「大豆田とわ子と三人の元夫」第10話までネタバレありで魅力解説|「大豆田とわ子は最高だってことだよ」
第9話あらすじ&感想
第9話あらすじ
ビジネス上は敵対関係にありながら、心を通わせるとわ子(松たか子)と大史(オダギリジョー)。ところが、社長からの恩義に縛られることなく生きることを選んだ大史は、かねてから誘われていたマレーシアの会社に転職することを決断。さらに、現地では建築士としてとわ子の仕事も見込めるとして、とわ子に「人生を一緒に生きるパートナーになってくれませんか」とプロポーズをする。
そのことを八作(松田龍平)に伝えた唄(豊嶋花)は、「取り乱すから」と慎森(岡田将生)には内緒にしておくようお願いするが、運悪くそこへ慎森が現れる。その後、バッティングセンターで大史と待ち合わせていたとわ子の元に、なぜか八作、慎森が現れる。慎森いわく、八作がプロボウラーと結婚することになった、と。困惑しながら結婚報告する八作の話を聞いていたとわ子だったが、そこに遅れてきた大史が現れて…。
唄の応援もあり、四度目の結婚や新天地での生活に期待をふくらませつつも、一方では社長として会社と社員たちの行く末も気になるとわ子。そんな彼女に対して、元夫たちはそれぞれの思いを胸に行動を起こす。
第9話感想
今に始まったことではないけれど、とわ子、モテるなあ……。一度の人生で3人も結婚までコマを進められる人に出会い、そして4人目まであらわれた。ここまで見守ってきた視聴者は十分とわ子の魅力を感じているはずだけれど、それでも”モテっぷり”に驚いてしまう。
私が思うに、とわ子は「陰口」や「噂話」をしない点が魅力のひとつになっているのでは。あっけらかんとして、細かいことは気にせず、賢くてユーモアもある。何か思うことがあればしっかり本人に伝える点を徹底できている人は、きっとそこまで多くはない。
中でも慎森の夢中っぷりはすごい。会社繋がりで会うことが多いのも想いが途切れない理由のひとつだろう。ことあるごとに、とわ子を気にかけたり家に突撃したりしている。小鳥遊に会いに行こうとするとわ子を身体を張って止めるシーンは、勢いがとくにすごかった。小鳥遊が部長を務めるマディソンパートナーズが経営の危機に陥っていることを知ったからだろうが、とにかく会いに行くことを止めようとする姿勢を崩さない。
「誰よりも君のことを想ってる」と伝えたシーンに、キュンときてしまった……。ここまでまっすぐ人のことを好きになれる慎森もすごいし、それだけの魅力を持つとわ子もすごい。
「人の孤独を埋めるのは、愛されることじゃない。愛することだよ」
「心配することないよ。その人は君のパートナーじゃない。田中さんだよ」
やはり、続編は1作目を越えられないのだろうか。慎森にそう言われたとわ子は、だいぶ揺れ動いたように見えた。その後、自宅を訪ねてきた八作が言った言葉も印象深い。
「君を好きになって、君と結婚してよかった」
「君と結婚して幸せだった、ありがとう。幸せになってください」
娘の唄からも「お母さんは自分で思うほど、強くないんだから」と背中を押される。しろくまハウジングの社長業も松林に任せられるし、小鳥遊とともにマレーシアへ行けば思う存分やりたい仕事もできるし、結婚を拒む理由はどこにもないだろう。
それでも、小鳥遊からプロポーズされたとわ子は、悩みながらもその誘いを断ってしまった。
とわ子が選んだのは、見ようによっては悲しい選択だ。とわ子が好きな八作は、今でも亡きかごめを想っている。「3人いたら恋愛にならない」ーーそれぞれが違う人を想いながら、交差しない矢印を抱えながら、時々同じ人を思い出しながら、生きていく選択。ひとりでいるのは寂しいけれど、その寂しさを受け入れて生きる道を、とわ子は選んだ。
八作とともに、「あったかもしれない未来」を想像するとわ子。ベッドの中で語らうふたりの声がアテレコされている点、さすが芸が細かい。人生における重要な選択を終えたとわ子は、今後どんな生き方を示してくれるのか。次回、最終回。
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