<大奥>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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嫉妬に苦しむ有功(福士蒼汰)は、家光(堀田真由)にある訴えをする。有功の気持ちを知った家光は、有功にとある役目を授ける。そして、時は流れ―5代・徳川綱吉(仲里依紗)の時代。綱吉は奔放な将軍で、大奥だけに留まらず城の外でも男を漁るほど。そんな中でも綱吉との間に子を持てずにいた御台が大奥に呼び込んだのは、大奥中が噂をするほどの美青年・右衛門佐(山本耕史)で…


第5話のレビュー

徳川の世を存続させるべく、将軍の後継を産み育てる場所として築かれた大奥。誰が上様の寵愛を受けて将軍の父となり、誰が権力を握るのか。そこには、嫉妬、羨望、孤独がつきものである。

「その思いに寄り添い、渇きを癒し、涙を洗い、時に四季を映し、慰める。水の流れのようにここにありたいと望んでいる」

大奥で生きる男たちに、そう宣言する有功(福士蒼汰)の背中には流水紋。この場所で喜びも悲しみも味わった有功だからこその決意が裃に流し入れたその模様をより一層輝かせる。

「大奥」第5話において、「三代将軍家光・万里小路有功編」が終幕。あまりにも美しいラストの余韻から抜け出せぬまま、続く「五代将軍綱吉・右衛門佐編」もスタートとなった。

「どうか世が滅びるその日まで上様と共にいて下され」という春日局(斉藤由貴)の遺言を守るため、有功は2つのことを決意する。

一つは、お付きの小僧・玉栄(奥智哉)を家光(堀田真由)の夜伽の相手に据えること。それは嫉妬に苦しむ有功が、「玉栄の子ならば我が子として可愛がれるかもしれない」と考えて出した苦渋の決断だった。

結果、玉栄と家光の間にはのちに5代将軍・綱吉(仲里依紗)となる徳子が生まれる。お玉の方と名付けられた玉栄と以外にも、すでに赤面疱瘡で亡くなったお楽の方(濱尾ノリタカ)、お夏の方(押田岳)との間にもそれぞれ子をもうけた家光。

これでようやく家光は誰にも文句を言われずに有功と愛を育めるはずだったが、二人は身体ではなく心で結ばれることを選んだ。「どうか男と女のこの恐ろしい業からわたくしを解き放ってくださいませ」という有功の願いを聞き入れ、家光は有功を夜伽の相手ではなく、新たに大奥総取締という春日が担っていた役目を授ける。

どんなにそばにいようとも触れることは叶わない。それは寂しくもあり、苦しくもあっただろう。しかし、だからこそ、二人の間には駆け引きなど必要のない美しい愛だけが残った。

家光がこの世を去る瞬間、有功はもう一度「千恵様」と呼びかける。奪われた自らの人生を、尊厳を、二人はともに取り返したのだ。運命に翻弄され続けた有功と千恵の激しい感情の波を体現した堀田真由と福士蒼汰。本作が二人の代表作として語り継がれることは間違いない。

そして、完全にロスに陥ると思われた家光編のラストから、ガラリとイメージを変えて始まったのが綱吉編だ。原作では、“さようせい様”と呼ばれた4代家綱はナレーションベースで語られ、最も江戸が華やいだ仲里依紗演じる綱吉の時代が訪れる。

玉栄は僧から言われた通りに将軍の父となり、桂昌院(竜雷太)として大奥で幅を利かせていた。綱吉の正室は公家出身の鷹司信平(本多力)だが、桂昌院とはソリが合わない。代わりに桂昌院が味方するのが、側室である伝兵衛、通称“お伝の方”(徳重聡)だ。

驚くべきは、玉栄の変わりぶり。今時の言い方ではあるが、あらゆるハラスメントを網羅した俗まみれの爺を竜雷太がじっとりと演じる。そんな桂昌院と身体の関係を持つのが、綱吉の側用人・柳沢吉保(倉科カナ)。一挙手一投足から伝わるあまりの艶かしさに一瞬何を見せられているのかわからなくなる。

そんな二人を差し置いて、“当代一の色狂い”とされるのが綱吉だ。大奥の男たちに飽き飽きしている綱吉は、腹心である牧野成貞(内田慈)の夫・阿久里(吉沢悠)にも手をつける。阿久里がのちに死亡した理由を、「生を吸い尽くされて」と吉宗(冨永愛)に説明する村瀬(石橋蓮司)に思わず笑ってしまった。

そもそも、綱吉に牧野邸を訪れさせたのは吉保の差し金。成貞を排除するためだ。そんな人々の思惑と欲望にまみれた大奥に足を踏み入れた、美青年・右衛門佐(山本耕史)もまた負けず劣らずの曲者のようで……。

将軍が変わるたびに、雰囲気から何まで様変わりする「大奥」から目が離せない。


※この記事は「大奥」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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