「青天を衝け」血洗島・青春編 感想集


第11話のあらすじ&感想

第11話のあらすじ

武蔵国血洗島村(現在の埼玉県深谷市)で養蚕と藍玉作りを営む農家の長男として生まれた栄一(子役・小林優仁)。

人一倍おしゃべりの剛情っぱりで、いつも大人を困らせていた。

ある日、罪人が藩の陣屋に送られてきたことを知った栄一は、近くに住むいとこの喜作(子役・石澤柊斗)らと忍び込もうとたくらむが…。

一方、江戸では、次期将軍候補とすべく、水戸藩主・徳川斉昭(竹中直人)の息子、七郎麻呂(子役・笠松基生)を御三卿の一橋家に迎え入れる話が進んでいた。

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第11話の感想

新しいことを始めようとしたり、これまでの仕組みを変えようとしたりするときに、必ず言われることがある。「なぜ、今のままではいけないのか?」ーー当たり前な疑問だ。当たり前過ぎるがゆえに、あらためて腰を据えて考えることをしてこなかった疑問でもある。

変わろうとする人と、変化を避ける人がいる。いつの時代もそうだ。国が開かれ、はしか等の病が流行し、尊皇攘夷の機運が高まりつつあったこの時代、栄一は「変わろうとする人」だった。百姓とはいえ比較的豊かな環境に生まれついたからこそ、自分さえ良ければそれで良し、と割り切ることができなかったのだろう。家を出て、国を変えるための仕事に就くことを選んだ。この時代、なかなかやろうと思ってもできないことだろう。

栄一が生きた時代から、約150年以上経っている現在。日本に限っていえば、状況は確実に変わった。世界各国と比べてみても群を抜いて治安が良く、食べ物にも仕事にも困らない。明日生きるのにも汲々としている人はごく少数だろう。

それでも、「この国をより良く変えよう」と志を定め、家業を捨ててまで自分の生きる道を自身の力で選び取ろうとする気概をもつ人は、どれほどいるのだろうか。

治安が良く、明日を生きるのにさほど困らない環境だからこそ、「万一何かあっても、誰かがなんとかしてくれるさ」とどこか他力本願な人のほうが多いのではないだろうか。家業を捨て、家族を捨て、自分以外の全員が幸せに生きられるようにと願いながら目の前に仕事に明け暮れた栄一の、残してくれたものはどこにあるのだろう。

自戒の気持ちを強めながら観終わった、第11話だった。

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