<おむすび>第5週~の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第22回のレビュー

第22回のアヴァンは第21回のショックなシーン。
せっかく持ってきてくれたおむすびを「冷たい」「チンして」と言ってしまう結(幼少期:磯村メアリ)。この場面、リピートはきついなあと思いましたが、そのあとにつづく、雅美(安藤千代子)の神戸愛のセリフはリピートすべき重要なセリフでした。
安藤さんのセリフまわしは、そこだけ古き良き朝ドラのようでした。

「おにぎりあたためますか」という北海道のバラエティ番組があります。大泉洋さんと戸次重幸さんがレギュラーで、03年からはじまりじわじわ人気を獲得しました。このように、おにぎりをあたためる習慣も地域によってはあるようです。が、おにぎりは本来冷めてもおいしい食べ物のはず。結はなぜ、チンしてほしいと言ったのかーー。

さすがに神戸で結が「おにぎりあたためますか」を見ていたとは思えません(当時関西で放送していたか不明)。
1月17日は真冬。体も冷えて、おにぎりもずいぶん冷えてしまっていたため、ついそんなことが口に出てしまったのではないでしょうか。

幼いがゆえの残酷な言葉に、愛子(麻生久美子)も雅美さんもやさしい対応だったことに着目したいです。「なに言うの!」と頭ごなしに叱りつけないところが大人の配慮です。

大人の配慮と涙の意味を全然わからないまま半分(三分の一?)に分け合ったおにぎりを食べたことを、波の音を聞きながら思い出す結(橋本環奈)。いま思えば、何言ってしまったのだと身が縮む思いでしょう。後悔してもしたりないに違いありません。
それを心配そうに見つめる四ツ木(佐野勇斗)

再び、回想。
聖人(北村有起哉)が家に戻ると家は崩壊していました。あとから、歩(少女期:高松咲希)と結も来て、変わり果てた家と商店街に言葉もありません。今度は愛子が「言ったらあかんって言ったでしょ」と声を大きくしました。
ここでも結は、崩壊した家があの家だと思えません。

さらに容赦なく、悲劇が米田家を襲います。
姿の見えなかった真紀ちゃん(大島美優)がタンスの下敷きになって亡くなっていました。タンスの下敷きとは、なんという生々しさでしょうか。

歩はショックで何も食べられなくなってしまいました。

真紀ちゃんのことを、実家の部屋で思い出す歩(仲里依紗)。
1995年1月の出来事を、結と歩、それぞれの視点で回想しているように描く手法は、小説だと、結の章、歩の章と章が分かれているような感じです。同じ出来事でも、それぞれがどこを重要視しているのか、違いがわかります。結はいろんなことが理解できなかったことが、歩は真紀ちゃんのことが大きな傷となって、9年経っても残っているのです。

結の話を聞いて四ツ木がむせび泣きます。なんて純粋な少年なんでしょう。彼が視聴者の視線を担っています。


※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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