「大豆田とわ子と三人の元夫」第10話までネタバレありで魅力解説|「大豆田とわ子は最高だってことだよ」

国内ドラマ

2021年4月クールのカンテレ・フジテレビ系新火曜ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」。松たか子が主演を務め、「カルテット」『花束みたいな恋をした』の坂元裕二が脚本を務める。

バツ3の独身女性である大豆田とわ子が、3人の元夫たちに振り回されながらも日々奮闘する姿を描くロマンティック・コメディー。

2021年4月13日には第1話が放送され、あまりの面白さに何度も笑ってしまった。今回はそんな「大豆田とわ子と三人の元夫」の魅力を独断で検証していく。

もくじ

・第1話あらすじ&魅力徹底検証

・第2話あらすじ&魅力徹底検証

・第3話あらすじ&魅力徹底検証

・第4話あらすじ&魅力徹底検証

・第5話あらすじ&魅力徹底検証

・第6話あらすじ&魅力徹底検証

・第7話あらすじ&魅力徹底検証

・第8話あらすじ&魅力徹底検証

・第9話あらすじ&魅力徹底検証

・第10話あらすじ&魅力徹底検証

『大豆田とわ子と三人の元夫』作品情報

第1話のあらすじ

大豆田とわ子(松たか子)は、これまでに3回結婚して3回離婚した、いわゆる“バツ3”。建設会社『しろくまハウジング』の社長に就任し、最初の夫・田中八作(松田龍平)との間に生まれた中学3年生の娘・唄(豊嶋花)と暮らしている。

ある日、社長就任と同時期に亡くなった母親のパソコンを開こうとしたとわ子は、パスワードが設定されていることに気付く。どうやら、別れた夫のうちの誰かが設定したらしい。唄はすぐに確認するよう促すが、面倒なことを避けたいとわ子は気が重い。元夫のうち、今でも定期的に顔を合わせるのは3番目の夫・中村慎森(岡田将生)。とわ子の会社の顧問弁護士で、甘いマスクに似合わない、理屈っぽいひねくれ者だ。2番目の夫はファッションカメラマンの佐藤鹿太郎(角田晃広)。業界では有名で腕もいいが、とにかく器が小さい。そして最初の夫である八作は、会社を辞めてレストランのオーナー兼ギャルソンになっていた。

意を決し、一人ずつ元夫のもとを訪ねていくとわ子。一方、元夫たちは離婚してもなお、とわ子に対して何らかの思いを抱えているようで…。

とわ子のパスワード確認がきっかけとなり、互いに接点を持つことになる元夫たち。さらに、ひょんなことから集まった3人がとわ子をめぐって話し合いを始めることに…。そのとき、とわ子は…!?

第1話の魅力徹底検証

冒頭5分の時点で面白すぎる。「Mother」や『花束みたいな恋をした』を手がけた坂元裕二が脚本担当とあって、観る前から期待を膨らませていたが、こうまで期待を上回ってくるとは……。

ラジオ体操の動きが周りと合わない大豆田とわ子、従姉妹の結婚式を祝う最中に口内炎ができていることに気づく大豆田とわ子……松たか子演じる主人公・とわ子がいかに運のない人間かが、冒頭の数分で手に取るようにわかる。とわ子がどういった生活観を持っているかが伝わってくるし、テンポは軽快、伊藤沙莉のハスキーボイスが光るナレーションも良い。ここまで「毎週観ること決定!」と思わせられるドラマの冒頭もそうそうないかもしれない。

とわ子には三人の元夫がいる。

最初の旦那は松田龍平演じる田中八作。八作は少し飄々とした女たらしだ。

二番目が角田晃広演じる佐藤鹿太郎。、鹿太郎は生真面目ゆえに扱いが面倒だが根は良い奴だ。

そして三番目は岡田将生演じる中村慎森。慎森は四角四面で論理的。

まさに三者三様で、「なぜこうも男の趣味が違うのか?」と首を捻りたくなるほどだ。

ちなみに松たか子と松田龍平はドラマ「カルテット」(坂元裕二脚本)でも共演しており、このふたりが元夫婦役として再共演している事実だけでもファンとしては垂涎ものである。

語りたいシーンは言葉どおり山ほどあるのだが、ここはやはり三人の元夫が集まる「元夫会議」のシーンを挙げよう。とあることをきっかけに、最初の旦那である八作の家へ一同が会するシーンだ。

鹿太郎が「あなたの後の夫を担当した佐藤と申します」と挨拶するのも面白ければ、挨拶もそこそこに「大豆田とわ子は?」と聞きながら他人の家へ堂々と入っていく慎森も面白い。そして、とわ子が身を隠すために入ったのが、キッチンの流し下収納であることも面白すぎる。

三人ともまったく性格や価値観が違い、話が噛み合いそうもないのに、不思議とポンポン進んでいく会話がコミカルで笑いを誘う。鹿太郎と慎森の勢いに気圧され、半ばたじたじとなっている八作も見ものだ。

鹿太郎がくりだす「夫婦関係をお湯に見立てたたとえ話」も興味深い。どこを切り取っても面白く、地上波で放送後も配信で2度観てしまった

次回以降も期待大だ。期待しすぎて残念な結果に終わるような事態は、このドラマにかぎっては想像できない。視聴者の期待をどこまでも上回ってくれるだろう。

■見逃しの方向けの視聴方法
・カンテレドーガ(無料視聴)

・TVer(無料視聴)

・FOD(会員の方は追加課金なしで視聴可)

・U-NEXT(会員の方は追加課金なしで視聴可)

–{第2話あらすじ&感想}–

第2話のあらすじ

ある日、八作(松田龍平)のレストランで慎森(岡田将生)と鹿太郎(角田晃広)が出くわしたところに、さらに偶然とわ子と唄(豊嶋花)もやってくる。いつものように周囲に憎まれ口を叩く慎森だったが、どんなに煙たがられてもめげることなく、とわ子に近づこうとする鹿太郎に、強がった態度とは裏腹に一種のうらやましさを感じていた。そんな自分について慎森は、公園で会った小谷翼(石橋菜津美)に対して「僕には人を幸せにする機能が備わっていない」と弱音をもらす。

一方、鹿太郎は仕事で出会った女優の古木美怜(瀧内公美)から自宅に招かれ、何やらいい雰囲気に!? 八作の店には、親友の出口俊朗(岡田義徳)が恋人の三ツ屋早良(石橋静河)を連れてやってくるが…。

