<虎に翼・弁護士編 >6週~9週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第41回のレビュー
昭和20年3月10日、東京大空襲、花江(森田望智)の両親亡くなる。
昭和20年7月、直道(上川周平)戦死。そして終戦。この間3分。これじゃあ速送りもできません。
第9週「男は度胸、女は愛嬌?」(演出:安藤大佑)のはじまり。
寅子(伊藤沙莉)は疎開先から敗戦後の上野へ、そこは荒廃し殺伐としています。戦争末期の描写が3分だったわりには上野の街のすさみ具合には力が入っています。
カフェー燈台のあった場所へ向かった寅子は、近隣の人からお店の人は亡くなったと教わります。
それはマスター増野(平山祐介)のことでしょうか。空襲のとき、よね(土居志央梨)と一緒でしたが、よねはどうなった? 呆然となった瞬間、カットが切り替わり、寅子は登戸に帰宅。
直言(岡部たかし)の会社は、戦争が終わって注文が途絶えたため従業員に暇を出し、閑散としています。どうやら彼の会社は軍需景気に助かっていたようですが、詳しくは過去作「おしん」などをご参照、という感じでしょうか。
岡部たかしさんも、はる役の石田ゆり子さんもだいぶ老けた演技をしているように感じます。
石田さんが孫のいる「おばあちゃん」役だなんて。
はるは、父を亡くした直人と直治がぐちを言わずに耐えていることに気づき、思いきり弱音を吐くよう促します。石田さんのようなこんなすてきなおばあちゃんがいるだけで幸せですね。寅子と直言はそれを立ち聞き(座り聞き)しています。
はるは「おばあちゃんにはねちゃーんとわかってますよ」、直人は「僕にはわかるんだ」と亡くなった直道の口癖がいつの間にか伝染っていました。もうあの「俺にはわかる」が聞けないかと思うとさみしい。
戦争が終わったのですから、優三(仲野太賀)が戻ってくるといいのですが……。
戻ってきたのは、直明(三山凌輝)でした。
帝大に行くつもりだった直明が、大学にはいかない、家族のために働きたいと言うのを聞いて、「納得いかない寅子です」とナレーション(尾野真千子)。「納得いかない」は完全に現代語ですね。
おそらく伊藤さんは、戦時中の雰囲気をそれらしく書いた台本があれば的確に演じることができる人でしょう。このドラマでは、従来のそれらしい戦時中の雰囲気描写をある程度の時間をかけてなぞることはしない選択をしたようなので、さらりとそれらしきシーンとセリフで済ませており、「日本の敗戦をひしひしと感じていました」「それでも生きていくしかありません」と語るにはやや味気なく、俳優たちも気持ちを入れづらそうに感じました。
直言の体調が悪そうな芝居も、こういう様式的にやらざるを得ないところは得手じゃないんだなあと感じます。前後左右がなく、戦争が3分間で終わってしまったのですから無理もありません。せっかくブレイク俳優として注目されているのですからここはしっかりやりきっていただくことを期待します。
戦争中のつらさとか戦争への疑問とか終わった解放感とか虚しさとか寅子の想いは明日以降、じょじょに語られるのでしょうか。
伊藤さんは赤ちゃんの抱き方は安定していたし、直明が帰ってきたとき喜びのあまり、彼をパンパンたたく動作は生き生きしていました。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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