<舞いあがれ!・子供時代編>第1週目~3週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第3回のレビュー
発熱しがちな舞(浅田芭路)を心配して環境を変えることにしためぐみ(永作博美)はさっそく故郷・長崎の五島列島に向かいます。展開の速さは朝ドラらしい。
展開が早いけれど、そこに伴う感情は丁寧に描いています。なかなかの技術です。なかでも、
母が妹につきっきりで受験を前に放置されていると疎外感を覚えている悠人(海老塚幸穏)に
舞が残した手作りけん玉。ひょいとけん玉を乗せたとき、玉に書かれた言葉。そこからポンと主題歌に向かう流れが心地よい。
主題歌明けは、清々しい海と空。
めぐみの生まれた地域は本土から直結ではなく、船とフェリーを乗り継がないといけない場所でした。
久留美(大野さき)に舞が残した手紙から、舞だけがうさぎをスミちゃんと呼んでいたことがわかります。そしてその理由もなんとなく伝わって来ます。
スミっこが好きなスミちゃんと舞は自分を重ねていたのではないでしょうか。
港で迎えためぐみの母・祥子(高畑淳子)はたくましそうな人。労働者の雰囲気が立ち上ります。ちょっと無愛想で「およ」しか言わなくて舞は緊張します。
「およ」という方言、使い慣れないとおもしろい言い方になってしまいそうだけれど、高畑さんは自然でした。
方言のなかに、祥子の複雑な感情が滲みます。
恵が祥子と連絡をまったく取っていなかった理由もわかります。でも、浩太(高橋克典)が気を使ってこっそり連絡をとっていたことも。
いろいろあった母と子の言葉少ないやりとりのなかに、決して消えない母子の繋がりと、いったん切れていた空白の時間と、それに対する戸惑いと、でもなつかしさと……ためらいと……という渦巻く感情を静かに演じる高畑淳子と永作博美。
朝ドラというより、地域発ドラマのようなムードを感じますが、こういうのが好きな視聴者もいるのです。
東大阪でもブルーがアクセントになっているように感じました。と同時にピンクも多用されていました。舞の服やピン留めはピンクです。それが五島列島に来ると視界に入るブルーの分量が増えています。海や広い空のブルーのみならず、小道具や服などに使用するブルーが増えて、無意識下に環境が変わったことを訴えてきます。
【朝ドラ辞典 ナレーション(なれーしょん)】朝ドラの正式名称は「連続テレビ小説」。新聞小説のように毎日続くドラマで小説のようなムードを担うのがナレーション。俯瞰した視線で物語の背景や状況や登場人物の心理を解説する重要な役割である。例えば、「スカーレット」ではナレーション(中條誠子アナウンサー)は「みつけた焼き物のかけらを喜美子は旅のお供にしました」「あき子さんもあき子さんのお父さんも散歩のコースを変えたのでしょう。犬のゴンももう荒木荘の前を通りません」など。「おしん」ではナレーション(奈良岡朋子)が「祖母の一生を哀れと思うだけに怒りにも似た激しいものがおしんの胸の中にふつふつとたぎっていた」などいかにも小説風だった。キャラクターとしてナレーションする場合も多く、「舞いあがれ!」ではさだまさしが五島名物”ばらもん凧”としてナレーションをつとめる。「ひまわり」では萩本欽一が犬、「まれ」では戸田恵子が人形、「ごちそうさん」では吉行和子がぬか床に転生した祖母、「おかえりモネ」では竹下景子が牡蠣に転生した祖母とユニークなキャラとして親しみを振りまいた。あとあと出てくる人物であることもあり、「カムカムエヴリバディ」では城田優がヒロインひなたの初恋の相手、「なつぞら」では内村光良が亡くなったなつのお父さんで物語に絡んできて盛り上げることもある。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
「舞いあがれ!」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK