<ブギウギ ・恋愛編>11週~15週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第68回のレビュー
終戦から 3ヶ月、愛助(水上恒司)が学業に復帰することになり、スズ子(趣里)はお祝いしようと、闇市に買い物に向かいます。でも、物価は高く、たいした食材は買えません。そこへ、米兵が、チョコレートを配りに来ます。子どもたちは「ギブミーチョコレート」と群がります。
小夜(富田望生)も覚えたての英語でねだり、チョコをゲット。スズ子とふたり、チョコを頬張り英気を養いました。
そこへ、今度は宝くじ売りが現れます。1等は10万円。
スズ子は愛助のお祝いに、夢を買います。
プレゼントに宝くじって、お金のない男子にありがちな発想だなあと、筆者は知人を思い出し苦笑しました。女性にもいるかもしれませんが。
さて。続・朝ドライフ、おなじみ、お金の当時の価値コーナー。戦後になったので、資料を「戦後値段史年表」(週刊朝日編)に変更しまして(明治、大正の項目をなくして編纂されたもの)を見てみます。
それによりますと、昭和21年に地方くじの第 1号が登場し、そのとき、1枚10円で1等は1万円。一等10万円になるのは昭和22年です。ほかに賞品が、柱時計、ラジオがありました。
昭和22年で、おみくじが10円です。占いするより、未来を買うほうがいいかもしれないです。
昭和21年ではダイヤモンドが35万円です。10万円が高価なのだからどれだけ高価なのでしょうか。
当時のうな重の値段が不明ですが、昭和23年だと並で250円。10万円あったら400回食べられます。
江戸前鮨なら30円です。うなぎがいかに高価かわかりますね。
資料によると、寿司もうなぎも、昭和16年〜終戦まで統制により営業が禁止されていたそうです。解禁になったときうれしかったでしょうね。
愛助は10万円あれば、チャップリンやキートンを日本に呼んで興業したいと夢を語り、小夜とスズ子はうなぎがいいなあと思います。
なんとなくではありますが、女性を素朴な感性に押し込めてそれを微笑ましいふうに描くこの感覚は、「カーネーション」の糸子の「お昼にしようけ」とは似て非なるものであります。
ただ、小夜の貧しいゆえの発想や、スズ子の徹底的な庶民感みたいなところも否定すべきではないとも感じます。この感覚の違いの問題は朝ドラを語るうえで興味深く、慎重に考える必要があります。
食べることばかり考えているスズ子や小夜。もらったチョコレートを愛助にもって帰ってあげようとは思わなかったのでしょうか、という視聴者の反応は想定内で、あえて、隙を作っているのかもしれません。
この、間違い探し的な構成は近年の朝ドラに顕著ですが、なくてもいいような気もしています。ふつうに常識的なことは1秒くらいでさらっと入れてもいいのではないでしょうか。
戦災孤児の描写はあまりに段取り的で、丁寧で繊細な安達もじり演出をなつかしく思いました。現代の子役たちはこの芝居をどう思って演じているのでしょう。
戦争を知らない彼らが演じながらなにかを考える、当時を知らない視聴者が見てなにかを考えることがなければ、描く必要はあるでしょうか。
放送週に記載します。
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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(C)NHK