映画コラム

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2017年10月06日

『あゝ、荒野』 菅田将暉の濡れ場に興奮し、魂を削り取るような拳闘に圧倒されろ!

『あゝ、荒野』 菅田将暉の濡れ場に興奮し、魂を削り取るような拳闘に圧倒されろ!



おまけ:合わせて観て欲しい2つの映画はこれだ!


最後に、『あゝ、荒野』と合わせて観て欲しい映画を紹介します。

1:『息もできない』






前述したように、ヤン・イクチュンが監督を含め1人5役をこなした韓国映画です。どうしようもない鬱積した日常で生きている女子高生と、ヤクザの中年男性の心の交流が繊細に、そして鮮烈に描かれていました。

『息もできない』と『あゝ、荒野』には、多数の共通点が観られます。年齢がまったく違う対象的なキャラクターがお互いを知っていく過程があったり、暴力的な主人公にも関わらず(だからでこそ)好きになれたり、最悪な人生を送ってきた彼らが“目標”に向けて歩んだり、意外とクスクスと笑えてほっとするシーンもあったりするのですから。

さらには、ヤン・イクチュン監督と、『あゝ、荒野』の岸善幸監督は、“リハーサルをほとんど行わず、いきなり本番を撮って役者の魅力を引き出す”という、撮影時の姿勢にも共通しているところがあるようです。おそらく、岸善幸監は『息もできない』から、多大なインスピレーションを得たのでしょう。この2作には、まるで“姉妹作”と言っていいほどの、国境を超えた“つながり”を感じられました。

2:『二重生活』(2016年)




岸善幸監督の劇場デビュー作で、“理由なき尾行”に次第にのめり込んでしまう危うさを描きつつ、哲学的な思考にも満ちた作品です。

こちらも『あゝ、荒野』と同じく菅田将暉による濡れ場があり、“コンドームを手に取る”シーンをしっかり描くなどのベッドシーンのこだわりを感じました。性的なシーンこそが、物語に強く影響していくことも、両作品は共通しています。

主演の門脇麦を初め、長谷川博己やリリー・フランキーという実力派俳優による演技合戦も見どころで、ラストは他の映画にはない、特別な余韻に浸ることができるでしょう。“映画でしかできない”面白さを堪能したい方に、おすすめします。

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(文:ヒナタカ)

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