「青天を衝け」一橋家臣編 感想集
第15話のあらすじ&感想
第15話のあらすじ
栄一(吉沢 亮)と喜作(高良健吾)は、武士として初俸禄(ほうろく)をもらい、円四郎(堤 真一)から「篤太夫(とくだゆう)」「成一郎(せいいちろう)」という新しい名も授かる。篤太夫の初仕事は、摂海防禦(せっかいぼうぎょ)の要職に就く薩摩藩士・折田要蔵(徳井 優)の隠密調査だった。そこで出会った西郷吉之助(博多華丸)から、“先の時代が読める優秀な人材ほど非業の最期を遂げる”と聞かされた篤太夫は、円四郎の行く末を心配する。
一方、水戸藩では、藤田東湖の息子・藤田小四郎(藤原季節)が攘夷(じょうい)実現のため天狗党(てんぐとう)を率いて挙兵していた。
第15話の感想
正式に一橋家へ召し抱えられることになり、栄一・喜作は毎日一所懸命に働いていた。百姓から武士となりつつも、この世を変えたい野心が尽きたわけではない。百姓出身ゆえの、地に足着いた現実的な立場から、何かできることはないかと頭を巡らせているのがわかる二人。そんな中、円四郎から命が降りた。薩摩の折田要蔵という人物を調べるため、隠密に入ってほしいという命令だ。
あまり隠密向きではないと自覚している栄一。少々気は進まないようだったが、「世を変えるために必要なことなら」と偵察に向かう。強情っぱりで、一度こうと決めたら突き進む性格の栄一だが、本来の目的を見失わないよう冷静になっている様子。血洗島にいた頃よりも、少しずつ成長している様が微笑ましい。
隠密に向かった先では、図面を引いたり使いっ走りをしたりと、文句も言わずせっせと働き始める。その傍ら、本来の命である折田要蔵の様子を探ることも忘れない。その上で「地図を見ればわかることばかり偉そうに言って、あまり召し抱えるのに向いているとは思えない」と円四郎に伝えるあたり、できる男という感じだ。
その後、偵察先で西郷と出会う。
今回の見どころのひとつでもある、栄一と西郷がともに鍋を挟み、この世の未来について語り合うシーン。「この世はこれからどうなると思うか?」と質問した西郷に対し、「幕府は倒れ、力の強い豪族が世を治めることになる」と見解を述べる栄一。そして兵力のなさを補うためには、一橋様が世を治めるべきだと。
それを聞いて「驚くほど正直な人だ」と目を見開く西郷だが、同じように感じた視聴者も多いのではないだろうか。この時代で、ここまで開けっ広げに自身の見解を述べられる肝のある人物は、そうそういなかっただろう。
あまりに先を見通す人間は、非業の最期を遂げるーー置き土産のように囁かれた西郷の言葉が、栄一の心にも忘れられない濃さで残ったのではないか。未来を予見できる人間なんていない。それでも、栄一は自分の直感を信じられる人間だ。その直感にどれだけ従うことができるか、ともに立ち上がってくれる人がいるかに、今後の日本が託されているのだろう。
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