映画コラム

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2021年03月12日

碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」

碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」


コロナ禍を活かした『鬼滅の刃』、泣かされた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の記録的な大ヒットは、その前の時期に、コロナ禍による映画の公開延期・公開縮小が続き作品が少なく映画館の上映枠が大きく空いていたことをフルに活かしたことが大きな要因と言えるでしょう。

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の公開初日、都内のシネコンでは一日40回以上の上映回数を確保し劇場をフル回転させました。対して『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の上映回数は約半分。すでに映画館が動き出している中で、しかも1都3県には20時制限もある中で、最大限の上映枠を確保したと言えるでしょう。

コロナの大きな波の直後というタイミングを得た『鬼滅の刃』はその空白を最大限に生かして大ヒットとなりましたが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はコロナの波のど真ん中に身を置き続けることになってしまい、つくづく巡り合わせの悪さを感じます。

庵野秀明総監督で言えば2016年に手掛けた『シン・ゴジラ』が大ヒット間違いなしと思ったら、直後に公開された『君の名は。』の“まさかの社会現象化”で大ブレーキを喰らった経験もありました。映画興行の抗えない難しさを感じる部分でもあります。

覚悟と落とし前

結果として日程的な興行の不利を抱え続けてしまった『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ではありますが、その一方で、緊急事態宣下終結予定日の翌日になるはずだった3月8日に初日を据えたこと、興行的には不利になる平日・月曜日公開を断行したことに庵野秀明総監督と『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の覚悟を感じます。

劇中でも何度も“覚悟”“落とし前”という言葉が飛び交いますが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はまさに25年間の“エヴァンゲリオン”を終わらせるという覚悟を感じさせる映画でした。

例えば『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の上映時間。シリーズ最長の2時間35分。これまで2時間を超えた“エヴァ”の映画は一本もありませんでした(『シト新生』1時間39分、『Air/まごころを君に』1時間27分、『序』1時間38分、『破』1時間48分、『Q』1時間35分)。『Q』から比べるとなんと『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が上映時間を1時間も増加させてきました。これは明らかに“語り切る”ことの“覚悟”の現れと言えるでしょう。

そして9年ぶりの完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は様々な苦難を乗り越えたうえで“覚悟”をもって“落とし前”をつけるべく2021年の3月8日月曜日に全国公開されました。

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