<らんまん・植物学者編(2)>21週~24週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第118回のレビュー
夜、寿恵子(浜辺美波)が仕事から帰宅すると、万太郎(神木隆之介)が外に寝そべって星を見ながら、南方熊楠の論文を読んでいました。モデルの牧野富太郎の妻は、渋谷に店を持つにあたり別居していたそうですが、寿恵子は通いです。夜遅く、どうやって帰って来ているのか。人力車でしょうか。牧野富太郎は、下宿から帝国大学まで人力車で通うという贅沢をしていたそうですが、ドラマでは寿恵子がそうなのかもしれません。想像でしかありませんが、待合茶屋、繁盛してそうなので、問題ないのでしょう。
寿恵子は万太郎の肩にもたれて空を見上げ、植物図鑑に思いを馳せます。寿恵子は色っぽさもあり、強さもある人です。商売人の女性という感じ。
万太郎は、南方熊楠の送ってきたハチクの標本を見せます。120年に一度花が咲き、そして枯れてしまうのだと聞いた寿恵子は、吉兆なのか凶兆なのか、とこわがります。強そうなのに、こういうことには繊細なのです。
万太郎は「人の世に異変が起きるとき竹の花が咲く」と言い、寿恵子は花の咲いた標本の日付が先月であることに気づきます(明治36年6月)。「花が咲いたんですね」と怯える寿恵子。翌年、1904年、日露戦争が起きて、日本は軍需景気で活気づき、鉄道の電化がはじまり、渋谷も賑わっていきます。
渋谷にも電柱が立って、明るくなりますが、その傍らで伐採された切り株のことを、寿恵子は慮るのです。さすが、植物学者の妻。
万太郎のほうでも、野宮(亀田佳明)から手紙が来て、そこには南方熊楠が、森がなくなる神社の合祀を反対している、万太郎にも協力を仰ぎたい旨が書かれていて、心を動かします。
第117回で、「ハチク」の標本が出てきたので、先走って、下記のレビューを書きました。
そうかと思えば、熊楠が送ってきた「ハチク」。120年に一度くらいの周期で花が咲き、そのあと枯れてしまうと言われていますが、なにぶん、120年に一度の出来事なものではっきりした生態がわからないでいたところ、2020年、120年ぶりに東広島市内でハチクが開花し、広島大学のチームが3年かけて研究した結果、やはり枯れてしまったと発表されました。ただ、花が咲いたら一斉に枯れることは確認できたものの、一斉に枯れてもハチクが絶滅しない理由等々、まだ謎はとけないのだとか。神秘ですねえ。ちょうど、120年前というと「らんまん」の時代です(2023年の120年前は1903年、明治35年だと1902年)。今年の5月、熊楠が牧野に送った標本のなかにハチクが含まれていたというニュースが報道されました(朝日新聞デジタル5月12日の記事より)。第117回のエピソードはこのニュースをもとに描かれたのかなと推察します。熊楠の標本に「明治36年」とあり、1903年、ちょうど120年前です。
が、ハチクの件は第118回で手厚く描写され、タイミングを間違えたと反省しました。
117回で、「5年後」と、正確な年号が出てこなかったのも、第118回で、日付を強調するためだったようです。このように、その瞬間、すべてを描くのではなく、あとの劇的効果を狙った構成というものがあるので、なんでもかんでもその瞬間に判断すべきではないのです。
なので、この回、土佐出身の”ハヤカワ”という人物の名前が出てきましたが、それについては先の展開を待とうと思います。
ハチクは、世の中が変わっていくことの象徴です。コロナ禍が起こった2020年に花が咲いたというのは、まさに死と再生の象徴ではないかとどきどきします。
神社の合祀によって神社の森がなくなってしまう事態も、最近、話題の、明治神宮外苑地区の再開発に伴う樹木の伐採計画を思わせます。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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