<おむすび>第10週~11週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第54回のレビュー
内定がちっとももらえず、結(橋本環奈)が困っていると、四ツ木(佐野勇斗)が所属する星河電器で、栄養士を雇う案が浮上し、結に白羽の矢が立ちます。
きっかけは、星河電器のエース・澤田(関口メンディー)の発案。当初は予算がないからと却下されたのですが、彼がドラフトで巨人1位入団が決まり発言権が強くなり、再び浮上してきました。
野球部で雇用はできないが、社員食堂で雇用することになり、でも予算がないのでキャリアのある人は無理ということで、新卒の結。一応、結が四ツ木のために作った献立がよくできていたからという理由もあるとはいえ、明らかにご都合主義ではあります。でも結自身がこれは「なんかずるくない?」と気にし、展開のご都合感をぼかします。
朝ドラヒロインはたいてい、この「ずる」な感じをものともせず、むしろ、当たり前に享受していくのですが、ここはヒロインが謙虚であるスタイルです。
ブレているようでブレていないのは、おむすびをチンしてとワガママに思えるようなことをその場の空気を読まずに言ったり(幼かったので仕方ない)、栄養士の学校でギャルファッションをしたり、自分のやりたいことはよくわからないが彼氏を支えたいと考えたり、昔、ほかほかおむすび食べたかったら、防災訓練が夏でもほかほかを出そうとしたり、独自の道を進むけれど、決して、ずるはしないということなのでしょう。
そこは確かにブレてはいません。その場その場で思ったことを素直にやってるだけで悪気はいっさいないとは思います。
四ツ木は四ツ木で、そもそも栄養士の話しが出たとき、結はどうかと澤田に言っていて、結と職場が同じになることがまんざらではないようです。この人も、悪気はいっさいないのですが、視野は広くないようで、ただただ目先の欲望に素直に生きている感じです。眼の前の人参を追いかけている感じ?
スタミナ不足だから熱心に走る、結が好きだから彼女の弁当や献立は無条件で受け入れる等……。それでいまのところうまく行っていて、来年のドラフトは間違いないと目されているから立ち止まって考えることもないのでしょう。
このまま、結と同じ職場で、さらに結婚してバカップルになるのでしょうか。そんな会社、筆者だったらいやだけれどなあ。
聖人(北村有起哉)は、結が星河電器に入ることに賛成ではなく「甘い」と言います。でも愛子はいいんじゃないかと思っています。
ここで愛子(麻生久美子)は、聖人の結が「甘い」と感じることに、自分が、聖人のやることに従って床屋をやったり農業をやったりも「甘い」のか?と物申します、一見自分の意思がないようでいて、彼女としてはそんなことはないようなのです。
筆者としてはてっきり、気づけば、妻として夫について生きて、やりたいことをやれない20何年だったので、最近子育ても終わりかけてきて、好きな絵を描いてブログをはじめ、自分を見つめ直しているのかと思って見ていたのですが、愛子の反応を見るに、そういう意識でもないような……。
人間、そんなに明確に意思を認識していなくて、誰もが、自分ってなんだろうとか、何をすべきかとか、考えているのでしょう。だからこそ、ドラマで、登場人物が明確な意思を持っているものに励まされる。でも、しっかりしている人を見ていると疲れてしまうこともあって。自分のことをよくわかっていないような登場人物のほうが共感できるというのもあると思います。おそらく「おむすび」は後者のドラマのようですね。
第54回は、久々にハギャレン集合。みんなが神戸に遊びに来て、カラオケでおしゃべり。彼女たちにも社員食堂で働くのはずるくない? 甘えてないかと相談すると「甘えてよくない?」とあっさり。
あゆを合唱して気が晴れた様子。実はそれを仕掛けたのは愛子でありましたというオチ。
通常の朝ドラだったら、ここでほのぼのして終わる気がしますが、そこで終わらないのが「おむすび」。
ハギャレン集合からの帰り、結はモリモリ(小手伸也)のあやしいところを目撃して……。彼もまた就職決まってないようですが、やってんだ?という感じであります。
ところで第53回で、学食でプロポーズされたとJ班のみんなに話したとき、ほかの生徒たちが一瞬結たちのほうを見たタイミングが良かったです。
※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。
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