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2023年05月13日

<ラストマンー全盲の捜査官ー>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<ラストマンー全盲の捜査官ー>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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護道家の別荘で清二(寺尾聰)の誕生日パーティーが開かれた。皆実(福山雅治)も心太朗(大泉洋)とともに招かれるが、心太朗は護道家の輪に入ろうとしない。

そのパーティーの最中、東京郊外の別荘で立てこもり事件が発生する。犯人は別荘の所有者で、警備会社社長の菊知(髙嶋政宏)。菊知は自分の妻と娘を人質にして、現金10億円を要求する。皆実は交渉役に名乗り出て、心太朗は菊知の指示で10億円を調達することになった秘書を追うことに。人質となった犯人の妻が怪我をしていることを知った皆実は周囲の制止を振り切り、単身で別荘に乗り込む。そこで、自分が妻の代わりに人質になることを提案する。

そんな中、清二と京吾(上川隆也)があることを画策していた…。

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第6話のレビュー

立てこもり事件が発生。なんともよろしくないタイミングに思えてならないが、冒頭と末尾それぞれに注意書きが表示された。制作陣の丁寧な姿勢がうかがえる。

青梅の保養所で発生した立てこもり事件、当初は警備会社の社長・菊知岳大(高嶋政宏)が、妻と娘を人質に金銭を要求しているものと思われた。しかし、またもや皆実(福山雅治)の少々無謀な捜査により、全貌が見えてくる。菊知もまた被害者だったのだ。


真犯人は、通報者の宇佐美翔(前原滉)。彼は菊知の息子だった。25年前に離婚した母親側に引き取られ、貧しい暮らしをしていたが、1年前にその母親が他界したことをきっかけに出自を知る。菊知の娘が、私立の学校に通っていたりバレエを習ったりしている、まさに絵に描いたような裕福な暮らしをしている事実に、嫉妬心を抱いたゆえの犯行だった。

結果的に、菊知自身も、妻も娘も無事。皆実をはじめ、護道(大泉洋)たちの適切な動きによってことなきを得た。しきりに「親ガチャに外れた」と繰り返す宇佐美に対し、皆実が口にした言葉がじんわりと染み入る。

「本当の親子だとか、家族だとか、そんなことはどうでもいいんです」

「人が人を思う気持ちに、理由なんてありませんから」

宇佐美が事件を起こした動機は、裕福な家に引き取られた“きょうだい”への嫉妬だった。同じ親なのに、こうも育った環境が違う現実に対し、嫌気が指したのだろう。しかし、皆実の口から、菊知の娘は養子だったことを知らされる宇佐美。彼女も彼女で、怪我のためにバレエダンサーの夢を諦め、スポーツドクターになる新たな道へ向かって努力している。

第三者からは幸せそうに見えても、本人にとっては必ずしもそうとは言い切れない。そんなことは、往々にしてあることだろう。幸せそうに見える人を攻撃し、仮に相手が不幸になったとしても、それに反比例して自身が幸福になるとは限らない。むしろ、虚しさがますばかりではないだろうか。

「機嫌がいい人ほど人生はうまくいく」(著・和田秀樹/宝島社新書)内に、「他人が抜け駆けしている、誰かが自分よりも得をしている、という疑心暗鬼が蔓延しています」(P53)と書かれた箇所がある。本来、自分ではない他人が得をしているからといって、直接的に自身の損に繋がっているとは言い切れないはず。本書でいう“疑心暗鬼”、言ってしまえば思い込みや勘違いが、このドラマ内で起こったような事件の火種になってしまったのだろうか。


疑心暗鬼、思い込み、勘違いを払拭するためには、誠実な態度と対話が必要だろう。今回、皆実の両親を殺したのは、護道の実の父親・鎌田國士(津田健次郎)であることがわかった。

皆実はそれを知ったうえで護道に近づいたことになるが、護道はその事実を知らない。泉(永瀬廉)は、そのまま護道が知らないままで済むよう、ふたりの監視を命じられている。なんともつらい立ち位置にいる。

物語の性質上、このまま護道が知らずに終わるのは考えにくい。どこかのタイミングで真実を知ることになるだろう。そのとき、最強のバディはどんな結末を迎えるのか? 一気に暗雲が立ち込めるようだ。

※この記事は「ラストマンー全盲の捜査官ー」の各話を1つにまとめたものです。

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