元夫たちに新たな出会いが訪れる中、唄の思いつきにより、元夫たちを招いて5人ですき焼きパーティーを開催することに。こだわりの食材や道具を持ち寄った3人が訪れたとわ子の部屋で、慎森は結婚当時の思い出が詰まったソファーが処分されていることに気づき、内心ショックを受ける。ひょんなことから、とわ子と2人きりになったタイミングで、その理由を問いただす慎森だったが、徐々に胸に秘めていた思いがあふれていき…。

しかし、その晩。どういうわけか、唄や元夫たちの目の前でとわ子はパトカーに乗せられ、警察に連れられていく羽目に…! 突然の出来事にあっけに取られる慎森…。とわ子にいったい何が⁉

第2話の魅力徹底検証

2話は第三の夫である慎森のフューチャー回。出会いの経緯や別れの理由が描かれる。とあるパーティで互いに見かけた「スマホを水平に持ちながら通話する、いかにもデキるビジネスマン然とした様子」をこき下ろしながら仲良くなっていく慎森ととわ子。いかにもといった感じだ。出会った当初はまだ慎森の嫌味ったらしさは薄い。

どうやら慎森のとわ子に対する未練たらたらっぷりは本物のようだ。ことあるごとに姿を現し、とわ子の娘とも頻繁にコミュニケーションをとっている。とわ子とふたりで持ち帰った思い出のソファがリビングから消えていることを発見するや否や、慌てふためき暴走する様子も、もはや限度を超えているのでは……?

「とわ子に新しい恋人や夫ができないと、僕の恋が終われない」という論理展開もなかなかのものだ。筆者はこのドラマを友人とともにツッコミを入れながら観ることが多いが、慎森が何か発言するたびに「未練たらしいな、この男!」のお決まりワードが飛び交う。未練も行き過ぎると扱いに困るものである。

そんな未練たらたらな慎森とは裏腹に、少しずつ新しい出会いが訪れている八作と鹿太郎。注目したいのは八作だ。親友が彼女と一緒に自分の店に来店したのを応対してからというもの、どうも彼女と目が合う時間が長いような気がしている。「男と女が6秒見つめ合ったら、それは恋が始まるサイン」……始めてはいけない恋が始まってしまう予感がする。

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–{第3話あらすじ&感想}–

第3話あらすじ&感想

第3話のあらすじ

ある日、八作(松田龍平)のレストランで慎森(岡田将生)と鹿太郎(角田晃広)が出くわしたところに、さらに偶然とわ子と唄(豊嶋花)もやってくる。いつものように周囲に憎まれ口を叩く慎森だったが、どんなに煙たがられてもめげることなく、とわ子に近づこうとする鹿太郎に、強がった態度とは裏腹に一種のうらやましさを感じていた。そんな自分について慎森は、公園で会った小谷翼(石橋菜津美)に対して「僕には人を幸せにする機能が備わっていない」と弱音をもらす。

一方、鹿太郎は仕事で出会った女優の古木美怜(瀧内公美)から自宅に招かれ、何やらいい雰囲気に!? 八作の店には、親友の出口俊朗(岡田義徳)が恋人の三ツ屋早良(石橋静河)を連れてやってくるが…。

元夫たちに新たな出会いが訪れる中、唄の思いつきにより、元夫たちを招いて5人ですき焼きパーティーを開催することに。こだわりの食材や道具を持ち寄った3人が訪れたとわ子の部屋で、慎森は結婚当時の思い出が詰まったソファーが処分されていることに気づき、内心ショックを受ける。ひょんなことから、とわ子と2人きりになったタイミングで、その理由を問いただす慎森だったが、徐々に胸に秘めていた思いがあふれていき…。

しかし、その晩。どういうわけか、唄や元夫たちの目の前でとわ子はパトカーに乗せられ、警察に連れられていく羽目に…! 突然の出来事にあっけに取られる慎森…。とわ子にいったい何が⁉

第3話感想

今回は鹿太郎のフィーチャー回!

冒頭から「僕の金で開いた飲み会、みんな楽しんでる?」と言って場をしらけさせたり、ビニール傘を使った回数にこだわったり、器の小ささを露呈させまくっていた。三人の元夫のなかで、私は鹿太郎がいちばん好きかもしれない。決して好意が持てるという意味ではなく、人間らしさを感じられるという意味で。

器は小さすぎるが、悪い人間ではないのだ、鹿太郎は。とわ子に対して未練たらたらだけれど、彼なりに彼女を想っているのが伝わる。根の優しさがすべて悪い方向に伝わってしまう、不運な星の元に生まれているだけなのだ。

好意を寄せられている(ように見えている)美怜に対しても、鹿太郎持ち前の優しさを発揮してしまう。明らかに弄ばれ、都合のいいように使われているだけなのに、懸命に彼女に尽くす。呼び出されれば彼女の自宅に馳せ参じ、せっせと家事に炊事に働くのだ。

鹿太郎は、優しい。「私たちのために身代わりになってくれ」といった頼みにも、悩みつつ首を縦に振ってしまう。無理して絞り出す優しさは決して相手も自分も幸せにはしない。それなのに、鹿太郎は悩みながらも、苦しみながらも、美怜に対する献身をやめられないのだろう。

慎森や八作の新しい恋のゆくえも気になるところだ。それぞれ困難が伴いそうな恋。とわ子の新しい幸せを願うとともに、それぞれの夫が心安らかになる日も早く来ますようにと願う。

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–{第4話あらすじ&感想}–

第4話あらすじ&感想

第4話あらすじ


とわ子(松たか子)の30年来の親友・かごめ(市川実日子)が、とわ子と同じマンションに住むオーケストラ指揮者の五条(浜田信也)から食事に誘われる。2人の相性の良さや、五条の態度からかごめに好意を抱いていることを確信したとわ子は、親友の幸せを願い、面倒くさがるかごめの背中を押す。

しかし、当のかごめは目の前で鳴っているスマホの着信を無視したり、夜道で誰かにつけられたりと、最近何か隠し事がある様子。そんな中、とわ子は、偶然かごめの“ある過去”を知ってしまう。

その頃、八作(松田龍平)は、親友の俊朗(岡田義徳)の恋人・早良(石橋静河)からの猛烈なアプローチに頭を悩ませていた。さらに、早良の浮気を疑い始めた俊朗から3人での食事に誘われた八作は、つくづく自分のモテ体質が嫌になる。なんとか早良に嫌われようと試みる八作だったが、早良の行動はより大胆になっていき…。

