「大豆田とわ子と三人の元夫」第10話までネタバレありで魅力解説|「大豆田とわ子は最高だってことだよ」
第7話あらすじ&感想
第7話あらすじ
かごめ(市川実日子)の一件から1年、とわ子(松たか子)は自宅で一人暮らしを始めていた。高校に進学した唄(豊嶋花)が、通学しやすい旺介(岩松了)の家に引っ越したからだ。娘がいない寂しさを抱えながらも、生活を楽しもうと試行錯誤するとわ子は、ある日、公園で“謎の男”(オダギリジョー)と出会う。
そんな中、とわ子はしろくまハウジングのオーナーが外資系ファンドに会社の株を売却しようとしていることを聞かされる。もし会社が外資の傘下になって利益重視の経営に変わると、コスト削減のために人員整理が行われるかもしれない。会社としてのこだわりや職人気質の社員たちを守るためにどうすればいいか悩むとわ子を心配し、慎森(岡田将生)、鹿太郎(角田晃広)が続けざまにとわ子のマンションを訪れる。一方、八作(松田龍平)はレストランの仕事を休み、一人で旅に出ていた。
後日、唄への届け物のために外出したとわ子は“謎の男”と偶然再会する。夢中になれることや仕事についての会話で徐々に打ち解けていく2人だったが、ひょんなことから話題はかごめのことに。すると、とわ子の口から、ずっと胸に秘めていた親友への思いが止めどなくあふれていき…。
第7話感想
衝撃の前回から、1年が経った。
突然かごめが死んでしまって、その一連にまつわる流れがなんとも唐突だった。ドラマとしてはあまりにも急展開すぎるし、あっさりしすぎている。けれど、これがリアルを投影した形なのかもしれない。人は死んでしまう。あまりにも唐突に、あまりにもあっさりと。
変わらず時が流れているように見えるけれど、かごめの死は至るところで実感できる。とわ子がしきりに周囲の人たちの体調を気遣う描写、たびたび画面にうつり込む「空野みじん子」の表彰トロフィー、北海道に旅に出たハ作、とわ子を心配する夫たちの様子……。
そんな中、とわ子はある男性と出会う。オダギリジョー演じる、謎の”数式の男”だ。
毎朝ラジオ体操をする公園で出会ったとわ子と謎の男。腕をまわす運動がいつも周りと合わないとわ子にとって、その男は唯一、まわす向きが合った男だった。ラジオ体操後、ベンチで休憩していた時に風に飛ばされてしまった、男の書類を集めるのを手伝うとわ子。その後もバス内で偶然見かけたり、バスの中に置き忘れたパンを取りに行ってもらったりと、何かと顔を合わせる機会に恵まれる。だんだんと親密になっていくふたり。
かごめのことについても、とわ子は彼に教える。昨年亡くなってしまったこと。昼間は元気だったのにその夜、突然だったこと。いきなり亡くなってしまったことが、幼稚園の頃に見たマジックショーを思い出させたこと。とても面白い子だったこと。
突然の別れを共有したとわ子に対し、男は「時間」の解釈について話をする。この話がとてもよかった。時間は決して流れていくわけではなく、例えるなら点なのだ。5歳の頃のかごめも、10歳の頃のかごめも、20歳のかごめも30歳のかごめも、とわ子が覚えている限り存在している。心のなかで笑っているなら、彼女はずっとそこで笑っているのだ、と。
亡くなった人を憐れんではならない。生きている人は、幸せを目指さなきゃならない。
大きな別れと小さな別れ、そして大きな出会いと小さな出会いを描いた7話。唄やかごめの存在は、とわ子にとって生活のほとんどをしめていた。まだまだ整理をつけるのに時間はかかるかもしれないけれど、目の前のこの”謎の男”が、もしかしたらともに寄り添ってくれる存在になるのかもーーそう予感した矢先だった。
なんと、その謎の男の正体は、とわ子が社長を務めるしろくまハウジングを買収しようとしている外資系企業・マディソンパートナーズの本部長だったのだ。しかも、株式売却の指揮を取っていたというではないか。
会社でとわ子と対面しても、彼の顔色になんら変化はない。それどころか、またラジオ体操の場で会ったときに平然と話しかけてくる始末だ。あまりにもサイコパスすぎやしないか?
ビジネスはビジネス、プライベートはプライベートで分けたいと考えているらしいが……あまりにもオンオフの切り替えが鮮やかすぎて引いてしまう。この先、とわ子と彼の関係はどうなっていくのだろうか。
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