<下剋上球児>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
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根室(兵頭功海)が南雲(鈴木亮平)の家に泊まるようなったのを機に、南雲のもとに練習後の野球部員たちが集まるようになったある日。ついに南雲の事件が検察に送致されることに。果たして南雲に下される処分はいかに・・・。
そんな中、南雲と青空(番家天嵩)は東京の美香(井川遥)の仕事場を訪ねる。久々の再会に喜ぶ南雲家だったが、そこには美香の元夫である晴哉(大倉孝二)の姿もあった。一方野球部では、南雲の後任監督が、新人を一人もスカウトできなかったことを理由に犬塚(小日向文世)によって解任され、山住(黒木華)が自ら新監督に申し出る。そして迎える夏の予選、初戦の相手は昨年ベスト8の五十鈴高校に決定! 初戦に向け、気を引き締める部員たちだったが、五十鈴高校野球部員から、横浜にいた頃の山住に関するあるうわさを聞かされる――。信頼する山住、そして南雲を野球部に戻すために部員たちは“夏に一勝”を目指していく。
第6話のレビュー
なぜ球児たちは、南雲(鈴木亮平)や山住(黒木華)のことを信頼できるのか?
無免許で高校教師を名乗っていた南雲の不起訴が決まった。時を同じくして、山住に関する“ウワサ”が球児たちの耳に入る。夏の予選で対戦相手となる五十鈴高校の部員から「山住が越山の前に勤めていた学校を辞めた理由は、部員と淫行したのがバレたから」と聞かされたのだ。
ニセの教師と、淫行のウワサがある教師。予選を前にした球児たちにとって、決して穏やかな話題ではない。それでも彼らは二人の教師を信じた。
南雲に対しては、生徒たちが主導して寛大な処罰を求める嘆願書に署名を集める活動を始める。山住に対しては、最初からそんなウワサを物ともせず、決然とした態度を貫いた。南雲に対して「ウワサを知っているか」と電話で確認はしたものの、「山住先生を信用するのか、噂を信用するのか」と強く問い返されたことにより、むやみにウワサを広めることはしなかった。
球児たちがここまで南雲と山住を信頼できる理由は、それだけの言動と姿勢を、二人が示し続けてくれたからだ。
嘘のない率直な言葉で、自分たちと向き合ってくれた。他の大人や他校の生徒は「越山の“ざん”は、残念の“ざん”」と貶すが、南雲と山住は彼らの可能性を信じ、ダメな部分はダメと言い、具体的な言葉で「どうすれば強くなるか」を教えてくれた。
確かに、無免許で高校教師を名乗った南雲は、紛うことなき犯罪者だ。彼が、どれだけ強い信念を持った人物でも、生徒一人ひとりに対し真摯に向き合っていたとしても、“教師の才能”があったとしても、罪は消えない。やってはいけないことをした過去はそのままで、多くの人を裏切ったことには変わりない。
それでも、思うのだ。南雲や山住から直接の指導を受けていた球児たちにとって、彼らは、誰よりも自分たちのことを考えてくれた教師だ。積み重ねてきたものがあるからこそ、球児たちは信じた。自分たちのことを諦めず、強くしようと力を尽くす大人に、報いようとしているのだ。
球児たちの一人が「資格って、なんやろ」と何気なく呟くシーンがある。その些細な疑問が、このドラマの根幹に関わっている気がしてならない。
結果的に、山住にまつわる生徒淫行のウワサは、まったくのデタラメだった。わざわざ越山の球児たちに接触してきた五十鈴高校の生徒が、山住を陥れた張本人だったのだ。
キツい練習に耐えられず、教師である山住に対してつい弱音を吐いてしまった。頑張っているのに「頑張っていない」と断定された、そう勘違いした結果、彼は苦し紛れの腹いせに山住を退職に追い込んだのだろう。
それでも、彼の真意はわからない。本編で山住が口にしたように、何を考えているかを推し量れないところがあった。「何を考えてるか、わからなかったから。わからない自分が情けなくて辞めたの」と、前の学校を辞めた本当の理由を語った山住は、強かった。生徒の理不尽なやり口に屈することなく、かつ、彼らの将来を守るために真実を公表もしない。
そして何より、本人に罪悪感を抱かせない。その山住の姿勢は、やはりどこまでも教師だった。だからこそ越山の球児たちは、南雲も含め、山住のことも信頼してついてきたのだ。
夏に、一勝。この目標を達成したら、南雲が越山の野球部監督として復帰する。早々に目標を達成してみせた彼らは、着実に強くなっている。
※この記事は「下剋上球児」の各話を1つにまとめたものです。
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