<雪女と蟹を食う>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
>>>「雪女と蟹を食う」の画像をすべて見るついに北海道までたどり着いた北(重岡大毅)と彩女(入山法子)だったが、札幌の地ではぐれてしまう。彩女は一人、教会で一騎(勝村政信)との過去を思い出す。その一方、彩女に会う手がかりを掴めない北は、札幌の街をさまよい自暴自棄になっていた。死ぬために蟹を食べようとするが、実行できず暑さと空腹により気を失ってしまう…。北が目を覚ますと、そこはマリア(久保田紗友)が働くすすきののニュークラブの控室で…。
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第6話のレビュー
彩女(入山法子)に置いてかれる格好となった北(重岡大毅)。見上げたビルの隙間からは、入道雲がわずかに覗いていた。北はまたきっと、絶望している。2人のそれぞれの旅がはじまった。「彩女さんを好きになる資格なんてない」「一緒にいてくれればそれでいい」、そう言いながら空腹を抱えて公園のベンチに横たわる。このままここにいたら死ねるのかな、とぼんやり考えるも、人がそんなに簡単に死ねるわけもないことを、本当に死のうとしたことがある北だからこそわかる。
Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会
一方、彩女は教会を訪れていた。太宰治の「斜陽」を手に学生時代を思い出す。当時教師だった雪枝(勝村政信)との会話の大人っぽい湿り気が、とても高校生とは思えない。意味深に映るおだまきの花。以前、彩女は雪枝に指名され、とある小説のおだまきの描写について「恋の煉獄の渦中にいる」と表現していた。そして、彩女は「マイ・チェーホフ」と呟き、2人は唇を重ねる。
Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会
なんとも文学的なシーンだった。教師と学生の、いわゆる禁断の恋。他の人には理解ができないだろう完璧な2人だけの世界。10代の彩女は、それはそれは雪枝に心酔しただろうと想像する。それもまた、雪枝の重荷になってしまったのかもしれない。
Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会
何の因果かマリア(久保田紗友)も教会にやって来る。「HIKARI」と掘られた十字架を、許しを請うように握りしめていた。
転んでしまった子どもを助けたことをきっかけに、言葉を交わすことになった彩女とマリア。マリアは楽しそうに北の話をし、彩女は北海道にいる理由を「人を待ってる」と答える。彩女が待っているのは北なのだろうか、それとも……。
空腹に耐えかねて、蟹専門店に入る北。「この店で1番高いものを」と注文し、提供された蟹を前に思い出すのは「美味しい」と笑顔を浮かべる彩女だった。人と食事をともにする楽しさと、美味しいねと笑い合うことで増す美味しさを、今の北は知っている。なにより、蟹は彩女と最期に食べると約束していた。
だから北は、出された蟹にもビールにも手を付けることなく、ふらふらとお店を出て行こうとした。そして当然のように、無銭飲食で店員に捕まる。厨房で金を払えと言われる北だったが、もちろんお金なんて持っていない。「もう殺してください」と泣く北が痛々しかった。
結局お店を追い出され徘徊する北を、またしてもマリアが見つけてくれる。空腹で意識ももうろうとしているのに座り込まず歩き続けていたのは、彩女を探していたからだと思いたい。
Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会
マリアが働くキャバクラのバックヤードで意識を取り戻した北は、マリアからお弁当を恵まれる。そして「どうして腹が減るんだよ」と、泣きながら貪り食う。死にたいはずなのに、お腹は空くし食べる手は止められない。自分の矛盾に混乱し、情けなさすら感じているだろう北。人間の底に沈んだものを混ぜ返して見せつけられているようだった。複雑な感情をリアルだと感じさせる重岡大毅の表現力に、ただただ感服した。
お弁当を食べ終わり立ち去ろうとする北だったが、マリアは北を家に連れて帰ると宣言する。それはきっと、北が死のうとしていることを知ってしまったから。マリアは、子どものことを忘れないために教会で祈っていたと言った。何も残らなかったから、と。死ぬことの意味、その喪失感に、苦しめられたことがある人の重い言葉だと感じた。だからマリアは、死ぬことを許さない。
Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会
その頃、彩女は誰かに電話をかけていた。相手は雪枝ではなかったようだが、一体……?
そして、無感情のままにスープカレーに口をつける。同じお店に、雪枝が女性を伴って入ってきたのは、果たして偶然だろうか。彩女の見えない本心がますます気になる展開になってきた。
※この記事は「雪女と蟹を食う」の各話を1つにまとめたものです。
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