は青砥成昭(筒井道隆)たちに知られるわけにはいかないからだ。整は昨日の暗号文の謎を解く。そんな時、二つ目の爆弾が発見されたと知らせが入る。整は風呂光に暗号解読力を褒められるが、何かが引っかかる。そんな中、闇サイトへの投稿アドレスから容疑者が割り出され、被疑者が取調べを受けるが犯行を否定。池本と風呂光は容疑者を、ほぼ黒だと確信するが、青砥はアドレスが簡単に特定出来たため、ぬれぎぬではないかと疑う。
次の日、青砥の懸念通りに3度目の予告がアップされた。そんなことを知らない整は雨の中を食事に出かける。すると、見知らぬ男(柄本佑)に声をかけられた。しばらく会話を交わした整は、男が記憶を失っていることに気づく。
第4話のレビュー
突如起きた連続爆弾騒ぎ。犯人から送られてくる「爆発予告文+暗号」が大きな手がかりだ。風呂光(伊藤沙莉)をはじめとする警察は「無事に暗号を解けたら爆発物の在処を突き止められる(=爆発を止められる)」とし、整(菅田将暉)に協力を要請する。
持ち前の洞察力で、暗号を解き明かしてみせた整。ランダムに並んだアルファベットは小説のタイトルを表しており、その作家名=場所であることが判明した。いつものことながら、警察よりも頼りになる整は健在である。
このとき、整は一つの疑問を持つ。
なぜ、犯人はわざわざ暗号を送ってくるのか?
仮に、ただ恨みを晴らすだけなら、警察には知らせずに爆発物を仕掛けるだけで事足りるはず。爆弾を仕掛けた犯人の目的は「何かを伝える」ことにあるのではないか。もしかしたら、世の中に対する大きな恨みを持っているのではないか。整の想像は膨らんでいく。
そんな矢先、またもや新しい予告文+暗号が。次は墨田区にある3階造りの建物で「人生最悪の思い出の場所」に仕掛けたとのこと。
タイミングを同じくして、整はとある男と出会う。
雨に降られながら、三好達治の詩を朗読する男。なんと彼こそが一連の爆弾騒ぎの犯人(柄本佑)であり、今まさに”新しく仕掛けた爆弾が爆発する瞬間を見に行くところ”だったのだ。
しかし、不運なことに(?)爆弾魔はその道中で交通事故に遭い、記憶をなくしてしまう。記憶喪失の爆弾魔の出来上がりだ。
ポテトサラダを食べに行く途中だった整。「ポテポテしちゃうぞ」の歌がなんともかわいらしく、実写で再現してくれてありがとう……! と思わずにはいられなかった。前回の「サラサラになってもイケメンになるわけではない」のシーン同様、かわいい整くんが再現された瞬間である。
それにしても、ご飯を食べに向かう最中で爆弾魔と遭遇するなんて、整も運が良いのか悪いのか。風呂光に爆弾魔の存在を電話で伝えたところ「なんとか爆弾の在処を聞き出してください」「残り1時間、話をつないでください」「整さんが頼りです!」と言われてしまい、壮大な責任を背負わされてしまう。
すっかり記憶をなくした爆弾魔を相手に、爆弾の在処を聞き出すミッションを与えられた整。わずかな取っ掛かりを頼りに話を進める中で、少しずつ爆弾魔の背景が明確になっていく。
どうやら彼は地下鉄に乗ろうとしていたらしい。時計を30分早く進めているのは、小学4年生の頃の担任教師の教えだ。遅刻癖を治すための措置らしい。この担任教師とは、一緒に三社祭や東京タワーへ出かけたこともあるという。
彼の母親は、父親と離婚して家を出ていってしまった。父親も別の女を作って自宅に帰らない日が続く。部屋は荒れ、食べるものはなく、身なりに気を遣う余裕もない。どんどんみすぼらしくなる彼は、同級生からイジメに遭う。
イジメに遭う彼を見かね、担任教師は色々と世話を焼いてくれたのだろう。しかし、それも妬みの対象となり、攻撃を受けた担任教師は別の学校へ飛ばされてしまう。
寂しく悲しい過去を持っているらしい爆弾魔に、整は問いかける。
「なぜ、あなたの母親は出て行ってしまったのですか」
その質問に、爆弾魔は「捨てられたんだ」と答えた。そのせいで身なりに気を使う余裕もなくなり、イジメに遭い、楽しいと思えることは一切なくなった。すべて母親のせいだ。いつか思い知らせてやりたかったのに「あの女は俺が小6の頃に亡くなった、俺の知らない場所で、俺の知らないうちに」。
ここまでの一連の話で、整は新しい爆弾が仕掛けられた場所を突き止める。
三好達治の詩を朗読し、時計を30分早く進め、担任教師には三社祭や東京タワー(333メートル)に連れて行ってもらった。やけに「3」のつく話ばかり繰り返していた爆弾魔に、整はピンときたのだ。
爆弾魔が乗ろうとしていたのは、地下鉄メトロ3号線の「銀座線」。彼は浅草の三社祭には「行った」、東京タワーには「連れて行ってもらった」と表現したことから、子供の頃は「浅草に近く東京タワーからは遠い場所」に住んでいたと推測できる。
浅草駅から隅田川を渡り向島方面へ向かうと、雨乞いで有名な「三圍神社」がある。爆弾魔が学校をサボって行っていたのはこの神社であると予想。
近くに、彼の母校である花輪小学校がある。彼にとって「最悪の思い出の報いを受けるべき場所」は、イジメに遭い、大切な相手(=担任教師)を失った小学校なのではないか。
脅威の洞察力で、これまでに爆弾魔から与えられれた予告文+暗号を3つ俯瞰して解き明かし、爆弾が仕掛けられているのは音楽室であることまで警察に教えた整。無事に爆弾は処理され、記憶喪失の爆弾魔は逮捕されるに至った。
彼の名前は三船三千夫。「3」は神聖な数字であり、名前に入れると縁起が良いそうだ。
記憶を取り戻し、爆弾騒ぎも阻止された三船は、力尽きたように滔々と話す。実は、自分を助けてくれた担任教師こそ、自分を捨てた実の母親だったのだ、と。彼は本当は母を恨んでなどおらず、母校のことも、大切な思い出の場所だと認識していた。
覚えているのがつらいから、なくしてしまいたい。けれど、守りたい。相反する記憶の間で、彼も苦しんでいたのかもしれない。
またもや、整の不思議な喋りで、一人の命があたたかく救われた。大学で心理学を勉強している整、ぜひ多くの人を救うカウンセラーになってほしいと思いながら、見届けた4話だった。
※この記事は「ミステリと言う勿れ」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン