<おむすび>第5週~7週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第35回のレビュー
結(橋本環奈)はこの2年、四ツ木(佐野勇斗)のために料理を研究してきたことから、栄養士になりたいと思いつきます。
困ってる人を助けないといられないのは米田家の呪いではなく、誰かを支えることが自分に向いていると気づいたのです。
さっそく、聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)に相談すると、ふたりとも賛成してくれます。
常になにかと気に入らない聖人もこればっかりは文句を言いませんでした。
ちょうど聖人にもやりたいことができたところです、
神戸に戻って床屋を再びやりたい。
心はほとんど神戸なのですが、糸島でも仕事を任せられているし、永吉(松平健)や佳代(宮崎美子)のことも気になって、まだぐちゃぐちゃ言っていますが、「いまいかんと一生後悔する」と佳代が背中を押します。
父母が高齢になって地元に戻るケースはよくありますが、これから父母が高齢になっていくときに地元を出ていく子どもというのもなかなか珍しいケースなのではないでしょうか。
あとは、永吉にいつどう言うか……。
言えないまま、半年が過ぎて、はや3月。
結は、4月から神戸で栄養士の専門学校に入らないとなりません。
結も愛子も神戸に行く準備は整えているのに、ひとり聖人はタイミングがあるのだと及び腰。
自分が最も神戸に行きたいのに、妻や子に支度を任せて、物事を先送りする聖人。ほんとに困った人であります。
ようやく永吉に話をする流れは、深刻ではなく、コミカルなものでした。
鯛を釣って機嫌のいい永吉に、いまがチャンスと心の声で焚きつける愛子たち。それでも言い出せないでいると、四ツ木が来て、引っ越しの話しをしてしまいます。
聞いてないと怒り出す永吉。
でも、真剣に聖人が自分の気持ちを語り、これは理解してくれる展開?と思ったら、
「いかん!」
「いま完全にいいっていう雰囲気だったよね」という愛子。いや、ほんとに。
こうして永吉の許可を得ないまま、糸島を去ることに……。
出発の日、永吉はひとり畑作業をしていて。
結と永吉が、広い畑のなかで語らいます。
遠くに山が見える広大な畑。すてきな風景でありました。
永吉は、家族が離れるのがさみしいのだと言いますが、結局は結に説得されて、諦めます。
考えてみたら、永吉が「いかん!」と言って聖人を怒らせなければ、まだ聖人はくよくよしていたかもしれません。もしかして、聖人の背中を押すために、わざと「いかん」と言ったのかも?と思ったりもしますが、たまたまなのでしょうか。
永吉の言動は不可解であります。
それを脚本の不味さと片付けるのはもったいない。
やさしいところと、頑固なところが、グラデーションになっているのでしょう。
この手の頑固だけどやさしいおじいちゃん像も、一昔のドラマだと心情の切り分けがはっきりしていましたが、偽悪的に頑固オヤジを演じているわけではなく、ほんとうに頑固で、でも優しさもあって。
その優しさも意識的に優しいわけではなく、岩から滲み出てる水のように滲み出てしまうという、無意識のレベルで言動している人間の不思議な魅力を松平健さんが、すてきに演じています。
来週は神戸編! 糸島の雄大できれいな自然が見られなくなるのが惜しい。
“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る
※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
「おむすび」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK