映画コラム

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2017年09月29日

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る

なぜ『天空の城ラピュタ』は飛び抜けて面白いのか?キャラの魅力と宮崎駿の作家性から理由を探る



おまけ1:小説版で初めてわかることもあった!






「小説 天空の城ラピュタ」では映画で描かれた物語以前の、パズーやシータの日常の生活のことも描かれています。映画の冒頭にあたる海賊の襲撃シーンが始まるのは、なんと小説では90ページ以上を超えてから! もちろん、これは「映画では知り得ないことを小説で楽しんで欲しい」という気概があってこその描写なのですが、これらをアニメ映画で描いてしまうと説明的すぎで、かつ冗長になってしまうでしょう。

とはいえ、「小説 天空の城ラピュタ」がつまらないかと言えば、決してそんなことはありません。映画の印象的なセリフがさらに大きな意味を伴って理解できるようになっていたり、キャラクターの心情が言葉でよりハッキリとわかったり、ドーラの知られざる過去がほんのちょっぴりだけ示されていたり、映画にはないエピローグもあったりと、『天空の城ラピュタ』という作品をさらに奥深く楽しませてくれるのですから!ぜひ、読んでみることをおすすめします。

おまけ2:『天空の城ラピュタ』に似ている2つのアニメ作品はこれだ!



最後に、宮崎駿が関わった『天空の城ラピュタ』に似ているアニメ作品を2つ紹介します。





擬人化した犬のキャラクターが印象的なテレビアニメ「名探偵ホームズ」の第5話「青い紅玉(ルビー)」では、迫力のカーチェイスと、終盤には思いもよらぬスペクタクルが待ち構えています。敵キャラがちょっと間抜けだったり、(ゲストキャラの)子どもの声優が田中真弓であることも『天空の城ラピュタ』に共通していますね。宮崎駿が監督や演出を、脚本はなんと『この世界の片隅に』の片渕須直が手がけています。この回は『劇場版 名探偵ホームズ』の中の一遍としても収録されているので観やすいでしょう。





「ルパン三世(テレビ第2シリーズ)」の155話(最終話)である『さらば愛しきルパンよ』は宮崎駿が脚本と演出を担当しており、劇中では『天空の城ラピュタ』のロボット兵にそっくりなロボットが登場します。宮崎駿はこのロボットの造形を気に入っていたものの、十分に生かしきれなかったことから、『天空の城ラピュタ』に細部を変えて再登場させたのだとか。絵柄や展開もさることながら、ヒロインの声を演じていたのが『風の谷のナウシカ』のナウシカの島本須美であったりと、宮崎駿作品“らしさ”と、その原点を知ることのできる作品です。

さらに、同じく宮崎駿が脚本と演出を手掛けた「ルパン三世」の一遍、145話の「死の翼アルバトロス」も『風の谷のナウシカ』らしさや、アニメ作品ならではの濃密な面白さを堪能できる作品です。「もっと宮崎駿作品の魅力に浸りたい!」と思っている方は、ぜひご覧ください!

参考図書


ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ (文春ジブリ文庫)
小説 天空の城ラピュタ〈前篇〉 (アニメージュ文庫)
小説 天空の城ラピュタ〈後篇〉 (アニメージュ文庫)

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(文:ヒナタカ)

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