映画コラム
碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」
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碇シンジ“100億の男”へ!!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行分析「これまでとこれから」
活かされた『シン・ゴジラ』の経験
冒頭の公開前夜の項で『シン・ゴジラ』について触れました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で脚本・原作・総監督他を務めた庵野秀明監督が、総監督と脚本を務めた2016年の特撮大作映画です。この『シン・ゴジラ』は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』から『シン・エヴァンゲリオン劇場版』後の期間の間に作られた映画です。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見終わって感じたことは『シン・ゴジラ』で庵野監督は自身の世界観・思想・信条とエンターテイメント性との両立について多くのことを学び自身の血肉としたのだなということです。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』と『シン・ゴジラ』ではアニメと特撮の差異はありますが、どちらも壮大な“架空”の映像化であることは変わりません。
この“架空”をリアルに着地させた見せ方についてこれまでの“エヴァ”、テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」と比較したときはもちろん、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、『破』、『Q』映画版3作と比較しても、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は格段に、伝わりやすさと分かりやすさが増しています。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は上映時間に比例して情報量が多く、しかもテンポの速いということもあって、正直2回見ただけではすべてを把握できているわけではないものの、映画を見終わった後には高い充足感と満足感が残りました。
『シン・ゴジラ』を経て作られた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は“エヴァ”を“語り切る”と同時にちゃんと“見せ切る”という強い意志を感じることができる映画に仕上がっています。ちなみに『シン・ゴジラ』で採用したプリヴィズ(Pre Visualization:完成映像を制作する前にあらかじめ簡易なCGや模型などを使用して完成形を想定するシミュレーション映像)を経てから絵コンテを作るという方法を『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でも採用しています。そういう意味でも『シン・ゴジラ』は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の血肉となっていると言えるでしょう。
特撮のノウハウをアニメーションに持ち込み実写を撮るような体制でアニメーションを撮るということも『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の異例な点の一つと言えるでしょう。
『シン・ゴジラ』から『シン・エヴァンゲリオン劇場版』への庵野秀明総監督の進化をみるとこの夏に公開予定の『シン・ウルトラマン』も俄然楽しみになります。
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