<恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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森生(杉野遥亮)から、白杖を持った若者が駅のホームから転落した、という連絡を受けたユキコ(杉咲花)と空(田辺桃子)。ホームドアのない駅のホームは、視覚障害者にとっては『欄干のない橋』と同じ。その日、体験学習に向かうために駅に居た青野(細田佳央太)の身を心配したユキコたちは、慌てて病院に駆けつける!しかし、病院でベッドに寝かされていたのは、青野ではなく、なぜか森生で……!?
翌日。ユキコは退院する森生に付き添うため、お弁当を用意して森生のもとへ。娘が初めて彼氏の家に上がることに神経をとがらせる誠二(岸谷五朗)の一方、イズミ(奈緒)は妹の恋を応援する。しかし、松葉杖をついた森生と白杖をついたユキコは、いつものように歩調を合わせることができず……。さらに、散らかった森生の部屋で、怪我をした森生の力になれないことに、ユキコは人知れず自信をなくしてしまう。
1週間後。ユキコの元に、就職支援をしていた緋山(小関裕太)から連絡が入る。それは、希望していた飲食関係の会社がユキコに興味を示しているという連絡!その日、森生の快気祝いに茜の店でサプライズを準備していたユキコは、嬉しい気持ちで森生を待つが……。
そんな中、森生には、獅子王(鈴木伸之)を通じて正社員になるチャンスが訪れる。しかし、赴任先はなんと鹿児島だと告げられて……!
ユキコと森生、2人の前に拓ける別々の道。森生の人生を邪魔したくないと思うユキコと、ユキコの人生をサポートする緋山の存在を前に自信をなくす森生。決断を迫られた2人が選ぶ道とは……!?
第9話のレビュー
青野(細田佳央太)の身に何かあったのではないかとハラハラさせられた前回。白杖の人が線路に落ちたわけではなく、実際には間一髪のところを緋山(小関裕太)に助けられていた。とりあえず、何もなくてよかった…。涙を流して青野をハグする空(田辺桃子)が愛おしい。2人まとめてまるっと抱き締めたくなった。
が、なぜか慌てて駅に駆け付けた黒川(杉野遥亮)が怪我をして入院することに。一体どんな展開だよ、とツッコミたくなるが、ユキコ(杉咲花)の言うように、そういうところこそ黒川のいいところだ。
しばらくの間、松葉杖での生活を余儀なくされた黒川。退院の日、ユキコは黒川を手伝いに行く。お弁当を作り、イズミ(奈緒)に持たされたお菓子と茶葉を持って用意は完璧。
だが、2人の歩くペースは噛み合わないし、白杖と松葉杖が交錯しちゃうし、黒川の部屋が散らかっているせいでユキコは思うように動けないし、なかなか大変そう。
こぼしてしまったコーヒーを、床に落ちていた黒川のパンツ(なぜキッチンにパンツ?)で拭いてしまうユキコ。「雑巾みたいなもんすけど、ユキコさんが触るには申し訳ないもんす!」と慌てて取り上げる黒川。
なんだなんだ、楽しそうじゃないか。ちょっと混ぜて欲しい。それが無理なら、せめて1時間ずっと2人の様子を見せてくれないだろうか。
平和な空気が一変したのは、黒川に正社員の話が持ち上がってからだ。
正社員になれるかもしれない、ただし、赴任先は鹿児島県。あまりにも遠すぎる。獅子王(鈴木伸之)から話を聞いた黒川は、すぐにユキコに「行かないですよ」と宣言。一緒にいたいからだと言われ、ユキコも嬉しそうだ。
同じ頃、ユキコもまた就職活動に動きが。希望していた飲食関係の会社が興味を持ってくれたという。しかし話を聞きに行ってみると、調理に携わるのは難しく、デスクワークが中心になるらしい。素人感覚だからかもしれないが、企画ならできるんじゃないかと思っていたのに…現実は想像以上に厳しい。
それでも次第に、“求められている”だけでもありがたいのではないかと考えるようになるユキコ。そして、黒川も本当は鹿児島へ行きたいんじゃないか? 自分が黒川の人生の邪魔をしているんじゃないか? と考えはじめてしまう。複雑だ。
一方の黒川は、早々に獅子王に正社員の辞退を申し出る。
せっかくのチャンスを手放そうとする黒川に、獅子王もまた悩む。獅子王にとっては黒川が大切な人なのだから、できればそばにいたいはずなのだ。どうしてあげるのが正解なのか、しかし自分の気持ちもある…こちらも複雑。
黒川に、デスクワークだったとしても自分に興味を持ってくれた会社に就職を考えていることを打ち明けるユキコ。対する黒川は、正社員の話を断ったことを告げる。その理由はやはり、ユキコと一緒にいたいから。
これって別におかしな話ではないと思うのだ。“ワークライフバランス”という言葉があるけど、オンとオフのどちらをより重視するかというのと同じで、自分が誰とどこで生きていたいのかを基準に仕事を選ぶことは、決して悪いことじゃない。こればっかりは、周りがとやかく言うことじゃないはずなのだ。本来は。
いつものように黒川の腕をとって、並んで歩き出す2人。だんだんと濃くなっていく寂しさは、降り出した雪のせいだけではなさそうだ。お互いを思うからこその、気持ちのすれ違い。近くにいるのに、これまでにないくらい距離を感じる。
そんなタイミングで、黒川はユキコが緋山に抱き締められている場面に遭遇してしまう。もちろんユキコは緋山の告白を断ったが、きっと黒川は誤解しているだろう。
直後に黒川を呼び出したユキコ。「鹿児島へ行って」とか、「正社員になって」と切り出すのかと思った。あるいは「私が重荷になってるよね?」とか。
だが、ユキコが口にしたのはそのどれでもなかった。「私たち、別れよう」ときっぱり言ったのだ。
なんでそうなる!!! まず浮かんだのはその一言だった。
たしかに、黒川は何を言っても頑なに「ユキコのそばにいたいから」を繰り返すだろう。だけど、もうちょっと他のやり方はなかったか。好きな人を傷つけ、ユキコ自身だってボロボロに傷付いているじゃないか。もっと納得のいくやり方があったはずなのに。
余談だがこのシーンの杉咲花の涙、そしてそのあとの小さな後ろ姿から伝わってくる悲しみにやられて、筆者は本編を2回見て、2回とも大号泣した。多分この先、見るたびに何度だって泣けるだろう。ちょっとそれくらいすごいシーンだったので、もし見てない人がいたら絶対に見てほしい。
今回、ユキコはしきりに「黒川は人から必要とされたいはず」と言っていた。けれど、黒川を必要とするのは会社や不特定多数の誰かではなく、ユキコだっていいんじゃないか。そう思うのは、2人に一緒にいて欲しいと願う筆者のエゴかもしれない。だけど、まだはっきりと見えてこない黒川の本心を、周りが勝手に決めてしまっているような気もしてしまって切ない。何より、こんな風になってしまった2人を見ていられないのだ。
ここまで、いつだって想像を超える世界を見せてくれた「恋です!」。それぞれの思いも、未来への希望も、すべてが明るい場所へと繋がる最終回が待っているだろう。だから、今回だけはたくさん泣けばいい。その分、来週またたくさん笑顔になれるはずだ。
※この記事は「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」の各話を1つにまとめたものです。
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