<舞いあがれ!・子供時代編>第1週目~3週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第11回のレビュー
第3週「がんばれ!お父ちゃん」(演出:田中正)は舞台が東大阪に戻ります。1994年9月。舞(浅田芭路)が家に着くと、お父さん浩太(高橋克典)がカレーを作っています。ご飯を炊いたのは悠人(海老原幸穏)で、舞はお皿を出します。自分のことは自分でする。舞のその変化にみんなびっくり。
なんや、これ、道徳的過ぎるやろ。おもしろさはないけれど気持ちは悪くありません。みんなで協力して夕飯を食べる。良いことです。コロナ禍がはじまってから、当たり前の日常の大切さを感じるようになった人も増えたでしょうから、あえてこういう当たり前の良さを描くことも悪くありません。
ただ舞の口調が急に大阪のしっかり者の口調になっていて、やや引きました。関西弁とひとくちにいっても早くて押し出しの強いものとゆっくりやわらかいものがありますが、五島列島帰りの舞は前者の可能性を感じさせます。でも福原遥さんになれば、ゆったり和み系になりそう。
ともあれ、お土産のばらもん凧を取り出した舞はさっそく自室に飾ります。部屋をのぞいたお父ちゃんとは飛行機の話で盛り上がります。
お父ちゃんは倉庫から昔飛んでたグライダーの写真を取り出し舞に見せます。江戸時代、飛行機をつくった発明家のことを書いた本まで持っていて、研究熱心であることがわかります。ほんとうは飛行機を作りたかったそうで……。
第1、2週は、母との関係が舞を内向させていましたが、第3週では父と志を共有することになるようです。お父さんっ子になりそうですね。でも、お父さんが、なぜ飛行機づくりを諦めたのかはまだ語られません。
もうひとり、諦めたお父さんが登場します。クラスメイトの望月久留美(大野さき)のお父さん佳晴(松尾諭)です。
ラグビーをやっていたが怪我して辞めて、どうやら家でぷらぷらしているようです。無精髭で家でぷらぷら……浩太が働き者の分、このお父さんの雰囲気にちょっとどきどきしますね。でも久留美はお父さんを「かっこいい」と言います。
それはそうと、ウサギのスミちゃんが死んで、望月さんは「ウサギ殺し」とそしられていました。この言葉のインパクトは強烈です。このままイジメの話になったらしんどいと身構えましたが、舞がウサギは病気であることを飼い主に隠すので突然死んでしまうことがあると本で調べて望月さんの罪悪感をはらそうとします。
スミちゃんが死んだこと。舞が人助けをすること。これが重要ポイントですが、ウサギが病気を隠そうとすることも重要そうな気がします。人はみなウサギのように弱さを隠すものかもしれません。
【朝ドラ辞典 お父さん(おとうさん)】朝ドラにおける父親には2通りある。尊敬できる父と困った父。話題になるのは困った父のほうで、いわゆる家長としての役割を果たさず家族を経済的に困窮させることによって、ヒロインを自立へと促す役割を果たしている。そういう意味で、尊敬できる父は早くに亡くなってしまうことが少なくない。女性主人公の率が高く、女性が男性と対等に自立して生きていくというテーマを内包しているため、どうしても男性社会が問題点になるように描かれがち。フカヨミすれば、敗戦後の日本の象徴でもある。つまり失った自信を取り戻そうともがいている存在である。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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