<虎に翼・弁護士編 >6週~9週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第27回のレビュー
昭和12年、寅子(伊藤沙莉)は大学を卒業しました。穂高(小林薫)の卒業の言葉が印象的でした。長らく当たり前と思っていた法律や習慣や価値観が間違っているとわかっていても、急に変えることは難しい。それでも、少しずつ、引き剥がして溶かして、新しく上塗りしていくしかない、というような内容(大意)はドラマの主題を物語っているようです。
「上塗り」という言葉をなぜ選んだのか。まったく変えてなかったことにするのではなく過去も大事にしていくということでしょうか。油絵のように、絵の下にまったく違う絵があるようなことがありますから。
「虎に翼」のおかげで法改正に興味を持つ人もいるのではないでしょうか。
ドラマが放送されている2024年現在では、法改正が行われるものとして、労働基準法、労働基準法施行規則、年金制度改正法、不正競争防止法、商標法、意匠法、景品表示法、民事訴訟法等などがあります。政治資金規正法も改正を協議中です。新しいものとしては、フリーランス保護新法が施行される予定です。
どんな法律があって、それが適正なのか否か、自分自身で考えてみるいい機会です。真面目か。
寅子は、共亜事件で関わった雲野六郎(塚地武雅)の事務所で働くことになりました。でも最初の仕事は「お茶くみ」で……。
”雲野六郎”という名前は「真田十勇士」でおなじみの名前です。同じく十勇士の根津甚八だったら小林薫と状況劇場(5月4日亡くなった唐十郎さんの主宰していた劇団)つながりだったのに。
ともあれ、名前からして、雲野はこれから活躍してくれそうな予感です。
働き始めた寅子にはもうひとつの進展が。どうやら花岡(岩田剛典)とおつきあいしているらしく、お互いの仕事の合間を見ては、共に過ごしています。
花江(森田望智)は、婚約だけでもしてはどうかと勧めます。そうしたら、仕事がだめでも結婚の道があると。さすがちゃっかりしています。
御学友たちとは勉強会を続けています。香淑(ハ・ヨンス)は甘味処・竹もとで働き始め、ますますこの店がたまり場化しています。桂場(松山ケンイチ)と
よく出くわしてしまうのではないかと気になりますが。
あるとき、竹もとに特高警察がやって来て、不穏な空気に。香淑の兄の働いている出版社の同僚が反体制運動に参加していたことで捕まり、兄も関与が疑われていました。出版物も取り締まられているようです。
身内の香淑も巻き込まれていました。高等警察には 朝鮮人で思想犯の疑いのある兄を持っているから試験に受かるはずがないと言われてしまいます。優秀であれば受かるものではないようです。
香淑は兄と共に故郷・朝鮮に帰ることも考えたものの、女子部の未来のために勉強を続けたいと思って残っていました。
みんなのために。女子部のために。
朝ドラのヒロインは、まず自分のために生きる人が多く、ともすれば他者をないがしろにしたかのように見えてしまうことも多々ありました。
ドラマを見ている人には、自分を大事にして成功した人もいれば、自分を大事にした人によって傷ついた人もいて、後者はヒロインの自由さに胸を痛めることもあるのです。
もちろん、自分のためも大事です。どうしたらいいのか。何かを選択するとき、目先のことではなく、より良い未来のためにと考えることが大事ではないか。香淑の行動を見てそう思います。
せめて、いま自分が成功したとして、それは自分が頑張ったからだけではなくて、誰かが土台を作ってくれたから壁を飛び越えることができたのかもしれない。自分を先に走らせてくれた人のことを、決して忘れてはいけない。真面目か。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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