<となりのチカラ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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マンション内で火事が起きたとの連絡が入り、表に避難した中越チカラ(松本潤)たち。幸いボヤで済むが、管理人の星譲(浅野和之)によると、どうやら火元となった603号室の住人・小日向(藤本隆宏)は自分で火をつけたとのこと…。ここのところマンション内のトラブルメーカーとして名前が挙がっていただけに、道尾頼子(松嶋菜々子)は「理事会を開いて即刻出ていってもらいましょう」と息巻く。
いつもなら真っ先に603号室を訪ねてもおかしくないはずのチカラだったが、これまでいろいろなことに首を突っ込みすぎていたことへの反省から、もう余計なおせっかいはしないと宣言。そんなチカラとは対照的に、今度は灯(上戸彩)が「これ以上トラブルになる前に話をしに行ったほうがいいんじゃないか」「でもいきなり出ていけっていうのは違うし…」と、チカラ顔負けの中腰っぷりを見せ始め…?
小日向への対処法やご近所との付き合い方にチカラが思い悩んでいた矢先、頼子の宣言通り理事会が開催され、半ば無理やりの「全会一致」で退去勧告をすることが決定してしまう! なんとか早まらないよう頼子を説得しようとするチカラだったが、その声は届くことはなく…。
やがて、これまでのボヤや水漏れなどは、すべて小日向が自ら命を絶とうとしていたことが原因だったとわかる。なんとか小日向を救いたいチカラに、ついにある案が! それはチカラ自身の過去とも向き合うこととなるのだが…。
一方、仕事も見つからず在留資格も切れてしまうマリア(ソニン)はベトナムに帰ることを決意。マリアに密かに思いを寄せるものの、ためらってばかりの上条知樹(清水尋也)に、チカラはしっかりと思いを伝えるようアドバイスを…。
そして祖母の清江(風吹ジュン)が施設に入り寂しさを抱える託也(長尾謙杜)、夫の学(小澤征悦)の元を去った達代(映美くらら)らも自らの思いに区切りをつけるときが来て…?
人間関係が希薄になり、みんなが自分の事ばかり考える世の中で、ただただ隣人の平和を願い続けたチカラ。
そのチカラが、たどり着いた衝撃のラストとは…!?そしてその時、一番の隣人、妻・アカリは何を思うのか…?
第9話のレビュー
灯(上戸彩)も帰ってきたし、子どもたちの問題もひと段落……と思ったら、なんと今度はマンション内で火事が!火元となったのは603号室に引っ越してきた小日向(藤本隆宏)だった。最近、マンション内ではトラブルメーカーとなっている男性だ。頼子(松嶋菜々子)は鼻息荒く、理事会を開き、小日向を追い出そうとする。
確かに、小日向が纏う空気は尋常ならざるものだ。追い出すだなんて後味が悪いが、マンションの住人たちだって火事が起きたらたまらない。全会一致で小日向への退去勧告が決まりそうになるが、反対したのはチカラ(松本潤)で……。
完全な悪人はいない。悪と善の揺れ動いている、と言うチカラ。確かにこの作品を観ていると実感する。
小日向に対して何かが引っ掛かるチカラ。そして、小日向の背中を見てひらめく。亡くなった母を追いかけて自殺した父。自殺を考えていた父の背中と重なったのだ。
チカラは小日向を刺激しないように手紙でコミュニケーションを取ろうとする。応じた小日向から語られたのは、マンションに引っ越してきた矢先の妻の死。これから、楽しい夫婦の生活が待っていると思っていたのに、全て消えてしまった。自暴自棄になった彼は、まさに自殺を考えていたのだ。
自分の両親の境遇と似ている小日向と出会ったことで、チカラは自身の過去と向かい合うことになる。そう、最終回はチカラ自身の問題解決だったのだ。高校生だった自分を残して自殺した父をずっと許せずにいた。たびたび作中に両親の話題が出てきていたのは、チカラの心の中にずっとわだかまりとして残っていたのだろう。
マンションの住民たちの問題、中越家の問題を乗り越えて、ようやく、チカラは自分の問題と向き合うことができたのだ。
チカラが関わってきた住人たちもそれぞれにとりあえずのハッピーエンドを迎える。日本を離れるつもりだったマリア(ソニン)は上条(清水尋也)からの告白とプロポーズを受けることに。頼子のもとにも娘親子が戻ってくる。清江(風吹ジュン)が施設に入り、寂しさを抱えていた託也(長尾謙杜)も前を向き始めた。そして、学(小澤征悦)と達代(映美くらら)も離婚へと話が進み、新たな一歩を踏み出そうとしている。
いまは幸せだけれど、それぞれの人生は長い。これからだって辛いことはある。でも、きっと大丈夫。話を聞いてくれる人がいるから。それだけで、生きる上で安心できる。
最初は「ちょっとおせっかいすぎやしないか」と思えたチカラの存在。
そんなチカラだからこそ、マンションの住人にとっての心の拠り所になれたのかもしれない。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。
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