一方、翼(石橋菜津美)の嘘に憤りを感じていた慎森(岡田将生)だったが、「まだわたしが誰なのかわからない?」という翼の問いかけに言葉を失う。鹿太郎(角田晃広)は、美怜(瀧内公美)にパパラッチ対策として交際相手の影武者を頼まれるが…。

第4話感想

慎森フィーチャー回、鹿太郎フィーチャー回ときて、今回は八作フィーチャー回! 必然的にかごめにも焦点が当たって、市川実日子ファンとしては嬉しい限り。それにしても、とわ子&かごめ&八作に闇深い過去があったなんて……(このあたりは次回描かれるようだが)。思わずグッと考え込んでしまうようなセリフとコメディの絶妙なバランス感覚に、毎回のことながら圧倒される。

どうやら、かごめは実家との関係が上手くいってないらしく、恋愛面でもなんらかのトラウマを抱え積極的になれないようだ。幼少期からの友人であるとわ子には何かと助けてもらっている様子。信号のない横断歩道を渡れないかごめを助けるとわ子、優しくてかっこいい……。ともに漫画家を目指していたことも判明したし、想像以上にこのふたりの結束力は強いらしい。

かごめ&とわ子の2人には八作も面識があって、とある理由で逃亡していたかごめとたまたま遭遇した八作は嬉しそうにしていた。もしかしなくとも、八作がかつて「ふられたことのある相手」がかごめだということは分かる。じゃあ八作はかごめのことが好きなまま、とわ子と結婚して子どもまで作ったの? 離婚したあとも変わらずかごめのことが忘れられないの? と視聴者としてはモヤモヤしてしまう展開。

モヤモヤといえば、やたらと八作に言い寄ってくる早良(演:石橋静河)~! 君はなんなんだいったい! 八作のことを好きなら好きで、しっかり前の人と整理つけてから告白しなさいよ~! 中途半端なままじゃ余計にトラブルの種になるでしょ!? 「共犯だね」じゃないんだよ!

正直、好きこのんで争いの種を蒔くようなキャラは好きになれないのです……それなら慎森や鹿太郎のように、多少面倒でも正直すぎる人のほうがいいなあ、と思ってしまうのは、私だけでしょうか。

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–{第5話あらすじ&感想}–

第5話あらすじ&感想

第5話あらすじ

とわ子(松たか子)の誕生日が近づくある日、唄(豊嶋花)が開業医の息子である彼氏と18歳になったら結婚することを宣言し、とわ子を困惑させる。後日、かごめ(市川実日子)に相談してみたものの、いつしか話題は八作(松田龍平)との離婚のことに。「わたしも意地張ってたし、若さ故だね」と当時を振り返りながら、とわ子が語った離婚の原因とは?

しろくまハウジングでは、話題のイベント会社からアートイベントの仕事が舞い込み、普段の住宅設計とはひと味違う華やかな仕事に社内は盛り上がりを見せていた。先方の社長・門谷(谷中敦)は、とわ子と同じ“バツ3”ということで、互いの離婚歴や結婚観で意気投合する。そんな中、とわ子は自分のバースデーサプライズを社員たちが準備していることに感づいてしまう…。余計なことを知ってしまい仕事に手がつかないとわ子だったが、追い打ちをかけるように、突然門谷からプロポーズをされて大きく動揺する。

その晩、唄からそのことを聞いた八作、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生)は、3人そろってとわ子のマンションへ。四度目の結婚を阻止すべく、珍しくタッグを組んで必死の説得を試みる鹿太郎と慎森を横目に、八作はとわ子にあるプレゼントを差し出す。

ところが後日、このプレゼントがきっかけで、とわ子は八作が心に秘めていた思いを知ることになり…。

第5話感想

「生きてて何が怖いって、サプライズパーティが一番怖い」

社員たちが自分の誕生日パーティを計画していることに気づいてしまった、とわ子。彼女に向けて言った慎森の一言に、思わず共感してしまった。私も勘はいい。自分のために企画してもらっている何かがあれば、すぐに気づいてしまう。サプライズに驚いたふりをしなければならないのが、苦痛で、怖い……。しかし、サプライズパーティを企画する側は一切悪くはない。

それにしても、とわ子&かごめの関係性が羨ましい!

夜中に電話しても怒らない、「もしもし」なんて不要、ノリで一緒に海に行ける。親しき仲にも礼儀あり、とは言うけれど、ここまで信頼し合っているふたりなら無礼云々なんて、それこそ無粋な話だ。かごめには是非一発、マンガで当ててもらって高層マンションに住んでもらいたい。

今回のポイントは、なんと言っても門谷社長からプロポーズを受けるとわ子だ。これまで3回離婚している共通点があることがわかり、意気投合するふたり。「とわ子、4回目の結婚か!?」と浮き立ったが、門谷社長の空気感がだんだん怪しくなっていく。

ともに仕事をするため、追加予算を提示したうえで正式契約をお願いするとわ子。門谷社長は契約に関する具体的な話は一切せず、「(結婚について)考えてもらえましたか?」と話をそらしまくる。

挙句の果てに「あなたと私の離婚は違う」「私の離婚は勲章だけど、あなたの離婚は傷でしょう」などと言ってくる始末。ここまで男女の私的な関係を仕事に持ち込む人も珍しい……最終的には「せっかく手を差し伸べてあげてるのに……」と上から目線だ。いろいろな意味で恐ろしくなってくる。

とわ子の言った「人生で失敗することはあっても、失敗した人生なんてない」の台詞に大共感だ。毎回のことながら、このドラマは人生についての名言をたくさんくれる。

「人から傷つけられるんだから、慰められるのも人からじゃないと」これは物語終盤の慎森による名言。果たして、門谷社長の車に嫌々乗ることになってしまったとわ子の運命は、いかに……?

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–{第6話あらすじ&感想}–

第6話あらすじ&感想

第6話あらすじ

誕生日当日の夜、取引先の説得に向かったとわ子(松たか子)との連絡が途絶えた。とわ子の誕生日を祝うため、オペレッタに集まっていた八作(松田龍平)、鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生)は彼女の身を案じるが、そこへ早良(石橋静河)、美怜(瀧内公美)、翼(石橋菜津美)が偶然来店し、さながら合コンのような飲み会が始まる。

さらに、元義父の旺介(岩松了)から半ば強引に呼び出された八作たちは、とわ子のマンションへ。早々に酔いつぶれて寝てしまった旺介をよそに、主不在の部屋で、なぜかギョーウザを作り始めることになった元夫たち。

その傍らで、女性陣はそれぞれの恋愛の愚痴で意気投合し始める。しかも、名前こそ出さないものの話題は明らかに八作、鹿太郎、慎森のことで、3人は動揺を隠せず…。

第6話感想

社長の車に乗せられていったとわ子はどうなったの? とか、こんなに都合よく3対3の合コンみたいなパターンになる? とか、女性陣言いたい放題言い過ぎじゃない? とか、突っ込みたい箇所は山ほどあったのだが……最後の最後で、かごめの身に予想しないことが起き、全部持っていかれてしまった……。

いくら「第一部完結!」とは言っても、こんな展開は想定外だよ……!

