<ブギウギ ・恋愛編>11週~15週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第65回のレビュー
「音楽が時勢や場所に縛られるなんて馬鹿げている。音楽は自由だ。誰にも奪えないことを僕たちが証明してみせよう」
(羽鳥善一)
2024年、最初の「ブギウギ」はまだ戦時中の暗い時期です。
第13週「戦争とうた」(作:櫻井剛 演出:福井充広)は4日、5日の2回のみ。そこに、富山のスズ子、鹿児島のりつ子、上海の羽鳥と、3箇所で、それぞれの戦争との向き合い方が描かれました。
スズ子(趣里)は悩んでいます。
楽団と共に富山県高岡市に慰問に来ましたが、おりしも大きな空襲があったところで、旅館では被災者を受け入れていました。
沈んだ人々を見て、スズ子は自分の歌を聞いてもらえるだろうかと心配します。
悲しいときこそ、歌が人々の心に火を灯すのだという考えもあります。一方で、エンターテインメントは役にたたないのはないかという考えもあります。
戦争の時代に限らず、現代の私たちも、震災やコロナ禍で、エンタメは不要不急か否か、という問題に直面しています。
おりしも、2024年の元旦、石川県で大きな地震があり(令和6年能登半島地震)、富山も影響を受けていて心配です。藤子屋とは高岡出身の藤子不二雄からとったであろうと楽しく見られたはずが、そうもいきませんでした。
旅館で働く静枝(曾我廼家いろは)は、夫を戦争で失い、ひとり娘・幸(眞邊麦)をひとりで育てています。日本は戦争に勝つだろうかと不安に思うスズ子に対して、静枝は勝たなくては夫の死が無駄になると考えています。
茨田りつ子(菊地凛子)も少し揺れています。
鹿児島の海軍基地に慰問に来たりつ子は、軍歌を歌うことを期待されますが、軍歌は性に合わないと拒み、軍人を閉口させます。
りつ子はこのご時勢に反して、衣裳も派手なものでいこうとしています。何事も抑えめでという考えの一方で、華やかなものがいっときの心の支えになることもある。そういう考えでこれまでやってきたのです。
でも今回は、特攻隊の青年たちのために歌うコンサートです。いつ特攻に出ることになるかわからないと彼らのために何ができるのかーー。彼らの望む歌を歌うことにするりつ子。果たして、特攻隊員たちは何を希望するでしょうか。
羽鳥善一(草彅剛)には迷いはありません。
上海に渡った善一は、日本政府が国策のために開催する音楽会を利用して、音楽は時勢も場所も関係なく、自由であることを証明しようと試みます。
中国人である黎錦光(浩歌)の作った「夜来香」にアメリカの音楽ブギをアレンジした「夜来香ラプソディ」を作り、音楽会で演奏することで、民族の違いなど関係なく、音楽で混ざり合うという趣向です。
ところが、コンサートの模様はドラマでは描かれませんでした。セリフで「大成功」と言うだけ。がーん!っと思ったら、大成功の余韻に、コンサートの立役者となった李香蘭(昆夏美)が「夜来香ラプソディ」を披露します。
プロのミュージカル俳優である昆夏美さんののびやかで艶やかな高音は、お正月にふさわしかったです。
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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