<ばらかもん>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
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半田清舟(杉野遥亮)が暮らす五島列島に、マネージャーの川藤鷹生(中尾明慶)がやってくる。川藤は、書道展で清舟を差し置いて大賞を受賞した若干18歳の書道家・神崎康介(荒木飛羽)と一緒だった。
同じ頃、清舟は墨汁を買うために新井商店に向かっていた。店の前にいた琴石なる(宮崎莉里沙)は、店長が不在だから何か買うときは奥の部屋にいる新井珠子(近藤華)に声をかけるよう告げる。清舟は、墨汁を手にとり、珠子に声をかけるが、何の反応もない。おそるおそる店の奥へ入っていき、珠子の部屋を開ける清舟。すると珠子は、異様なまでの集中力でマンガを描いていた。珠子が描いたマニアックなマンガを見た清舟は、「独自の世界観があってかっこいいよ」と伝える。そんな清舟の言葉に心が動いた珠子は、今度自分が描いたマンガを読んでほしい、と頼み……。
清舟が去った後、新井商店に川藤と康介が清舟の家の場所を尋ねにやってくる。店の前で貝殻を並べて売っていたなるに、清舟のことを尋ねる川藤たち。するとそこに、木戸浩志(綱啓永)と山村美和(豊嶋花)が通りかかる。事情を知った美和は、康介が清舟の悔しがる姿を見るためにわざわざやってきたものと思い、二人を清舟に会わせるな、とこっそりなるに伝える。
一方、川藤たちのウワサは村の大人たちの間にも広がっていた。郷長の木戸裕次郎(飯尾和樹)たちは、村人とともに不審者捜しを始め……。
第3話のレビュー
このドラマの魅力は、登場人物たちの素直さと、メッセージがまっすