<大奥>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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綱吉(仲里依紗)は桂昌院(竜雷太)の反対を押し切り、右衛門佐(山本耕史)を側室候補にしようとする。しかし、右衛門佐はとある理由から、綱吉への忠義を示すことのできる役目を懇願する。一方、側用人・柳沢吉保(倉科カナ)と桂昌院は、綱吉が気にかける右衛門佐をなんとか失脚させようと、あらゆる手を尽くし…。そんな折、綱吉の一人娘・松姫に悲劇が襲い、綱吉の人生の歯車が狂い始めていく。


第6話のレビュー

ドラマ「大奥」にて、NHKで初めてインティマシー・コーディネーターが導入されたというニュースが目に入った。

インティマシー・コーディネーターとは映画やドラマの現場で性的なシーンの撮影が行われる際に演じる俳優の身体的・精神的なサポートを担う専門職だ。ドラマ「エルピス ー希望、あるいは災いー」(カンテレ・フジテレビ系)や映画「エゴイスト」などの話題作で導入されたことがあって、一気に知名度が広がりつつある。

現場のスタッフのみならず、画面の前にいる不特定多数の人に自分の肌をさらけ出す。本来、それは誰かのサポートを必要とするくらい心に負担がかかること。慎重にならなければいけないが、先週から始まった「五代将軍綱吉・右衛門佐編」は過激なシーンが多い。

“当代一の色狂い”とされる五代将軍綱吉(仲里依紗)の時代を描く上で避けられないことなのだろうとボンヤリ思っていたが、明確な意思を持って制作陣も俳優もその撮影に挑んでいることがラストのシーンで分かった。

御台所・鷹司信平(本多力)との間にはなかなか子ができず、“お伝の方”こと側室の伝兵衛(徳重聡)と一人娘の松姫をもうけた綱吉。だが、松姫は身体が弱く、跡目争いは終わらない。将軍の父という座を手にするため、もしくはその存在を擁立し、実質的な権力をものにするために男たちは水面下で矛を交える。

そこに、新たに参戦したのが、信平が京から呼び寄せた公家出身の右衛門佐(山本耕史)だ。信平は右衛門佐を綱吉の側室に据えるつもりであったが、彼は将軍と褥をともにする相手としてはすでに年齢が行き過ぎていた。

代わりに右衛門佐は綱吉に、有功(福士蒼汰)以来、長らく空席となっていた“大奥総取締”のポストをねだる。右衛門佐は見た目もよく学もある。だが、公家といっても貧しい家庭に育った彼はこれまで“種付け馬”として生きるしかなかった。だからこそ、“人として”確かな力を得ることに飢えている。

そんな右衛門佐に綱吉は望む地位を与えた。父・桂昌院(竜雷太)にも「曲者」と言わしめる男に興味を持ったのもあるだろうが、その心はもっと複雑であったのではないか。

自らが持つ価値を異性に選ばれるためだけのモノとして利用されてきた右衛門佐への共感。そこから脱し、己の力をのびのびと試せる右衛門佐への嫉妬。その存在は松姫が亡くなり、再び毎夜男たちと褥をともにしなければならなくなった綱吉の心をより苦しめる。

世継ぎを生むという将軍としての天命を全うするまで、どんな時も男たちを抱き続ける。しかも、右衛門佐たちが聞き耳をたてる寝所で。

インティマシー・コーディネーターを導入しても描きたかった複数のベッドシーン。そして、目の前で男二人に愛し合うことを強要した自身の行動を咎める右衛門佐に、綱吉が自虐的に放つ「そうか、これは辱めであったか」という台詞。その全てが綱吉から奪われ続けてきた尊厳を強調させる。

ただシーンを過激にするのではなく、演じる俳優や見る人にも配慮しながら原作者のよしながふみが伝えたいメッセージをより濃く映し出す丁寧な制作にほとほと感心させられる。


※この記事は「大奥」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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