以下、いつも以上にネタバレになるのでご容赦ください。

かごめの死に関する詳細は一切明かされず(医者の声で「直接の死因は心筋梗塞」と聞こえるだけ)、淡々と時が進む。ああ、八作が電話をかけていたのは、かごめだったんだ……と思うと、もうたまらない。「この電話は、現在繋がっておりません」のアナウンスが、まったく違う意味を持って聞こえてくる。

急いで病院に駆けつける八作。ストローとステープラー、そして靴下を途中のコンビニで買っていく。すでに待っていたとわ子にそれらを渡すと「紐がさ、抜けちゃったって言ってたから」と言いながら、パーカーの紐を直し始めた。

ストローとステープラーを使えば、簡単にパーカーの紐が直せる。そういえば、前回そんなことを言っていたっけ。アパートのリビングで漫画を描きながら「どうしよう……」と言っていたかごめ。とわ子は「帰ったら直してあげるよ」と言って、そのまま別れた。あのやりとりが、最後になったということだろうか。

「ひとりで死んじゃったよ」「ひとりで死なせちゃったよ」

あまりにも突然で、急な別れ。「実家で葬儀をあげられたくない」と言っていたかごめの願いは叶えられなかったけれど、とわ子が積極的に打ち合わせや準備に関わることで、なんとか彼女の理想に近い式をあげられたのではないだろうか。

霊柩車に乗り火葬場に向かうかごめに対し、高らかに彼女の名を叫ぶとわ子。彼女らふたりにしかわからない繋がりと、ふたりにしかできない別れ方というものがある気がした。

葬儀の後、会社で一仕事するとわ子のバイタリティは相変わらずだ。夜にはかごめの住んでいたアパートに寄り、食事をしながらかごめの描いた漫画を読み始める。

とわ子が泣きながらご飯を食べるシーン。坂元脚本であるドラマ「カルテット」で同じく主演を務めていた松たか子が、「泣きながらご飯を食べたことがある人は、生きていける」といったセリフをつぶやくシーンを思い出して、泣けてきた。

第一章が完結し、時は1年後へと進む。とわ子が新しい恋の予感を得そうなことについては心から祝福したいが、視聴者はまだ、かごめロス状態から戻って来られないだろう。少なくとも、私はそうだ。

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–{第7話あらすじ&感想}–

第7話あらすじ&感想

第7話あらすじ

かごめ(市川実日子)の一件から1年、とわ子(松たか子)は自宅で一人暮らしを始めていた。高校に進学した唄(豊嶋花)が、通学しやすい旺介(岩松了)の家に引っ越したからだ。娘がいない寂しさを抱えながらも、生活を楽しもうと試行錯誤するとわ子は、ある日、公園で“謎の男”(オダギリジョー)と出会う。

そんな中、とわ子はしろくまハウジングのオーナーが外資系ファンドに会社の株を売却しようとしていることを聞かされる。もし会社が外資の傘下になって利益重視の経営に変わると、コスト削減のために人員整理が行われるかもしれない。会社としてのこだわりや職人気質の社員たちを守るためにどうすればいいか悩むとわ子を心配し、慎森(岡田将生)、鹿太郎(角田晃広)が続けざまにとわ子のマンションを訪れる。一方、八作(松田龍平)はレストランの仕事を休み、一人で旅に出ていた。

後日、唄への届け物のために外出したとわ子は“謎の男”と偶然再会する。夢中になれることや仕事についての会話で徐々に打ち解けていく2人だったが、ひょんなことから話題はかごめのことに。すると、とわ子の口から、ずっと胸に秘めていた親友への思いが止めどなくあふれていき…。

第7話感想

衝撃の前回から、1年が経った。

突然かごめが死んでしまって、その一連にまつわる流れがなんとも唐突だった。ドラマとしてはあまりにも急展開すぎるし、あっさりしすぎている。けれど、これがリアルを投影した形なのかもしれない。人は死んでしまう。あまりにも唐突に、あまりにもあっさりと。

変わらず時が流れているように見えるけれど、かごめの死は至るところで実感できる。とわ子がしきりに周囲の人たちの体調を気遣う描写、たびたび画面にうつり込む「空野みじん子」の表彰トロフィー、北海道に旅に出たハ作、とわ子を心配する夫たちの様子……。

そんな中、とわ子はある男性と出会う。オダギリジョー演じる、謎の”数式の男”だ。

毎朝ラジオ体操をする公園で出会ったとわ子と謎の男。腕をまわす運動がいつも周りと合わないとわ子にとって、その男は唯一、まわす向きが合った男だった。ラジオ体操後、ベンチで休憩していた時に風に飛ばされてしまった、男の書類を集めるのを手伝うとわ子。その後もバス内で偶然見かけたり、バスの中に置き忘れたパンを取りに行ってもらったりと、何かと顔を合わせる機会に恵まれる。だんだんと親密になっていくふたり。

かごめのことについても、とわ子は彼に教える。昨年亡くなってしまったこと。昼間は元気だったのにその夜、突然だったこと。いきなり亡くなってしまったことが、幼稚園の頃に見たマジックショーを思い出させたこと。とても面白い子だったこと。

突然の別れを共有したとわ子に対し、男は「時間」の解釈について話をする。この話がとてもよかった。時間は決して流れていくわけではなく、例えるなら点なのだ。5歳の頃のかごめも、10歳の頃のかごめも、20歳のかごめも30歳のかごめも、とわ子が覚えている限り存在している。心のなかで笑っているなら、彼女はずっとそこで笑っているのだ、と。

亡くなった人を憐れんではならない。生きている人は、幸せを目指さなきゃならない。

大きな別れと小さな別れ、そして大きな出会いと小さな出会いを描いた7話。唄やかごめの存在は、とわ子にとって生活のほとんどをしめていた。まだまだ整理をつけるのに時間はかかるかもしれないけれど、目の前のこの”謎の男”が、もしかしたらともに寄り添ってくれる存在になるのかもーーそう予感した矢先だった。

なんと、その謎の男の正体は、とわ子が社長を務めるしろくまハウジングを買収しようとしている外資系企業・マディソンパートナーズの本部長だったのだ。しかも、株式売却の指揮を取っていたというではないか。

会社でとわ子と対面しても、彼の顔色になんら変化はない。それどころか、またラジオ体操の場で会ったときに平然と話しかけてくる始末だ。あまりにもサイコパスすぎやしないか?

