「コントが始まる」第10話までネタバレ感想:「人生は、コントだ!」
第6話あらすじ&感想
第6話あらすじ
春斗「潤平がこの10年間変わらずに信じ続けた物を一つでも成就させてやりたかった……」
コント『金の斧銀の斧』。ステージに現れるきこり役の春斗(菅田将暉)とその弟子を演じる潤平(仲野太賀)。チェーンソーを池に落としてしまった潤平の前に、女神役の瞬太(神木隆之介)が登場して……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
正式に解散が決まり、残された日々を過ごすマクベス。実家の酒屋を継ぐ決心をした潤平は、高校時代から付き合っている恋人・奈津美(芳根京子)との関係に人知れず閉塞感を感じ始めていた。もともとは奈津美を笑わせたい一心で始めたお笑いだったが、マクベスが解散する今、大企業で働いていて自分とは不釣り合いな奈津美との関係も終わらせるべきなのか……。
一方の奈津美もまた、芸人を辞めた後の潤平をどう受け止めていいのか悩んでいて……。マクベスという柱を失い、二人の関係は未来が見えなくなり始めていた。
そして、マクベスを心の支えにして来た里穂子(有村架純)もまた、これから進むべき28歳以降の未来について、人生の岐路に立たされる。それは、これから里穂子の家を出て行くつむぎ(古川琴音)と、マクベス以外の生き方を知らない春斗も同じで……。
努力が報われなかったかもしれない人生。それでも変わらずに信じていいものは心の中にきっとあるはず。「未来」が見えなくても、「今」が俯く状況でも、それでも「今日」できること、「今日」の幸せは絶対にある。見た人が少しだけ前を向けるように、そっと背中を押される第6話。暖かな胸の高鳴りがここにある。
第6話の感想
里穂子にとっては”マクベス誕生の聖地”である中華料理店「ポンペイ」。一度でいいからポンペイの麻婆丼を食べてみたいという里穂子の希望を叶える形で、つむぎ・春斗・潤平・瞬太が集まった。里穂子の素朴な疑問から「なぜ妹のつむぎは下の名前で呼ばれるのに、私は苗字で呼ばれるのか?」といった話の流れになっていく。かくして「今度から中浜さんを名前で呼ぼう!苗字で呼んだら罰ゲーム!」と決められることに。確かに、見た目や雰囲気によって、どこにいっても名前で呼ばれる人(または苗字でしか呼ばれない人)がいるのは、わかる。その境目はどこにあるのだろうか。私自身も苗字+さん付けで呼ばれる確率が高い。やはり作中で春斗が言ったように、「長々と言い訳をするような人は、苗字で呼ばれやすいってことを自覚した方がいい」のだろうか……。
物語は、潤平と奈津美の関係性を描いていく。
大手企業でバリバリ働く奈津美と、10年間鳴かず飛ばずで芸人をしてきた潤平。明らかに収入差があることは、お互いに嫌でも意識してしまう。マクベスを続けることを応援している奈津美だけれど、それはどこか表向きであることを自覚しつつあった。
恋人と高級旅館やリゾートホテルに遊びに行ってきた同僚の話を聞きながら、自分が潤平と赴くのは近場の足湯。大体の費用は奈津美持ち。売れない芸人を恋人に持つということは、つまり”そういうこと”のはずだった。いつしか奈津美にとって、金銭的に支え続けることが、芸人としての彼を応援することとイコールになってしまっていたのかもしれない。
関係性を続けるべきか悩む奈津美を見ながら、共感するポイントが多くて震えた。「高速代出すよ」と彼氏に言われて「カードだからいいよ」と断ったり、「じゃあ食事代出す」と言われて素直に喜べなかったり……。自分の方が稼ぎがあることを開けっ広げにしたいわけではない。けれど、申し訳ないと思うならもう少しちゃんとしてよ! と思わないわけではない。難しい心境だ。
潤平も悩んでいた。奈津美と結婚するためには、このままマクベスを続けていくわけにはいかない。実家の酒屋を継ぎ、少しでも家庭を養っていく基盤を整えたい気持ちがどこかにあるのだろう。かといって、予定通りマクベスを解散させることに、心から納得がいっているわけでもない……。姉から「(奈津美は)酒屋を継いだあんたと一緒にいたいと思ってるの?」と聞かれ、言葉に詰まってしまう潤平。
「このままフェードアウトするかも」と弱音を吐く潤平だが、お互いに気持ちが離れたわけではなかった。出会った高校生の頃、”奈津美”にちなんで7月23日に72枚の「723ナンバープレート写真」を贈った潤平。人柄と人望の厚さに惚れた日のことを、奈津美は忘れたわけではない。なぜ潤平を好きになり、潤平と生きていくことを決めたのか、その気持ちを思い出していく過程には最後まで没頭してしまった。春斗の言葉である「もう潤平みたいな奴には出会えないと思った方がいい」も効いたのだろう。終盤の、奈津美から潤平への”逆サプライズ”シーンは最大の見どころだ。
きっと奈津美と潤平は、一緒にいる時間が長すぎたことが、お互いに言葉を尽くす習慣を奪う原因になってしまったのかもしれない。「きっとこう思ってるだろう」と察するのが癖になってしまうのだ。何かのきっかけさえあれば、まだまだお互いにとって新鮮な事柄がいくらでも出てくるはず。この二人には、それをいつまでも忘れないでいてほしい。
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