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2022年07月27日

<雪女と蟹を食う>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<雪女と蟹を食う>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

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札幌で彩女(入山法子)と離れ離れになってしまった北(重岡大毅)は、路上で倒れていたところを再びマリア(久保田紗友)に拾われ、マリアの家に身を寄せていた。素性を明かさない北を「コタロー」と呼びながら、何気ない日常に幸せを感じるマリア。ある日、マリアから「生きがい」を問われた北はふと彩女のことを思い出す…。一方、彩女は夫・一騎(勝村政信)の編集担当・巡(淵上泰史)ととある教会で落ち合っていて…。

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第7話のレビュー

彩女(入山法子)とはぐれた北(重岡大毅)は再びマリア(久保田紗友)の家に居候することになる。名乗りもせず、働くことも拒む北を「コタロー」と呼び、マリアは甲斐甲斐しく世話をする。芯の強さがありながらも、ちょっと心配になるくらい優しいマリア。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

そんなマリアが勤務先のキャバクラで酔い潰れてしまい、北が迎えに行くことに。おぶられながら、マリアは夢を見ていた。

幸せそうにお腹をさするマリアには、今よりも少しあどけなさが残る。隣には既婚者と思しき男性がいるが、封筒を手渡し去っていってしまう。先ほどの幸せから一変、絶望して道端に座り込む。マリアと彩女が出会った、あの教会のそばで。

北の背中で、マリアは涙を流していた。夢、というより、マリアの過去なのだろう。妊娠していたかつてのマリア。「女の子がいいな」などと笑顔で話していたことから、1度は相手も受け入れたのだろうと推測できる。でもそれは叶わず、わずかなお金を渡して、つまり子どもの中絶とともに別れを告げられたのだろう。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

3人で生きる未来が目の前にあったのに。辛く、悲しい過去だ。この経験が彼女の芯の強さと優しさを育んだのかもしれない。そして、だからこそ、人の生き死にに敏感なのだろう。彼女の言う「生かされているのだから」という言葉にぐっと重みが増す。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

一方の彩女は、教会である男性と落ち合っていた。巡(淵上泰史)というその男は、雪枝(勝村政信)の編集者らしい。北といた数日間、あんなにも柔和な雰囲気をまとうようになっていた彩女から、表情も感情も消えてしまったように見える。北には心を許していたのだな、と改めて気付かされる。

Ⓒ「雪女と蟹を食う」製作委員会

何を考えているかわからない男女、探り合いのような会話。彩女は彼との食事で蟹を選ばなかったが、流されるように一夜を共にする。巡が彩女に好意を抱いているのはまず間違いないが、では、彩女は? 一体北海道に巡を呼びつけて、何をしようとしているのだろう。

北も北で、常連客の妻から嫉妬により刃物を向けられ不安げなマリアを受け入れて身体を重ねる。されるがままの北だったが、伸ばされた手を、それでも握り返していた。

そもそもあのとき、北は危険を顧みず咄嗟にマリアをかばった。死にたいから後先を考えなかった? 日頃の恩義からマリアを守らねばと判断した? もちろん色んな思いがあっただろうが、筆者には自然に身体が動いたように見えた。つまり、マリアを守りたい対象だと捉えている……少しずつ気持ちが傾いているんじゃないだろうか。

だが、北が彩女のことを忘れたわけではない。マリアに生きがいを問われ、思い浮かべたのは彩女だったのだから。

彩女か、マリアか。それはそのまま死ぬか生きるかの選択を迫られていることでもある。北の揺れ動く気持ちを、重岡大毅が余すことなく体現する。

北には生きていてほしいと思う。でも、このまま彩女を放っておいてほしくないとも思う。次第に周囲の人を巻き込みはじめた物語の行方を見守りたい。


※この記事は「雪女と蟹を食う」の各話を1つにまとめたものです。

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