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「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」解説:ヴァイオレットの成長7つのターニングポイント
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」解説:ヴァイオレットの成長7つのターニングポイント
自分をすべて受け入れる
ヴァイオレットは「心の痛み」を自分のなかに確認すると同時に、「人を殺めてきた」事実に苦しめられていきます。
殺した人、戦火に巻き込んだ人、残された人……。その人たちすべてに大切な人がいたであろうことを、彼女はすでに想像できるようになっています。だからこそ誰かにとって大切な人の未来を奪ってきた事実を目の当たりにして、自分が生きていていいのかという罪悪感に苛まれるのです。そこに追い打ちをかけるように、ギルベルトの死と直面しなければならないタイミングが訪れ、生きる意味を失いかけてしまいます。
しかし彼女は、ギルベルトと別れたあとの時間で起こったこともまた消えないのだと、手紙を通して知るのです。
痛みも希望もすべて背負って生きていく――。過去と今の自分を受け入れることでギルベルトとの別れを乗り越えた彼女の未来には、希望の光が燦然と輝くのです。
人の未来を想い涙する
TVアニメで特に話題にあがることが多い第10話。涙なしに観るのが難しい、神回と言われる10話でも、彼女の成長が見られます。
ヴァイオレットがこの時請け負ったのは、余命いくばくもない母親からこの世に残していく娘に宛てた50年分の手紙を代筆する仕事。彼女はこの仕事の間、娘のアンとも交流を深めていきます。ヴァイオレットは、まだ幼いアンがこれから自分に訪れる「孤独」や「寂しさ」を理解していることを知り、胸を強く痛めます。
そして50通もの手紙を書き終え郵便社に戻ったヴァイオレットは、大切な娘を残してこの世を去る母親と、寂しさを抱えて生きていくアンを想い涙を流したのです。
彼女が代筆の仕事で泣いたのは、この話が初めてではありません。第7話でも、オスカーの前で涙を流しています。しかし相手のなかに自分を重ねて泣いた7話とは異なり、10話はただただマグノリア親子を想った結果の涙でした。
相手に自分を重ねなくても、人の想いに寄り添えるようになったヴァイオレット。涙を流す理由にすら成長が見られることに、いち視聴者として喜びを感じるのです。
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©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会