ビジネスはビジネス、プライベートはプライベートで分けたいと考えているらしいが……あまりにもオンオフの切り替えが鮮やかすぎて引いてしまう。この先、とわ子と彼の関係はどうなっていくのだろうか。

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–{第8話あらすじ&感想}–

第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

しろくまハウジングが外資系ファンド・マディソンパートナーズに買収されてしまった。さらに、その責任者で“企業買収の悪魔”と呼ばれる人物が、最近親しくなったばかりの大史(オダギリジョー)だと分かり、とわ子(松たか子)は驚きを隠せない。

ところが、社長のとわ子に退任要求を突きつける一方で、ビジネスとプライベートは別だと言い切る大史。仕事以外では、今までと変わらずとわ子と親しくしたいという。とわ子もまた、大史と過ごした楽しい時間を忘れられず、その申し出を受けることにする。

そんな元妻の恋心を敏感に察した慎森(岡田将生)は、鹿太郎(角田晃広)をけしかけ、2人でとわ子のマンションへ。「好きな人、できた?」という直球質問にとわ子は…。

一方、大史は自社の社長からの「ある命令」に従うため、とわ子に相談を持ちかける。恩義を感じている相手からの指示とはいえ、あまりにも“自分”がない大史の姿勢に納得できないとわ子は、大史をマンションに招いて説得を試みることに。しかし、そこへ慎森と鹿太郎、さらには八作(松田龍平)もやってきて…。

第8話感想

毎朝のラジオ体操の場で出会った小鳥遊という男性。とわ子にとって思わず気分がウキウキしてしまう対象となっていたが、蓋を開けたら相手は自社を買収しようとしている先の本部長だった。

公園や喫茶店で話すときは穏やかなのに、役員会で顔を合わせると途端に豹変する小鳥遊。「退任すべきなんじゃないですか、大豆田さん!」と怒鳴るシーンは、あまりにもプライベート時と格差がありすぎて、またもや引いてしまった……。

なぜそこまで、エアコンのスイッチをON/OFFで切り替えるように、鮮やかにプライベートとビジネスの顔を変えられるのだろうか。それには、小鳥遊の過去が関係していた。「17歳から31歳まで、人生がなかった」と話す彼。家族の介護のために大学進学もできず、途方に暮れていたという。

そんな中で、今の会社に拾われた。学歴はないけれど出世できたのは、なんでも社長の言うことを聞いて動いてきたからだ。仕事ができるのは確かだけれど、同時に社内外でも反感を買っているという。小鳥遊は極端に自己評価が低い男で、社長の言うことだったらなんでも聞く、自分の意思がない人間だった。だからこそ、ビジネスの場では自分の感情を出さないようにしているのだろう。

そんな小鳥遊、なんと「社長の命令だから」という理由で、社長の娘とお見合いし結婚までしようとしている……! そこまで従うのか、と驚いてしまうが、それはとわ子にとっても同じだったようだ。少しずつ小鳥遊という男性に惹かれている自覚もあったのかもしれない。社長への恩義をどうしても忘れられない小鳥遊を家に呼び、カレーを食べさせてあげるくだりがとても良かった。

内心、小鳥遊だっておかしいと思っていたはずだ。「拾ってもらった」という恩義、「ここまで育ててもらった」という感謝……。重荷や責務みたいなものを担ぎながら生きてきた。とわ子だって、「かごめとの約束だから」という理由で、自分に向かない社長業から降りられないでいる。小鳥遊もとわ子も、自分からは下ろせない荷物を背負ってしまっているのだ。

「それ、分けませんか?」と言った小鳥遊の告白が、とても良かった……。とわ子にとって、これまでの三人の夫とはまた違った魅力を持つ小鳥遊。あまりにもサイコパスすぎて最初は引いてしまったけれど……なんだかんだ、合いそうかも? と思えるふたりだ。

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–{第9話あらすじ&感想}–

第9話あらすじ&感想

第9話あらすじ

ビジネス上は敵対関係にありながら、心を通わせるとわ子(松たか子)と大史(オダギリジョー)。ところが、社長からの恩義に縛られることなく生きることを選んだ大史は、かねてから誘われていたマレーシアの会社に転職することを決断。さらに、現地では建築士としてとわ子の仕事も見込めるとして、とわ子に「人生を一緒に生きるパートナーになってくれませんか」とプロポーズをする。

そのことを八作(松田龍平)に伝えた唄(豊嶋花)は、「取り乱すから」と慎森(岡田将生)には内緒にしておくようお願いするが、運悪くそこへ慎森が現れる。その後、バッティングセンターで大史と待ち合わせていたとわ子の元に、なぜか八作、慎森が現れる。慎森いわく、八作がプロボウラーと結婚することになった、と。困惑しながら結婚報告する八作の話を聞いていたとわ子だったが、そこに遅れてきた大史が現れて…。

唄の応援もあり、四度目の結婚や新天地での生活に期待をふくらませつつも、一方では社長として会社と社員たちの行く末も気になるとわ子。そんな彼女に対して、元夫たちはそれぞれの思いを胸に行動を起こす。

第9話感想

今に始まったことではないけれど、とわ子、モテるなあ……。

一度の人生で3人も結婚までコマを進められる人に出会い、そして4人目まであらわれた。ここまで見守ってきた視聴者は十分とわ子の魅力を感じているはずだけれど、それでも”モテっぷり”に驚いてしまう。

私が思うに、とわ子は「陰口」や「噂話」をしない点が魅力のひとつになっているのでは。あっけらかんとして、細かいことは気にせず、賢くてユーモアもある。何か思うことがあればしっかり本人に伝える点を徹底できている人は、きっとそこまで多くはない。

中でも慎森の夢中っぷりはすごい。会社繋がりで会うことが多いのも想いが途切れない理由のひとつだろう。ことあるごとに、とわ子を気にかけたり家に突撃したりしている。小鳥遊に会いに行こうとするとわ子を身体を張って止めるシーンは、勢いがとくにすごかった。小鳥遊が部長を務めるマディソンパートナーズが経営の危機に陥っていることを知ったからだろうが、とにかく会いに行くことを止めようとする姿勢を崩さない。

