<ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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「僕がずっと心から尊敬している医者は、甘春先生…あなたですから」。唯織(窪田正孝)から言われた言葉が頭から離れない杏(本田翼)。その唯織が研究チームの一員だったピレス教授の研究室のサイトを見ていた杏は、『留学生募集』の文字に目を止める。
一方、田中(八嶋智人)は、最新の撮影技術を考案した、と言って脳外科医の渋谷(野間口徹)に自分を売り込んでいた。だが田中は、基礎が身についてないことを渋谷に指摘され、すっかり落ち込んでしまう。そんな田中に追い打ちをかけるかのように、別れた妻・幸子(猫背椿)から、再婚することになったというメールが届き……。
ある日、ラジエーションハウスに、医療メーカーの営業マン・山田福造(石井正則)がやってくる。山田は造影剤の販売を担当しているが、十分在庫があるという理由から小野寺(遠藤憲一)に追い返されていた。帰ろうとしていた山田だったが、唯織に声をかけられる。唯織は、彼の左耳が聞こえにくくなっているのではないかと気づいて……。
そんな折、田中は、ひょんなことから山田と知り合う。同じ“福”という字がある名前にも関わらず、不幸続きだという境遇も似ていることから意気投合するふたり。その際、山田は、実家で寿司職人をしている父親から跡を継いでほしいと言われていることを明かすと、冗談で一緒にやらないかと田中を誘う。元妻に再婚され、傷心の田中は、その話に食いつき…。
第9話のレビュー
「幸せ」って、なんだろう?誰しもが一度は考えたことがあるような、ありきたりな疑問について思考を巡らせる回だった。幸せとは、普遍的な定義がないものである。つまり、人によって幸せの形は違うということ。Aにとっては最上級の幸せでも、Bにとっては違うことは大いにあり得ることなのだ。
今回フィーチャーされる田中福男(八嶋智人)の人生は、波乱万丈。本人いわく「捨てられっぱなしの人生」である。
勤め先からはことごとくリストラされ、結婚して幸せを掴んだかと思いきや、妻にも捨てられ……。田中が病院内で必死に自分を売り込む様は、「周りに認めてもらって居場所を得たい」気持ちの表れではないかと、五十嵐(窪田正孝)は分析する。
そんな捨てられっぱなしな田中福男が、医療品メーカーの営業担当・山田(石井正則)と出会う。
造影剤などを売り歩く営業担当の山田、左耳の難聴を抱えつつも日々懸命に働いていた。ハードなノルマがある仕事で、年下の部下から叱られるストレスが難聴に繋がっているのでは……と見当をつける山田。
しかし、持ち前の洞察力で「山田の難聴にはストレス以外の原因がある」と察知した五十嵐。山田に脳のMRI検査を勧める。一度の検査では原因がわからなかったものの……何と「あぶみ骨」と呼ばれる、耳の中にある小さな骨の骨折が難聴を引き起こしていることが分かった(体内で最も小さな骨とされているらしい)。
「まさか、治るなんて!」と小躍りしながらはしゃぐ山田。田中や軒下(浜野謙太)も一緒になって喜ぶ様子が、なんとも可愛らしかった。「良い年した小さいおっさんが喜んでるぞ」という周りからのツッコミにも、ほっこりする。
山田は、日々の大変な仕事に疲れを感じてはいたけれど、業務そのものには誇りを抱いていた。ただの営業担当といった冷めた視点ではなく、「自分が売り歩く医療品が患者の命を救っている」実感を得ながら、丁寧に仕事を進めていたのだ。
そのおかげで、田中の元妻である幸子(猫背椿)の再婚相手(厚切りジェイソン)の検査も、滞りなく行えた。仕事に対する山田の姿勢と熱い思いを感じ取った田中は、今一度、自分にとっての仕事や幸せについて考えることになる。
田中と同じく、自分の居場所を見つけられないがために、心を悩ませている人も多いかもしれない。しかし、そんな人だからこそ、すでに手にしている大事なものが見えにくくなっているのではないか。自分がいる場所こそが、最適な居場所である可能性はないだろうか。
綺麗事に聞こえるかもしれないが、第9話を見ていて、田中の心の揺れ動きを想像していて、率直に思ったこと。「幸せの青い鳥」みたいに、目の前にあるものこそが、かけがえのないものなのかもしれない。そう意識しながら、日々に向き合っていきたいと感じさせてくれた。
※この記事は「ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~」の各話を1つにまとめたものです。
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