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2022年11月04日

<親愛なる僕へ殺意をこめて>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<親愛なる僕へ殺意をこめて>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

最終話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

>>>「親愛なる僕へ殺意をこめて」9話の予告をYouTubeで見る
浦島エイジ(山田涼介)のもうひとりの人格“B一”は、『殺人鬼・LL』の正体がエイジの義父・亀一(遠藤憲一)だったことをナミ(川栄李奈)に打ち明ける。だが、証拠になるものが何もないため、亀一に会って確かめるという。亀一がそれを認めたらどうするつもりなのか、とナミから問われたB一は、「浦島亀一を殺す」と答え――。
B一は、浦島家のリビングで亀一と対峙していた。亀一は、真実にたどり着いたB一の推理に感心しながらも、「まだ満点はやれないな」と告げる。
八野衣真(早乙女太一)が売春組織から少女たちを救ったのは、人のためや罪滅ぼしのためではなく、女性を食い物に仕事をしなければならない惨めな現実から目をそらしたかっただけだ、とB一に告げた。そして、『殺人鬼・LL』がどのようにして生まれたのかを話し始め……。


第9話のレビュー

身勝手な亀一、怒りに震えるエイジ

自分のことを「壊れていた」、「生まれた時から不確かだった」という亀一(遠藤憲一)。
空っぽな心を満たすために子どものころから動物を繰り返し痛めつけ、次第にその矛先は人間へ向いていったという。
そして16年前、突然痛みを感じない体になった亀一はこれを啓示と受けとめ、女性を襲うことに。
拷問している間は痛みを感じ、自分が存在していることを実感できたと語る。
しかし、5人目を拷問している時にまた空っぽな自分に戻ってしまい、不確かな存在に戻ってしまったらしい。
そこでエイジの父、八野衣真(早乙女太一)を殺人鬼LLにし、真が死ぬ様を見て自分に痛みを…そして、生きている実感を得ようと考えた。
「だが結局、あいつが死んでも何も感じなかった。真の死は何の役にも立たなかったんだよ」
と告白。
「ふざけるな!!!!!」
怒りに震えるエイジ(山田涼介)が叫んだ。

サイコパスとはこういうことか!と思い知らされるシーンだった。
淡々と自分のことを語る亀一と、怒りに震えるエイジ。
2人の演技はまさしく静と動。
悪と善、氷と炎のようであった。

さらに告白は続く。
エイジとの出会いは予想外のことだったという。
亀一は、エイジが幼い頃から二重人格であることを知った上でエイジを養子にしていた。
復讐を目的としているエイジを使って「愛する息子に殺される自分」に興奮し、最高の痛みを得たかったようだ。
だからこそ、我が子である乙(夏子)よりも、エイジのことを大切に育ててきたとエイジに訴えた。

雪村京花(門脇麦)の存在も亀一には好都合だった。
京花のお陰で物語が動き、エイジは復讐心を燃やしながら今、亀一の前にたどり着いたのだから。

「お前の望み通り、ぶっ殺してやる!!!」
と、銃を向けるエイジに対して亀一は
「ずっと待ちわびた瞬間だ。さぁ、エイジ!お別れだ。私の空っぽの心をお前が満たしてくれ」
と、懇願した。

だかエイジは結局、撃つことはなかった。
亀一の欲求に背くこと、これこそがエイジ最大の復讐法だったのだろう。

これまでの怒りや苦しみ、そして悲しみを抱えてきたエイジという難役を山田がまさに“好演”。
違和感のない演技で初回からここまで視聴者を魅了した。
著者もこのドラマですっかり山田の演技に魅せられ、ファンになった。
今後も山田のことを追っていきたいと思う。

2人のエイジの結末は…?

裁判所のシーン。
ナミ(川栄李奈)が見守る中、エイジは、「雪村被告が犯したもう一つの殺人を話さなければならない」と語り出した。
京花はエイジとB一の2つの人格を統合し、その人物にLLを継いでもらうことが目標だった。
心の優しいエイジに「出来損ないの人格」、「この世に存在しない人間」と言い放ち、エイジの人格を殺したのだった。

亀一同様、京花もやはりクズ中のクズだった。
どうしてこの2人はここまでエイジのことを苦しめるのか……。
身勝手な行動に嫌悪感しかない。

結局、亀一は死刑判決が下された。これは亀一にとって最悪の最期だろう。
京花の刑は明かされていないが、悪質極まりない犯行だったので刑は重いことが予想される。

そして、乙と母の涙のシーンは泣けた。
エイジ同様、この2人も亀一によって人生をめちゃくちゃにされた人たちだった。
どうか2人で支え合って、強く生きていってほしいと強く願う。

ラストシーン。
刑を終えて出所したエイジとナミは海にいた。
エイジに感謝の言葉を伝えるナミ。
エイジ自身も、もう一人のエイジに感謝をしているようだった。
別れを告げて歩き出すナミがふと後ろを振り向くと、耳たぶを触るエイジの姿があった。
それはナミが好きだった優しいエイジのクセだった。

山田と門脇、そして後半の遠藤の怪演に目を奪われたが終始、エイジを見守る川栄の演技も視聴者にとってはほっとする存在だった。
初回から残虐なシーンが多く、9話も見続けられるか自信なかったが、ラストまで無駄なシーンが一切なく、ぎゅっとコンパクトにまとめられた構成は素晴らしかった。

考えさせられる重いテーマのドラマだったが、ラストの山田の笑顔で私たち視聴者は幾分か救われた。

今はエイジに「殺意」がないことを願い、このコラムを閉めたいと思う――。

(完)

※この記事は「親愛なる僕へ殺意をこめて」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)フジテレビ

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