マーベル「ホワット・イフ…?」全9話感想 | 新たなアベンジャーズが切り拓いたマルチバースの夜明け
第9話 もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?
あらすじ
悪の道に落ちたヒーロー・ヴィジョンの暴走によって訪れた並行世界の危機。窮地に陥った時空の案内人・ウォッチャーは、別次元のヒーローたちに救いを求めることになり……。
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⠀『ホワット・イフ…?』
?最終話配信スタート?
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ひとつの選択が、すべてを変える—。
これまで干渉することなく
マルチバースを見守り続けた#ウォッチャー が動き出したら…?
今すぐ #ディズニープラス で目撃せよ⚡#ホワットイフ pic.twitter.com/x0VkVnxA0X — ディズニープラス公式 (@DisneyPlusJP) October 6, 2021
感想
率直に最高の最終回でした!
オムニバスシリーズとして、少しづつ、その色合いを変えていった「ホワット・イフ…?」
今回は、その特性を活かして、並行世界のヒーローたちが集まる物語を描き、まさに有終の美を飾るシーズンフィナーレになっていました。
これまで約20作品が作られ、10年を超える歴史を築いてきたMCUですが、その魅力のひとつには、独立した物語が合流する楽しさがあると思っています。
今回のアニメシリーズでは、約30分×9話という短いスパンでそれが実現されていました。
また、既存キャラクターにおけるジェンダー描写を変化させるなど、スピンオフシリーズならではの試みに溢れていたのも見どころ。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』でシリーズに一区切りが着いた今だからこそ、過去のMCU作品群を「もしも……」な設定で振り返り、今後のキーワードとなる”マルチバース”の概念を紹介するという、橋渡し的な要素も秀逸なアニメシリーズでした。
※以下、本編のネタバレがありますのでお気をつけください。
元ネタ
今回の冒頭はMCU第9作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』をなぞる形でスタート。
映画版のキャプテン・アメリカのポジションが、そのままキャプテン・カーターに入れ替わる形で見事に再現されていました。
(また、アニメシリーズの第1話では、キャプテン・カーターが戦時中から現代の世界へやってくる場面で終了するため、今回はその続きにもなっています)
続いて、並行世界のヒーローたちが集まり、作戦会議をする場面では『アベンジャーズ/エンドゲーム』を、その中で行われる”インフィニティ・ストーン”の説明や、無人惑星でのヒーローと悪役のバトルシーンは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を、悪のヴィジョンとゾラ博士の人工知能がデータ上で戦うシーンでは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が再現されていました。
また、ポストクレジットシーンでは、カーターが死んだと思われていた恋人・スティーブと再会することが示唆されます。
これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』で過去に戻り、亡きカーターと再会したスティーブの結末を入れ替えたものと言えるでしょう。
小ネタ・トリビア
今回の物語は、メタな視点と「もしも……」なハッピーエンドが印象に残るエピソードでした!
メタな視点という点では、シリーズのストーリーテラー・ウォッチャーが活躍する展開が挙げられます。
これまでのエピソードを見守り、ヒーローたちを集め、多元宇宙の全ての世界と物語を守り抜くと断言したウォッチャー。その姿は、一種、MARVELファンの代表とも言えるものでした。(ちなみに、映画版では『アベンジャーズ/エンドゲーム』まで、MCU作品の原作を数多く手がけた人物・スタン・リーがカメオ出演。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』では、彼がウォッチャーであることが示唆されていました。)
特に、近年のマーベル作品は、メタ視点の強い物語が続いています。
主人公・ワンダが支配する虚像の世界と現実世界の対比を描いた「ワンダヴィジョン」や、これまでのMCU作品を一つの物語として俯瞰する「ロキ」など、長年続いてきたシリーズだからこその変革が求められているのです。
今回は、そんな作品群を継承する内容にもなっていたのではないでしょうか。
また、「もしも……」なハッピーエンドという点では、映画シリーズで悲劇的な運命を迎えた登場人物たちに、救いのあるラストを与えているのも印象的でした。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、ヒーローの仲間たちや人類を救うために自らを犠牲にしたブラック・ウィドウ。
本作では自身の世界を失ってしまったブラック・ウィドウが、彼女のいない「ホワット・イフ…?」第3話の世界に現れることで、一旦のハッピーエンドが描かれていました。
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このほかにも、ブラックパンサー(演者であるチャドウィック・ボーズマンが急逝したことで再登場が難しくなった)や、サノスを倒したガモーラ(のちに再登場するものの、『アベンジャーズ/エンドゲーム』ではサノスに命を奪われてしまっている)など、エンディングには、シリーズを追ってきた人であればあるほど、グッとくる思いがあるのではないでしょうか。
実写シリーズでは難しい「もしも……」な展開を繰り広げ、ファンを楽しませたマーベル初の公式アニメシリーズ「ホワット・イフ…?」。
今回、登場しなかったヒーローたちも含めて、新たな物語が描かれるシーズン2の製作もすでに予定されているとのこと。
次回は、どんなヒーローたちの活躍を見ることができるのか。それを心待ちにしつつ、今後のシリーズも追いかけていきたいです。
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