<舞いあがれ!・子供時代編>第1週目~3週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第12回のレビュー
遊園地に行く約束にわくわくしていた舞(浅田芭路)でしたが、お父ちゃん浩太(高橋克典)の仕事が忙しくて中止になってしまいました。第11回のラストのさだまさしさんのナレーション「明日はお父ちゃんと遊園地だ!」がほんとうに楽しそうで視てるこちらも楽しみにしていたので、しょんぼり感もひとしお。
朝ドラでは事件が起こって心配したら翌日あっさり解決することがよくありますが、「舞いあがれ!」は逆。会いたかったウサギは死に、行きたかった遊園地は中止、凧に翼をつけて飛ばしたら落ちてしまう……ことごとく期待をそがれます。
期待をそがれるのはいいものではないですが、「舞いあがれ!」に関しては意地悪されている気はしません。主人公の気持ちがいったん落ちてからが本番で、そこからどうやってあがっていくかが主題だからです。
お父ちゃんも若い頃、飛行機を作りたかったけれど、家業を継がなくてはならなくなっていまに至ります。夢を諦めれたあと、どうするか……。
とはいえ、取引先の人が冷たくて、日曜劇場ぽくなってきました。会社の経営が悪くなって、お父ちゃんが追い詰められないか心配です。
日曜劇場だったら、ここからお父ちゃんの大逆転がはじまる。あるいは、お父ちゃんが失意のどん底で悲しいことになって、残された人が奮起する。そのどちらかでしょう。前者であってほしい。
舞はお父ちゃんと飛行機を作ろうとします。古本屋さんに模型飛行機の作り方の書いてある本を探しに来ます。古本屋デラシネの店主・八木巌役は又吉直樹さん。自分の詩の本をわずか2部刷っていて、それを読んだ貴司(齋藤絢永)は言葉にできないことが言葉になっていると感動するのです。
言いたいことが言えなかったのは舞だけではなく貴司もまた。だから貴司は舞の気持ちに敏感なのでしょう。
貴司が詩に救われ、自分の書いた詩を読んで「寂しくてきれいや」と心を動かす人がいたことで店主も救われて見えました。詩人で古書店店主とは又吉さんにぴったりの役ですね。寂しくてきれい、こういう概念はすてきです。
本を開いた状態で山形に置いていた客を、貼り付けにしているようなものと叱る店主。本屋でこんなふうに本を置くひどい客はいるのでしょうか。もしいたらこれを見て反省してほしいですね。
【朝ドラ辞典 聖子ちゃんカット(せいこちゃんかっと)】「舞いあがれ!」の回想シーンで永作博美がしている髪型。80年代特有の髪型である。松田聖子のトレードマークで、くるくるドライヤーで前髪とサイドを気合入れて巻いて固めたもの。セットがなかなか大変で、女子の気合の表れである。ほかに「あまちゃん」ではヤング春子役の有村架純がこの髪型にして登場した。あまりないが80年代を描く場合、登場人物がこの髪型にしがち。そして80年代が青春だった視聴者がSNS で話題にしがち。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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