「誰よりも君のことを想ってる」と伝えたシーンに、キュンときてしまった……。ここまでまっすぐ人のことを好きになれる慎森もすごいし、それだけの魅力を持つとわ子もすごい。

「人の孤独を埋めるのは、愛されることじゃない。愛することだよ」
「心配することないよ。その人は君のパートナーじゃない。田中さんだよ」

やはり、続編は1作目を越えられないのだろうか。慎森にそう言われたとわ子は、だいぶ揺れ動いたように見えた。その後、自宅を訪ねてきた八作が言った言葉も印象深い。

「君を好きになって、君と結婚してよかった」
「君と結婚して幸せだった、ありがとう。幸せになってください」

娘の唄からも「お母さんは自分で思うほど、強くないんだから」と背中を押される。しろくまハウジングの社長業も松林に任せられるし、小鳥遊とともにマレーシアへ行けば思う存分やりたい仕事もできるし、結婚を拒む理由はどこにもないだろう。

それでも、小鳥遊からプロポーズされたとわ子は、悩みながらもその誘いを断ってしまった。

とわ子が選んだのは、見ようによっては悲しい選択だ。とわ子が好きな八作は、今でも亡きかごめを想っている。「3人いたら恋愛にならない」ーーそれぞれが違う人を想いながら、交差しない矢印を抱えながら、時々同じ人を思い出しながら、生きていく選択。ひとりでいるのは寂しいけれど、その寂しさを受け入れて生きる道を、とわ子は選んだ。

八作とともに、「あったかもしれない未来」を想像するとわ子。ベッドの中で語らうふたりの声がアテレコされている点、さすが芸が細かい。人生における重要な選択を終えたとわ子は、今後どんな生き方を示してくれるのか。次回、最終回。

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–{第10話あらすじ&感想}–

第10話あらすじ&感想

第10話あらすじ

「好きになれる自分と一緒にいたいし、一人でも幸せになれると思うんだよね」――。考えた末、四度目の結婚には踏み切らず、一人で生きていく道を選んだとわ子(松たか子)。八作(松田龍平)や鹿太郎(角田晃広)、慎森(岡田将生)ら3人の元夫との関係は相変わらずで、しろくまハウジングも買収前の平穏な日常を取り戻していた。

ある日、オペレッタでとわ子は初恋の相手・甘勝岳人(竹財輝之助)と偶然再会する。親しげに思い出話に花を咲かせる甘勝に嫉妬した鹿太郎は、抑えきれない感情を共有するために慎森に電話をかけるが…。

それからしばらくして、とわ子は自宅に置いていた亡くなった母の荷物が詰まった段ボール箱を偶然見つけ、中から旺介(岩松了)と離婚する前の母が書いた一通の手紙が出てくる。母の思わぬ一面に動揺するとわ子だったが、同時にこの手紙を出せなかった胸中を思って複雑な気持ちになる。すると、同じく手紙に気付いた唄(豊嶋花)が、送り先の人物に会いに行こうと提案する。

第10話感想

終わった、終わってしまった……。

毎週火曜、欠かさずこのドラマを楽しみに観ていた方も多いことだろう。まさに「とわ子ロス」状態だ。

冒頭は松たか子によるタイトルコールで始まり、最後も松たか子による「また来週!」の呼びかけで終わっていた本ドラマ。「ありがとう!」で締め括られた最終回、どれだけの人が画面に向かって「こちらこそ、ありがとう〜!」と応えただろう。私は声に出して手まで振った。それだけに、ロス感が強い……!

最終回だからか、今回は「過去からの投げかけ」とも言えるモチーフが多く見受けられた。第1話で登場した詐欺師が逮捕されたというニュース(とわ子は被害に遭いかけたところをギリギリで免れた)、中学生の頃の初恋相手との再会、おそらく小学生のとわ子が書いたであろう「一匹オオカミ」の書初め、そしてとわ子母の荷物から出てきた映画の半券やラブレター……。

過去から発掘されたラブレター、とわ子母が好きな人に宛てた手紙だった。とわ子父ではなく「マーさん」という別人に向けて書かれたものだ。出されなかったラブレターを前にしたとわ子と娘の唄は、とわ子母が好きだった人に会いにいくことを決める。

唄は西園寺くんという医者志望の彼と付き合っているが、その交際の仕方はとても不健康に見えた。「西園寺くんを支える人になったほうが生きやすいでしょ?」と言いながら、唄は自身の夢を諦めてひたすらに彼を支える人になろうとしている。見かねたとわ子は西園寺くんに対して態度を嗜めようとするも、失敗。結果、唄と西園寺くんは別れることになってしまう。

個人的には、こんな彼とは別れて正解! と思ってしまうが……唄にとっては心から好きな相手だったのだろう。マーさんに会いに行こうと提案したのも唄からだ。

「おばあちゃんが生きた人生は、私の未来かもしれないんだよ」

本当に好きな人と結ばれない人生。自分に嘘をつき、言い訳をしながら生きていく人生。唄は、現在の自分の心境と、とわ子母の生涯を重ね合わせたのだろうか。今のマーさんに会い話を聞くことで、当時のとわ子母が何を思っていたのかを知りたいと思ったのかもしれない。

マーさんは、女性だった。

とわ子母が想いを寄せていたのは、女性だったのだ。これだけジェンダーにまつわる知識が浸透し始めている時代に、私はまだ「母が昔、好きだった人」という言葉から男性の姿を想像してしまう。そんな自分に嫌気と想像力のなさを感じながらも、とわ子母とマーさんの消えない絆を感じ胸があたたかくなった。

とわ子自身も、マーさんに会い話を聞いたことで「母は自分たち家族を選んで不幸になったのではなく、きっと幸せだった」と思うことができただろう。母の幸せだった姿を確かめたとわ子と、自分の未来は自分で選びとっていくことを決めた唄。ふたりがマーさんに会うことは、きっと必然だった。マーさん宅の窓辺に飾られているバレエシューズは、今もそこに在る思い出の力を教えてくれる。

最後は最終回らしく、とわ子と三人の元夫たちが飲んだり食べたり人間ボーリングをしたり(?)しながら終わっていく。一人で網戸を直せるようになったとわ子は、八作を選んで、かごめを含めた三人で生きていくことを決めた。きっとそれは、側から見たら一人で生きているのと何ら変わらない。それでも、彼女は自分で決めた生き方を貫くのだろう。

「僕たちはみんな君のことが好きだってこと」
「大豆田とわ子は最高だってことだよ」

八作が、私たちの想いを代弁してくれた。これからも何度も繰り返しみたいドラマであることは確実だ。三人の元夫たち、ありがとう! とわ子、ありがとう!

