<罠の戦争>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
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鶴巻(岸部一徳)を厄介払いしたい竜崎(高橋克典)の計らいで、幹事長室付近の監視カメラの映像を見ることに成功した鷲津(草彅剛)。そこには、泰生(白鳥晴都)が転落した日の夜遅く、幹事長室に駆け込む鴨井(片平なぎさ)の姿が映っていた。
険しい表情で鴨井の執務室を訪れた鷲津は、泰生を突き落とした犯人が誰なのか、鴨井を問い詰める。そして、鷲津のある言葉に一瞬顔色を変えるも、何とかその場を取り繕おうとする鴨井の姿に、鷲津は犯人が誰なのか確信する。しかし、弱者の支援に力を入れる鴨井を心から尊敬している可南子(井川遥)には、本当のことを言い出せない。
眞人(杉野遥亮)に対しても、兄の陳情をないがしろにしたのは他でもない自分だと打ち明けられずにいる鷲津は、どこか罪滅ぼしの気持ちもあり、今のうちに国会議員の立場を最大限利用して、できるだけ多くの困っている人たちを助けようと考えていた。そうとは知らない眞人は、すべての陳情に対応しようと身を粉にして働く鷲津の姿を見て、研究の道へ戻るより、秘書として鷲津を支えていく道を選ぶ。そして、梨恵(小野花梨)とともに、ある人物の家を訪ねて…。
第7話のレビュー
7話にして、ついに鷲津(草彅剛)の息子・泰生(白鳥晴都)を突き落とした真犯人が明らかになった。浮上したのは、あの鴨井大臣(片平なぎさ)の息子・文哉(味方良介)である。件のパーティの夜、鶴巻幹事長(岸部一徳)の部屋に一晩中こもっていた鴨井大臣の姿が、監視カメラに残されていた。鷲津が彼女に詰問するうちは、勘違いかもしれないと思いたい自分もいたが……。
鴨井大臣は、泰生の意識がまだ戻らないことを知り「腕の良い脳外科医を紹介する」と言ってくれた人だ。鷲津の妻・可南子(井川遥)が女性支援のNPOで働きたい希望を伝えたときも、懇意にしている先を案内してくれた。女性の立場に寄り添える、誰よりも女性の苦しみをわかってくれる人だと思っていた。
文哉は完全に黒。バイト先での評判も上々で「無口だけど穏やかで良い人」と言われている。しかし、高校卒業時に暴力沙汰を起こしていた過去があり、当時も鶴巻幹事長の力で事件を隠蔽していたことがわかった。
なぜ文哉は同級生を追いかけてまでカッターで切りつけたのか? その理由が詳述されないということは、泰生を歩道橋の上から突き落とした件も含め、自分の気に入らないことがあると瞬間沸騰する性質なのだろう。
自分の思い通りにならないと気が済まない……それは、母である鴨井大臣も一緒なのかもしれない。
前回も今回も、息子のためを思っての事件隠蔽というよりは、女性総理に一番近いとされている自身のポジションを死守するため、といった意味合いが強く感じられる。
文哉のパーソナリティについては深く描かれていない。しかし、狭いアパートに閉じ込められているような暮らしぶり、表情も感情も押し殺したような佇まいなどから察するに、仕事中心の母親から“十分な愛情を受けていなかった”のではないだろうか。
監視カメラの映像のみで息子の文哉に辿り着いたのは、鷲津一派とも言える蛯沢(杉野遥亮)、蛍原(小野花梨)、熊谷記者(宮澤エマ)たちのチームワークによるもの。鴨井大臣を罠にかけ、文哉について自白させるところまでは上手くいった。しかし……。
文哉に揺さぶりをかけるため、おとりとしての記事を出そうとしたところ、またもや鶴巻幹事長にねじ伏せられてしまう。次は、鷲津と比較的親交のある鷹野(小澤征悦)まで敵側に。次回以降の最終章で対峙することになる。
7話まで怒涛のように展開された物語を振り返ってみると、あらためてキャスト一人ひとりの妙が感じられる。若手ながら実力は十分の杉野遥亮と小野花梨、物語の手綱を握る岸部一徳、片平なぎさ、宮澤エマらはもちろんのこと、主演・草彅剛の“柔と硬のコントラスト”も光る。
蛯沢への過去の罪滅ぼしのためか、上がってくる陳情にはすべて目を通すと断言する鷲津。仲間に対しては破格の信頼+愛情で応える傍ら、敵と見做した鴨井大臣には情け容赦なし。優しさと冷たさ、同じ人間に宿る二面性を絶妙に表現しきれる役者は、そう多くはないと感じさせられる。
「“息子”のため」を行動原理としている鷲津と鴨井大臣も、見方によっては紙一重、表裏一体なのかもしれない。最終章、果たして“罠”にかけられるのはどちらなのか。
※この記事は「罠の戦争」の各話を1つにまとめたものです。
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