<おむすび>第10週~11週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

CINEMAS+ではライター・木俣冬による連載「続・朝ドライフ」で毎回感想を記しているが、本記事では『おむすび』第10週~の記事を集約。
1記事で感想を読むことができる。

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もくじ

第46回のレビュー

第10週「人それぞれでよか」(演出:小野見知)では、商店街が参加する子ども防災訓練の準備にあたり、栄養学校に通っている結(橋本環奈)が「炊き出し隊長」に任命されました。

「あんたが隊長」→「あんたが大将♪」と盛り上がる商店街の人々。「あんたが大将」は武田鉄矢さんが所属する海援隊の70年代後半のヒット曲で、商店街の大人たちの世代には当たり前に知ってるヒット曲でありましょう。ただ、このドラマ、若い層にアプローチしたいという狙いも感じさせるので、このシニア層しかわからないネタがふさわしいのかわかりません。いや、もちろん、幅広い層にアプローチしたいのだとは思いますが。

結は学校で、まず、桜庭先生(相武紗季)に相談します。すると、先生が大量調理(炊き出し)の実習をすることにします。2年でやるカリキュラムでしたが、桜庭先生は臨機応変です。
アスリートのメニューに関しては同級生に気楽に相談して問題が勃発したので、今回は、先生に相談するという成長が見えます。誰かに、震災でつらかった同士、仲間!メニュー一緒に考えて!みたいに馴れ馴れしくしたらそれこそやばいでしょう。

結たちJ班は炊き出しのメニューを相談しながら、あの当時、どうしていたかをそれぞれ話します。サブタイトルのように体験も記憶も「人それぞれ」です。
結は震災で家も店も全壊したと明かします。ふだん明るいギャルな彼女にそんな過去があったとは、とみんな顔を曇らせます。
でも結は、当時のことをはっきり覚えていません。え、そうなん???

豚汁は毎年の訓練の定番になっているので、何か新機軸がないだろうかと考えたところ、当時を知る人の話を聞くのが有効であろうという結論に達し、結は商店街のみんなに話を聞きます。

「あの経験を次の世代に伝えるのが使命や」と考えているのは美佐江(キムラ緑子)
あのとき、みんな、近くの学校に避難していました。最初の日に食べたのは、親切な人が届けてくれたおむすび。みんなの話で、結は自分が「チンして」と言ってしまったことを思い出します。分別のつく大人になった結には、その記憶が蘇ったとき、なんでそんなこと言ってしまったのかとショックだったのではないでしょうか。

避難の日々が続き、食事も水も不足して、みんないらいらしていったとき、不公平感のないように、ルールや責任者を決めることにして、仕分け隊長は聖人(北村有起哉)が任命されました。

ずるしない誠実な人として信頼されていると言えば聞こえはいいですが、アーケードの担当のときもそうですが、お人好しなので面倒なことを乗せられて押し付けられているだけの気がします。ほかの人だってずるはしないでしょう。するという自覚があるのかな。人間だものそういうこともあるでしょう。
いやいや、みんな、いい人で、神戸出身でない聖人、神戸に戻ってきた結をリーダーにして疎外感のないようにしてくれているのだと思います。
つまり米田家は父子2代にわたって、商店街の人たちに盛り上げてもらっているのです。これぞ「支えあい」であります。

避難生活で体調が悪くなる人も現れます。美佐江の娘・なっちゃんが急に倒れたのは、便秘によるものでした。水も野菜も十分に摂れないため、お腹の調子が悪くなってしまったのです。
娘を心配して感情的になる美佐江でしたが、渡辺(緒形直人)が家にあった買い置きの乾燥わかめ等を持ってきました。涙ながらに感謝する美佐江。

渡辺は決して、単なる気難しい人ではなく、本当は優しい人なのでしょう。でも、愛娘が亡くなって自暴自棄になっているだけ。いやでもアーケードを猛反対したの理由がわかりません。結局は、自分の意に沿わないことには聞く耳を持たない頑固な人なのでしょう。

今週こそ、渡辺の心が溶けるでしょうか。そして、子ども防災訓練のメニューは何になるでしょうか。見守っていきましょう。


※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。

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