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–{『大豆田とわ子と三人の元夫』作品情報}–

『大豆田とわ子と三人の元夫』作品情報

カンテレ・フジテレビ系の新火曜よる9時連続ドラマとして、松たか子さんが主演を務める『大豆田とわ子と三人の元夫』(4月スタート)の放送が決定しました。松さんにとって、2006年放送の『役者魂!』以来15年ぶりとなるカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ主演となる本作は、『カルテット』『最高の離婚』『Mother』など数々の連続ドラマや、現在公開中の映画「花束みたいな恋をした」を手掛けた脚本家・坂元裕二さんによる完全オリジナル。松さんが演じる主人公・大豆田とわ子は、3回結婚して3回離婚したバツ3の女性。さらに、とわ子のことを忘れられない“三人の元夫”として、岡田将生さん、角田晃広さん、松田龍平さんが出演します。4人の個性豊かな実力派俳優たちが繰り広げる物語は、とわ子が三人の元夫たちに振り回されながら日々奮闘するたまらなく愛おしいロマンティックコメディーです。

松さんが演じる主人公・大豆田とわ子(40)は、建設会社「しろくまハウジング」の社長に就任したばかり。しかし、実は3回結婚して、3回離婚しているバツ3の女性で、すごく変人というわけではない。洋服が好きで、明るく、お茶目で、ちょっとせっかちで、どこかとぼけていて、いろんなところがちょっとずつ面白い。最初の夫との間に生まれた中学3年生の娘・唄(うた)と二人暮らしをしている。映画「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」で第33回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、これまで数々の映画やドラマ、舞台でシリアスからコメディーまで硬軟問わず演じ分けてきた松さんが、今回、坂元裕二さんとの3度目のタッグで、ユーモラスでキュートな役どころをどのように演じるのかご注目ください。

個性豊かな“三人の元夫”として、岡田将生、角田晃広、松田龍平が出演!

とわ子の“三人の元夫”役にも、役どころ同様に個性豊かな俳優陣が集結しました。
最初の夫は、松田さんが演じる田中八作(はっさく)(40)。東京・奥渋谷にあるレストラン「オペレッタ」のオーナー兼ギャルソン。とわ子との間に生まれた娘・唄の父親。松さんとは『カルテット』以来、4年ぶりのドラマ共演で、今回は女性に自動的にモテてしまい、ときどき面倒なことに巻き込まれてしまう役どころ。唯一無二の存在感を放つ演技派俳優が、優しい二枚目に挑みます。
二番目の夫は、角田さんが演じるファッションカメラマン・佐藤鹿太郎(かたろう)(45)。業界では有名で腕もいい。とわ子のことが今でも好きで好きでたまらないのですが、とにかく器が小さい役どころ。最近は、お笑いトリオ・東京03としての活躍だけでなく、ドラマ『半沢直樹』でのシリアスな演技が記憶に新しい角田さん。今作では、普通にしているだけで笑われる、何だか憎めない愛らしいキャラクターを演じます。松田さんや岡田さんとのクスッと笑える掛け合いをお楽しみに!
三番目の夫は、岡田さんが演じるエリート弁護士・中村慎森(しんしん)(31)。とわ子が社長を務める「しろくまハウジング」の顧問弁護士。理屈っぽくて、ひねくれ者。口癖は「それ、いります?」。周囲からは冷静で合理的に見られる慎森が、とわ子となぜ結婚し、なぜ離婚したのかは気になるところ。最近は、映画『さんかく窓の外側は夜』で主演を務めるなど、話題作への出演が続く岡田さん。甘いマスクで上から目線、偏屈な弁護士という難役に挑戦します!

脚本は名手・坂元裕二。思わずニヤニヤしてしまう4人のかけ合いが1番の見どころ。

『東京ラブストーリー』、『Mother』、『最高の離婚』、『カルテット』など、数々の名作ドラマを誕生させ、現在は映画『花束みたいな恋をした』が大ヒット公開中の脚本家・坂元裕二さん。コロナ禍で不安な社会情勢が続く今だからこそ、個性豊かな4人が織りなすクスッと笑えて、泣けて、時々身につまされる愛すべき坂元ワールドをお届けします!

放送局
フジテレビ系

放送日時
2021年4月13日(火)スタート 毎週火曜21:00~

出演
松たか子
岡田将生
角田晃広(東京03)

松田龍平

市川実日子
高橋メアリージュン
弓削智久
平埜生成
穂志もえか
楽駆
豊嶋花

石橋静河
石橋菜津美
瀧内公美

近藤芳正
岩松了
 
脚本
坂元裕二

音楽
坂東祐大

演出
中江和仁
池田千尋
瀧悠輔

プロデュース
佐野亜裕美

制作協力
カズモ

制作著作
関西テレビ

制作著作
共同テレビ

公式HP
大豆田とわ子と三人の元夫 | 関西テレビ放送 カンテレ

キャスト/スタッフコメント

主演・松たか子 コメント

脚本を読んだ時の感想は?
すごく面白かったです。いろんなキャラクターがいて、出てくる人出てくる人が面白くて、愚かな感じで(笑)。一気に読んじゃいました。

岡田さん、角田さん、松田さんと共演されると聞いてどう思いましたか?
3人それぞれに個性があって、チャーミングなので、「あ、3回結婚してもいいかな」って思いました(笑)。ダメさ加減も三者三様で、きっと魅力も三者三様で。幸せなありがたい役だなって思いました。

今日が皆さんと初顔合わせでしたがいかがでしたか?
初めて4人でお会いしました。予想通り、少しぎこちないところから始まって(笑)。きっと最後まである一定の距離感は保ちながらいくんじゃないかなって(笑)。でも、無理がなく、現場にいられそうだなと感じました。3人に甘えたくなっちゃうくらい、すごく魅力的ですので、私は甘えすぎないように(笑)。ほどよく迷惑をかけながら、頑張んなきゃなって思いました。

どんなドラマにしていきたいですか?
メッセージ性が強いかというと、それだけでもないですし。何の説得力もない人達が、生きていく話なんですね(笑)。でも、そんな人達の様(さま)を見て、「自分の人生悪くないかな」って、元気になってもらえればいいかなと思います。

