映画コラム

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2021年03月12日

碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」

碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」


碇シンジ“100億の男”への勝負の1ヶ月

映画興行は基本、土日勝負(最近は金曜日含む)です。ここでどれだけ稼げるか、一般層の観客を取り込めるかで結果(=興行収入)が左右されます。

月曜日という異例の初日を迎えた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は3月11日現在のところまだ週末を経験していません。まるで、土日を経験してきたような数字を上げていますが、初めての週末は3月(12日~)13日・14日になります。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』のヒットを伝えるニュースの中で興行収入100億円というのが大ヒット作品と言えるものの目安になっていることを見聞きした方もいらっしゃるかもしれません。『鬼滅の刃』の実質主役ともいえる煉獄杏寿郎を“〇〇億の男”にしよう!!というファンの行動・発言も記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

現在、日本映画史上で興行収入100億円の大台を突破した映画は邦画・洋画を含めて37本あり、この37本のタイトルはどれも記憶に残っているなと感じる作品ばかりです。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はこの“文字通りの大ヒット”の目安となる100憶円映画を狙える存在です。しかし、その勝負はこれから1ヶ月次第となります。

“勝負の1ヶ月”という言葉はどこかで聞いたことがあると思いますが、まさに『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が100億円の大台をクリアできるかどうかはこれからの1カ月にかかっています。というのもこれから5回ある週末ではジャンルやアニメーションという点で競合する作品が少ないのです。

しかし6回目の週末(4月16日~)には『名探偵コナン 緋色の弾丸』が公開されます。前作2019年の『紺青の拳』で93.7億円という過去最高の興行収入を記録した“コナン”。新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け2020年は丸々お休みなりました。そして2年ぶりの新作として『緋色の弾丸』が公開、7作連続でシリーズ最高興行収入を記録し続けている“コナン”の新作。これもまた100億円を見据えてくることになるかと思います。

映画館の側も当然ヒットを見込める作品として上映枠も多く確保してくるであろうし、緊急事態宣言による夜間の時間制限もなくなることを考えると大ヒット間違いなしと思われます。さらに翌週末(4月23日~)に公開される『るろうに剣心最終章The Final』はIMAX、4DX、MX4D劇場での上映も発表され、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と競合することになります。ここでどうしても上映枠が一気に減ってくることが予想できます。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が“100億円映画”として有終の美を飾れるかどうかは4月の前半までの上映枠をどれだけフル活用できるかと言うことになるでしょう。

 25年を経て

25年の時間を経て、“エヴァ”は完結を迎えました。基本的に同じ登場人物だけ(それはまた解釈がありそうですが)のストーリーで25年間駆け抜けたというのはなかなか無いシリーズです。『機動戦士ガンダム』は代替わりや違う世界感のものがありますし、強いて言えば『宇宙戦艦ヤマト』などが近いものかもしれませんが、様々な解釈を生み続けるという点では“エヴァ”は唯一無二の存在といっていいでしょう。

シリーズと物語はこれで終わりとなりますが、解釈と想像はこれからも無限に拡がっていくと思われます。最後の最後まで、ここまで“エヴァンゲリオン”(”ヱヴァンゲリヲン”)を貫き通した庵野秀明総監督とスタッフ・キャストには素直に敬意を表したいと思います。

“さらば”ではありますが、映画は公開されたばかり、まだまだ祭りは続きます。

→『シン・エヴァンゲリオン劇場版』より深く楽しむための記事一覧

(文:村松健太郎)

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