続・朝ドライフ

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2023年08月26日

<らんまん・植物学者編(2)>21週~24週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<らんまん・植物学者編(2)>21週~24週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第117回のレビュー

5年が経過して……とすると明治35年?(寿恵子が渋谷に降り立ったのが30年)、万太郎(神木隆之介)がだいぶ渋い人になりました。

波多野(前原滉)なんてかなり白髪まじりになって、教授になると苦労が絶えないことを感じさせます。綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)の屋台・樽桶で、田邊(要潤)の気持ちがわかるとぼやきます。

でも波多野は、大学に出入りしている藤丸(前原瑞樹)のことを周囲が何か言っても僕が何も言わせないと毅然とした意思を見せます。すばらしい。まあ、田邊も最初のうちは万太郎をかばっていたのだと思いますが。

藤丸の研究により、女性が腐造の原因ではないことが立証されて、綾は長年の苦しみから解き放たれました。

「みんな進みゆうのう」と万太郎はしみじみします。

家に帰ると、南方熊楠なる人物から長文の手紙が来ていて(万太郎いわく「ほとばしっとるのう」)、新種に学名をつけたという内容でした。

虎鉄(濵田龍臣)は、「わし、この人はちっと……」「このかたの態度は……」と嫌悪感をあらわにしますが、万太郎は「恒星みたいじゃ」と南方熊楠の出現を喜びます。熊楠の情熱と傍若無人っぷりは昔の万太郎みたいでもあります。万太郎が昔のわしもそうだったと気づいたかはわかりませんが。

南方熊楠は博覧強記の博物学者。万太郎のモデルの牧野富太郎以上の型破りなレジェンドです。実際に、牧野と熊楠は会っていたのでしょうか。

対面はかなわなかったものの、ドラマのように書簡での交流はあったそうです(白浜町の南方熊楠記念館で、ふたりの関係性を題材にした特別展が10月9日まで開催中)。

そうかと思えば、熊楠が送ってきた「ハチク」。120年に一度くらいの周期で花が咲き、そのあと枯れてしまうと言われていますが、なにぶん、120年に一度の出来事なものではっきりした生態がわからないでいたところ、2020年、120年ぶりに東広島市内でハチクが開花し、広島大学のチームが3年かけて研究した結果、やはり枯れてしまったと発表されました。ただ、花が咲いたら一斉に枯れることは確認できたものの、一斉に枯れてもハチクが絶滅しない理由等々、まだ謎はとけないのだとか。神秘ですねえ。

ちょうど、120年前というと「らんまん」の時代です(2023年の120年前は1903年、明治35年だと1902年)。今年の5月、熊楠が牧野に送った標本のなかにハチクが含まれていたというニュースが報道されました(朝日新聞デジタル5月12日の記事より)。第117回のエピソードはこのニュースをもとに描かれたのかなと推察します。熊楠の標本に「明治36年」とあり、1903年、ちょうど120年前です。

ものごとには周期があり、繰り返されます。波多野が田邊の心情を身をもって体験したり、万太郎の前に燃える新星が現れたりと、繰り返されるのです。が、そのつど、検証し、お酒の迷信が破られるように、少しずつアップデートしていくのです。未来は、よりよい方向へと進化していく。

※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。

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