<大奥>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
▶︎「大奥」画像をすべて見る謎の奇病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」が流行り始めた頃、3代将軍・徳川家光が死亡。家光の乳母である春日局(斉藤由貴)は、将軍の死を隠そうと、実の息子である稲葉正勝にあることを告げる。その6年後、美しき僧・万里小路有功(福士蒼汰)は、継目祝いで訪れた江戸城で、春日局から無理やり還俗を迫られ大奥入りをすることに。有功がそこで出会った将軍・家光(堀田真由)は、なんと少女であった…
第2話のレビュー
奇病で男性の数が著しく少ない世の中で、贅沢に数百人もの美男子たちを侍らす「大奥」はなぜ生まれたのか。8代将軍・吉宗(冨永愛)は、その成り立ちからすべての出来事が記された日記「没日録」の存在にたどり着く。そこには、徳川幕府の権威を保ち、ひいては平和な世を継続するために犠牲となった男女の恋物語があった。
ことは、“本来の”3代将軍・家光が赤面疱瘡で命を落したことに始まる。しかし、その死は家光の乳母である春日局(斉藤由貴)によって揉み消され、家光の血を唯一引く少女を家光の身代わりとして生活させることになった。
そして、その6年後、継目祝いで江戸城を訪れた僧侶の万里小路有功(福士蒼汰)が春日局に無理やり還俗させられる。のちに大奥入りを果たした有功が対面した将軍の家光(堀田真由)こそ、身代わり生活を強いられた少女だった。
男女逆転の大奥はなぜ生まれたのか。有功がなぜその大奥に連れてこられたのか。その答えが、春日局の何気ない台詞に詰まっている。それは、口答えした有功を何度も打ったせいで家光の扇子が壊れた時のこと。
春日局は家光に「どうぞ、こちらからお気に召すものをお選び下さいませ」と何本もの扇子を差し出す。いわば、大奥に囲った美男子たちは彼女にとって“扇子”なのだ。家光に子を成してもらうために、家光の好みに合いそうな美男子を手当たり次第に集めただけのこと。誰もが見惚れる美しい有功もまた、そのために連れてこられた。
第2話も前回同様、原作にある細かいエピソードは省かれているが、それによってストーリーの重厚さは失われていない。森下佳子の脚本は上記のように何気ない台詞や場面で足りない部分を補いながら、物語の世界観と人物像を観る人にわかりやすく説明する。
また、トントンと展開が足早に進んでいても、それを感じさせないほど濃密な役者陣の演技も素晴らしい。まず有功役の福士蒼汰が想像以上にはまっている。弱き者のために尽くし、決して悪意に屈しない人格者たる有功の器を抑えた演技で見事に体現した。
一方、堀田はまだ幼くも、運命に翻弄された家光の喜怒哀楽をまっすぐに表現する。どうしようもない憤りを有功にぶつけるのは、ひと目見ただけの彼に他の大人たちとは違う何かを感じたからではないだろうか。有功を気にかけていることが刺々しい態度の中にも伝わってくる家光は可愛らしくもある。二人がこれから心を通わせていくのを見るのが早くも楽しみで仕方がない。
原作ではかなりお年を召している春日局だが、斉藤由貴の変わらぬ美しさがより春日局の恐ろしさを際立てている。そして、斎藤の代名詞でもある怪演がまたこのドラマを成功に導いた。家光の死を隠すために御匙を自ら手にかける場面や、有功に死して魂となることが唯一大奥から出られる方法であることを伝える場面。ゾッとするほどの恐ろしさはありながら、戦乱の世を生きてきたからこそ、何としてでも徳川の世を守ろうとする春日局の矜持をも感じさせられる凄味に心を取られた。
吉宗編もそうだったが、メインキャストはもちろんのこと、その脇を固める役者たちのキャスティングにも一切手を抜いていない。母親である春日局の手となり足となる息子の稲葉正勝役を務める眞島秀和、心の奥底が読めない村瀬正資を演じる岡山天音と石橋蓮司らも前回の貫地谷しほり、風間俊介、片岡愛之助らに続く、安定した芝居で作品を支える。
一方で、玉栄役の奥智哉をはじめとした若手キャストの活躍にも期待したいところ。これだけ密度の高い一時間を毎週届けられるNHKの力を感じずにはいられない。
※この記事は「大奥」の各話を1つにまとめたものです。
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