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2023年11月16日

<下剋上球児>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<下剋上球児>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】


第10話(最終話)ストーリー&レビュー

第10話ストーリー



星葉高校にサヨナラ勝ちし、ついに決勝進出を決めた越山高校野球部。しかしいざ勝ち進んでも、甲子園出場には高額費用がかかることが発覚。丹羽(小泉孝太郎)は地元の有力者たちを集めて皆で頭を悩ませていた。

そんなこととはつゆ知らず、南雲(鈴木亮平)の家で決勝へと決意を固める部員たち。三年生は皆、高校生活最後になるかもしれない試合、そしてその後の進路について思いを巡らせるのだった。そんな中、大学からスカウトを受けていた根室(兵頭功海)はそのことを姉・柚希(山下美月)に言えずにいて…。さらに犬塚(小日向文世)はある決意を固めていた。

そしていよいよ決勝当日。星葉高校の応援団も越山の応援のために駆けつけてくれるなど越山高校応援ムードの中、南雲と生徒たちの“日本一の下剋上”がかかった、運命の試合がスタートする。

第10話レビュー

私たちは、不安になる。今やっていることが、果たして次に繋がるのか。懸命に打ち込んでいることが、将来、何かの役に立つのか。

南雲(鈴木亮平)や山住(黒木華)率いる越山高校の球児たちも、最初はそう思っていたかもしれない。弱い自分たちが、努力をして何になる? 頑張って練習をしたからって、“残念”の“ざん”と揶揄される自分たちが、甲子園に行くなんて夢のまた夢じゃないか。

でも、繋がった。終わらなかった。


ときに過酷な練習と試合を重ね、着実に強くなった。できなかったことが、できるようになった。ミットでボールを掴むこともできなかった球児たちが、ヘッドスライディングで鼻から血を流していた彼らが、夢と目標、そして共に志す仲間がいるおかげで強くなっていく。

このチームのために、強くなる。自分たちを信じてくれている大人たちのために、甲子園を目指す。気づいたら、このドラマを最後まで見守ってきた視聴者も含め、頑なに祈っていた。勝ちますように、報われますように、と。


甲子園を目指して戦ってきた彼らは、全員がプロの野球選手になるわけではない。部活から引退し、高校を卒業すれば、それぞれの進路へ巣立っていく。

根室(兵頭功海)のように社会人野球で活躍する者もいれば、犬塚(中沢元紀)のようにコーチを経験したあと、教師を視野に入れる者もいる。

だからこそ、高校での部活は貴重な時間だ。「青春」という二文字で終わらせるには、もったいない時期。自分がその渦中にいる間は、そのかけがえのなさに気付けない。南雲が言ったように「一生のうちにこのメンバーで野球ができるのは、今だけ」なのだ。


ともに強くなってきたメンバーで、彼らは勝ってみせた。甲子園出場がかかった予選。ここを守れば勝ち越しという場面で、音が消えた。襲いかかる期待とプレッシャーに、「勝ちたい」「甲子園に行きたい」……その気持ちだけで打ち勝った彼らは、まさに下剋上を成し遂げたのだ。

南雲は言っていた。「どんな手を使っても勝ちたくなってきた」と。彼のなかには言葉にならない、映像では表現されない思いが去来しただろう。かつて自分が涙をのみ、望まない勝ち方をした苦しい過去も含めて。そんな南雲が言う「どんな手を使っても」には、字面以上の意味がある。

下剋上を成し遂げてみせた彼らの夏は、誰にとっても忘れられない夏になった。


越山高校の球児たちの夏は、刹那的で、かつ途方もない時間が流れていた。

南雲の無免許問題、山住や久我原(橘優輝)の負傷、越山高校の資金繰り。課題が山積するなかで、球児たちがやるべきことは一つだった。目の前の試合に勝つために、練習すること。深呼吸し、集中すること。

「負けてもそこで、終わりじゃない」

「必ず次がある」

「次を目指している限り、人は終わらない」

意味のないことなんてない。無駄に終わることなんてない。部活なんて頑張っても将来の役には立てないかもしれないし、仕事なんて給料の範囲で適当にこなしていればいいかもしれない。それでも、人は終わらないのだ。次を目指している限り、夢や目標が潰えない限り。それを球児たちから教わった。

終わらない夏、終わらない下剋上。甲子園に連れていってくれて、ありがとう。

※この記事は「下剋上球児」の各話を1つにまとめたものです。

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