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“若さ”と“円熟”、どちらのジャッキーがお好み?<人生の集大成『ライド・オン』公開!>
“若さ”と“円熟”、どちらのジャッキーがお好み?<人生の集大成『ライド・オン』公開!>
『ドラゴン・キングダム』(2008)
■ジェット・リーとの夢の共演!カンフー映画ファンにとって悲願とも言える「夢の共演」が、まさか2000年代に突入してから叶うと誰が予想できただろう。ジャッキー・チェンとジェット・リーという、香港映画のレジェンド2人の共演にして競演。まさかハリウッド映画が実現してくれるとは思いもしなかった(しかもアクション監督がユエン・ウーピン)。
ロブ・ミンコフ監督が手がけた本作は、マイケル・アンガラノ演じるカンフー映画ファンの高校生ジェイソンが主人公。不良グループとのトラブルをきっかけにある事故に巻き込まれてしまった彼は、古き時代の中国を彷彿とさせる世界で目を覚ます。
その世界で出会うのが、飲んだくれのルー・ヤン(ジャッキー)とサイレント・モンク(リー)。2人の強さに憧れたジェイソンは弟子入りを志願し、過酷な修行をおこなう中で内なる自分と向き合っていくことになる。
本作は古典的名作『西遊記』をモチーフにしており、クライマックスのファンタジー感溢れるバトルが見もの。なのだが、たっぷり時間を割いて描かれる手練れ感ダダ漏れのジャッキー&リーの手合わせシーンは、カンフー映画ファンへのこの上ないご褒美となったに違いない。
▶︎『ドラゴン・キングダム』
『カンフー・ヨガ』(2017)
■人は虚無だ虚無だと言うけれど後期ジャッキー映画としては久しぶりに話題を呼んだ『カンフー・ヨガ』だが、残念ながら評価されてのバズりではなく、SNS上で観客から「虚無」と表現されたことで注目を集めた作品だ。公開当時のタイムラインに、悲鳴ですらない、生気を失った声ならぬ声が並んだことは今でもはっきり覚えている。覚えているぞ。
しかし、本作の監督を務めたのは『ポリス・ストーリー3』をはじめ『レッド・ブロンクス』『ファイナル・プロジェクト』などジャッキー作品の常連でもあるスタンリー・トン。ハリウッドに招かれ、あのレスリー・ニールセン主演でコメディ映画『Mr.マグー』を手がけた人物でもある。
(C)2017 SR MEDIA KHORGOS TAIHE SHINEWORK PICTURES SR CULTURE & ENTERTAINMENT. ALL RIGHTS RESERVED
『カンフー・ヨガ』は財宝をめぐってジャッキーが中国・ドバイ・インドと相変わらず世界を股にかけて冒険するストーリーが展開。たとえば『プロジェクト・イーグル』のような、ひと昔前のジャッキー作品を彷彿とさせるテイストともいえる。
そのためジャッキー作品に馴染みがあればあるほど虚無どころか懐かしさがあふれ、ラストでインドらしく楽しそうに踊る笑顔のジャッキーについこちらも頬が緩んでしまう。ジャッキーファンの筆者にとっては、後期作品の中でも特別なタイトルだ。
▶︎『カンフー・ヨガ』を観る
『ザ・フォーリナー/復讐者』(2017)
■こんなジャッキー見たことない後期ジャッキー作品どころか、ジャッキー作品の中でこれほどシビアな表情を見せたアクション映画はレアではないだろうか。なおかつシワが刻まれた「この時のジャッキー」だからこそ生み出すことができた、ある種の悲壮感が強い印象を残す。
爆破テロ事件で大切な娘を亡くし、たったひとりで犯行組織に復讐するクワン(ジャッキー)の姿を描いた本作。元アメリカ特殊部隊工作員という設定が生かされ、徒手格闘だけではない“プロ”の戦術が散りばめられているのも特徴だ。
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舞台はロンドンということもあり、アイルランドのテロ組織との緊張した関係性も本作のエッセンスとなっている。さらにテロ組織と北アイルランド政府の内情が絡むなど一筋縄ではいかないストーリーが展開し、真相解明が遅々として進まずクワンを復讐の鬼へと駆り立てていく。
また本作は、ジャッキーとピアース・ブロスナンの競演も見もの。普段のコメディ調作品でブロスナンが共演していればさぞ愉快な映画になっていたかもしれないが、東西を代表する名優同士の対峙によって生まれる緊張感は格別だ。
▶︎『ザ・フォーリナー/復讐者』を観る
『プロジェクトV』(2020)
■チームプレイの良さが引き立つ快作いよいよ2020年代に入り、さらに渋さを増したジャッキーの新たな一面を楽しめるのが『プロジェクトV』。
スタンリー・トンが『カンフー・ヨガ』に続いて監督・脚本・武術指導などを務めており、9度目のタッグとなったことからも、いかにジャッキーが厚い信頼を寄せているのか伺えるのではないだろうか。
本作でジャッキーが演じるトン・ウンテンは、国際特殊護衛部隊「ヴァンガード」の創設者。部隊のトップでありながら、いざとなれば自らも危険な前線へ飛び出していく男だ。
(C)2020 SHANGHAI LIX ENTERTAINMENT CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
とはいえヴァンガードメンバーのロイ(ヤン・ヤン)やホイシュン(アレン)、ミヤ(ムチミヤ)、コンドル(ジュー・ジャンティン)も優秀な人材。各々特化した能力にフォーカスしたシーンが多く、ジャッキー主演作にして“チームプレイ”の良さをしっかり押し出している。
また本作はロンドンをはじめアフリカ・中東・ドバイなどで撮影を敢行。ワールドワイドな展開と同時に繰り広げられる、各国のロケーションを活かしたスタンリー・トン印の怒涛のアクションを堪能してほしい。
▶︎『プロジェクトV』を観る
まとめ
さすがのジャッキーも寄る年波には抗えず、どうしてもアクションのキレが落ちてしまうのは仕方のないところ。しかし若かりし頃はあふれんばかりのエネルギーを放出し、年を重ねれば重ねるほど円熟味を放って、新たな表情を見せてくれている。筆者にとっては、そのどちらも“ジャッキーの魅力”として変わりはしない。いや、むしろ70歳にして現役でアクションスターという看板を背負い続けていることに、敬意の念は増すばかり。
今回は数ある名作からたった7作しか紹介できなかったが、どの年代、どのストーリーにもその瞬間のジャッキーだからこそ出せるオーラがある。ジャッキーが辿ってきた長く険しいアクション映画道は、きっとこの先も続いていくに違いない。
(文:葦見川和哉)
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