続・朝ドライフ

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2024年05月25日

<虎に翼・弁護士編 >6週~9週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<虎に翼・弁護士編 >6週~9週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第29回のレビュー

結局、筆記試験に梅子(平岩紙)は現れませんでした。
夫(飯田基祐)が若い女性と再婚するからと離婚を言い渡され、子供にももう会わせないと言われた梅子は三男・光三郎だけ連れて家を出たのです。

試験だけ受けて合格してから、息子をこっそり連れ出すとかはできなかったのでしょうか。
受かるか受からないかわからないから、それで息子と二度と会えなくなるのを恐れたのでしょうか。

寅子が勉強をはじめた頃、傍聴した離婚裁判は女性が離婚を申し立てて揉めていましたが、夫が離婚を決めたら女性は従うしかなかったようです。

夫は浮気したうえに梅子が仕事をする可能性も潰すとは、どういう人なのか。この時代、女性がこれほどひどい目に合っていたと思うと、梅子の手紙を読んで泣く寅子(伊藤沙莉)の気持ちがよくわかります。

梅子は残念でしたが、寅子たちは筆記試験に通過しました。

去年だって筆記試験に自信があったのに落ちたのはなぜか、桂場(松山ケンイチ)いわく、男性と女性とで同等の成績であれば男性が選ばれるから、女性は男性を凌駕するくらいでなければいけない。これは現代でもまだ残っている考え方で医学部入試の女性差別が問題になったことがありました。
女性の立場はいかに不利か。でもつまり世に出ている女性は男性よりかなり優秀な人ばかりだってことですね。

口述試験の当日、寅子は予定よりも早く月経が来て、最悪な状態で試験に臨むことになりました。
三陰交のつぼをそっと抑えているのを見て、寅子の体調に気づくよね(土居志央梨)。彼女がお店の女性たちに教わったものでした。

ツボの抑え方を女子部のみんなで覚えたのはなつかしい思い出。一緒に覚えた梅子も涼子(桜井ユキ)香淑(ハ・ヨンス)もいまはいません。

優三(仲野太賀)はことあるごとにお腹を下してチャンスを逃していますが、寅子の場合、忘れた頃に月経。梅子の離婚といい、思いがけないときに落とし穴が待っているものです。

月経の予定がズレるのは精神的なものだったりします。そのせいで大事なイベントが台無しになるという経験は、女性の多くが経験していることでしょう。
しゅくしゅくした痛みは悔しさを倍増させますし、怒りで自分を鼓舞する力も出ないし、ほんとうに厄介です。お腹を下したときの痛みと脱力感と近いといえば近いのか? 優三の腹痛は、男女がお互いのわからないことを何かに置き換えて考えてみるための設定かもしれません。

それでも寅子は口述試験にも合格しました! 男性を凌駕する力を発揮し、日本初の女性弁護士が誕生したのです。

優三は落ちて、今年で諦める決意をします。いままでは肝心のときにお腹が痛くなることを理由にしてずるずるやってきたようですが、今年は寅子のサポートで精神も安定した、にもかかわらず落ちたことを冷静に見極めるところが優三の良さです。

優三と寅子の道を分けたのは、男女差ではなく、能力差と精神力の差です。
大事なときに生理がどれほどハンデになるか。でも寅子は体調の悪さを凌駕するほど勉強していたのでしょう。そして、辛さをこらえるメンタルの強さもあった。誰もが寅子のようにはなれませんが、不利な状況を乗り越えるために努力することの大切さは学びになります。

よねが不合格であったことが残念です。あんなに強気だった彼女が……。
ひとつ思い当たる節としては、口述試験の勉強会で、話し方を中山(安藤輪子)に注意されていたことです。反抗的に感じられるような言い方はマイナスになるかもしれないと、一度落ちている久保田(小林涼子)は気にしていました。
たぶんよねは試験当日、大事なのは知識だという考えを曲げなかったのではないでしょうか。そもそも、男装している時点で、当時は理解されづらかったと思われます。よねのこれからが気になります。

ついに手にいれた弁護士の資格。その風景は、思っていたものと全然違った。これは第28回の海と同じで、晴れた海を想像して行ったらどんよりした空だったということです。でもきっと、香淑の言ったようにいいほうに向かうはず。


※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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