視聴者へメッセージをお願いします。
3人の元夫に囲まれながら今生活しているという不思議な女性を演じることになりました。3人のどの人がタイプとか、そういう話題だけでは済まされないような不思議なドラマになると思います。皆さんで、いろいろ好きなことをしゃべりながら、私たちをどうぞ笑ってください。

岡田将生 コメント

脚本を読んだ時の感想は?
素直に面白くて、読み物としてワクワクしながら読ませていただきました。「この世界に僕が入るんだ」と思うだけで、うれしい気持ちになりました。また、素敵なキャストの皆さんと一緒にお芝居ができるのが、自分の頭の中で想像できたので、「こんなに楽しみなお仕事はない」と思いました。

松さん、角田さん、松田さんと共演されると聞いてどう思いましたか?
やっぱり緊張しますね。僕にとっては怪物級というか、恐れ多い先輩方で(笑)。でも、そんな中でも、共演者の皆さんとこの脚本とこのキャラクターを含めて、面白おかしいドラマをお届けできる気がしています。いろんな化学反応を起こして、皆さんと面白いドラマにしたいです。

今日が皆さんと初顔合わせでしたがいかがでしたか?
先ほどお会いして、すぐ4人の空気感になったと思いました。ドラマの世界とあいまって、居心地のいいゆる~い、ふわ~っとした空気に包まれていたので、普段の感じも含めて役に生かしていけたらいいなと思いました。

視聴者へメッセージをお願いします。
このドラマは、登場人物たちの私生活をのぞいているような感覚のドラマです。とわ子さんを含め、すごく愛おしいキャラクターがたくさん出てくるので、その人たちのちょっとしたつまずきから成長していくお話でもあると思います。3人の元夫が揃ってしゃべっているところは、普通だったらありえないんですけど、この3人だったら、見ていられるなと(笑)。クスっと笑えるところもあります。ぜひ、火曜9時にこの登場人物4人を見ていただけたらうれしいなと思います。

角田晃広 コメント

脚本を読んだ時の感想は?
めちゃくちゃ面白いんですよね。で…「面白いな」と思って、「これをやるんだよな」って思って、「この面白さを壊しちゃいけないな」っていうプレッシャーが一気にきましたね。

今も必死にトレーニングされている感じですか?
はい(笑)。ドラマの撮影って、本番前の読み合わせが、あんまりないんですよね。これは前もって「いいですか?」って声かけないと。1回合わせたいなって感じの会話劇なので、ちょっと思い切って「いいですか?」って言ってみようかなと思います。

これから4人の化学反応は起こりそうですか?
これは起こるでしょう!これは起こりますよ!

それのきっかけを作るのは角田さんになるんですかね?
そうですね。そのために「読み合わせいいですか?」っていうのは言っていこうと思っています(笑)。

松さん、岡田さん、松田さんと共演されると聞いてどう思いましたか?
ドラマの話がきてるってことで、「どういうドラマなの?」ってマネージャーに聞くじゃないですか。その時にまず松たか子さんがいらっしゃって、バツ3で元夫が3人いるんですけれども、それが松田龍平さん、岡田将生さん、角田さん。「なんでだよ!」っていうのが最初でしたよね(笑)。

視聴者へメッセージをお願いします。
面白い作品になるように頑張りますので、どうか皆さん見てください。よろしくお願いします!

松田龍平 コメント

脚本を読んだ時の感想は?
とにかく面白かったです。4人の掛け合いのテンポと間がとても面白いので、撮影も楽しくなりそうです。

松さん、岡田さん、角田さんと共演されると聞いてどう思いましたか?
松さんは以前『カルテット』で共演させていただいて、また連続ドラマでご一緒できるなんて幸せ者です。岡田さんと角田さんは、今日初めて4人で会ったんですけど、皆さんの、雰囲気を感じられてホッとしましたし、少しイメージができて良かったです。

意気込みを教えてください。
坂元さんが描く会話劇を楽しんでやらせていただきたいなと思っています。テンポとか間とか、どうなるか想像するだけで笑えますね。

視聴者へメッセージをお願いします。
笑いながら観てもらえるドラマになるんじゃないかと思ってます。ぜひお楽しみに。

綿来かごめ役 市川実日子 コメント
脚本を読んでいると登場人物みんな、自分の知っているひとのような気がだんだんしてきて、「今まで誰かに話すまでもなかった、日常の中のちっちゃなハテナ」を一緒に披露したくなりました。みなさん個性があります。かごめは自分の個性を受け入れて、いま生きているひとです。いろんなひとがいて、いろんな気持ちがある。素直で面倒で愛らしい。見てくださった方の心がほんのり柔らかくなってくれますように。そう願っています。

松林カレン役 高橋メアリージュン コメント
こんなにくすっと笑いながら脚本を読めること、この作品に出演できることを幸せに思います。人の普段見逃しがちな行動が細かに面白く描かれていて、読みながらずっと笑い、そして伏線回収に感動しております。この作品の世界に約3カ月間入れるのがとても楽しみです。
今作では、華やかな容姿の中のその人を映し出せたらなと思います。監督とプロデューサーさんに言われた「ドキュメンタリーを撮る感覚」という言葉に役者としてとてもワクワクしています。
素晴らしいキャスト、スタッフが揃っているので、良いドラマにならない理由が見当たりません。ぜひ期待していて下さい。

三ツ屋早良役 石橋静河 コメント
脚本を読んで、思わず一人でゲラゲラ笑ってしまいました。それぞれのキャラクターが軽快で切実で、早く完成した作品を見たい!と思いました。早良さんはとても積極的な女の子ですが、好きという気持ちに真っ直ぐなのは素敵なことだと思います。チャーミングに演じられるよう頑張ります。
一生懸命に生きる人たちを、時にクスッと時にエールを送りながら、見ていただけたら幸いです。お楽しみに!

 

脚本・坂元裕二 コメント

最高のキャストと共に連続ドラマを作れることになり、喜びと緊張で高ぶっております。
毎週火曜日の夜九時に笑顔とロマンスをお届け出来るようにがんばります。
大豆田とわ子と三人の元夫たちの大活躍、お楽しみに。

プロデュース・佐野亜裕美 コメント

素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できることになり
とても幸せです。

三回結婚して三回離婚した主人公・とわ子。
三者三様の魅力や欠点をもつ元夫たち。
そんな愛すべきだめな四人を中心に、
愉快な大人たちがゆるやかに連帯していくさまを
楽しんで観ていただける物語になると思います。

火曜9時が毎週待ち遠しくなるドラマになるよう
スタッフ・キャスト一同、精一杯作っていきます。
たくさんのお楽しみを用意しております。
ぜひご覧ください!

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