<おむすび>第5週~7週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第29回のレビュー
こじれた関係がじょじょにほぐれていく回。米田家にたずねてきた佐々木佑馬(一ノ瀬ワタル)は、歩(仲里依紗)のマンションに合鍵で入り、母(麻生久美子)の年賀状の住所を頼りにここまでやって来たと語ります。
それを傍らで聞いていたおじいちゃん(松平健)は「合鍵?」とピクリ。
芸能事務所のマネージャーなら、合鍵を持っていてもおかしくはないのでしょうけれど、芸能の世界を知らない一般人からしたら、何か特別な関係なのでは?と疑ってしまいそうです。
佑馬はあまりにも歩にペコペコしていてマネージャーというよりも付き人のように見え、歩とは釣り合わない印象です。どうにもちぐはぐしていますが、たぶん、関係性のわからなさは狙いなのでしょう。
歩は仕事をほったらかして実家に戻ってきているようです。現場を空けてもゆるされてるなんて相当大物なのでしょうか。まったくそうは見えませんが。
「まだ時間あるでしょ」と歩は過労で寝ている結(橋本環奈)の部屋へ。そして「ごめんね」とこれまで結の心をかき乱したことを謝ります。
真紀ちゃんのお墓参りに行きたくて、でもひとりでは行けなくて、家族みんなとだったら行けるかもしれないと思っていたと歩は告白します。
1995年の1月のあの日以降の生活を回想している場面に、画面に2024年11月7日の地震のテロップが入るという偶然がありました。
ドラマのなかでは、糸島では阪神・淡路大震災のことがなかったかのように中学の同級生たちが振る舞っていることに違和感を覚える歩がいます。この場面で、一瞬、上履きのカットが入ることで歩のうつむき気味な心境を感じました。
ここでの生活を受け入れたら、ほんとに真紀ちゃんがいなくなっちゃう気がして、中学にいけなくなった歩。
それが突然、金髪ギャルに激変し、高校に通いはじめたことには理由がありました。
真紀ちゃんが、高校卒業したら東京に行ってギャルになりたいと思っていた。その夢を自分が叶えようと決意したのです。
警察に捕まったのも、不良化したわけではなく、お金をとられている子を助けようとしたら、悪い子のほうに怪我をさせてしまった。それも真紀ちゃんだったら助けると思って、無理して頑張ったと結にすべて話す歩。
なんでそのとき、説明しなかったのかと結が問えば、
「反抗期じゃん」。
ちょっと後出しと屁理屈が過ぎるようにも思いますが、それだけ真紀ちゃんのことがショックだったのでしょう。真紀ちゃんに免じてゆるす(何目線)。
歩は、真紀ちゃんだったら、真紀ちゃんだったら、と真紀ちゃんがやりたかったことを
想像しなぞり、「ただ真紀ちゃんの人生を行きただけ」でした。だから「偽物」と何をしても落ち着かない気持ちでいた。どんなにがんばっても、支持されても、本物のギャルにはなれない。それは真紀ちゃんにはなれないということであり、つまり真紀ちゃんの不在の絶望はどうしたって解消されることはないのです。
真紀ちゃんの記憶を消さないようにするとますます悲しみが募るばかり。それはとてもつらいことだったと思います。
頑張っている歩にファンがついて、彼女がリーダーのようになってギャル軍団が天神を闊歩する、その場面はとてもかっこ良かった。
そしていまでは大女優? ハギャレンたちもすっかり崇め奉っています。でもどうやら「大女優」説にも真相がありそうで……。明日の展開に期待しましょう!
※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。
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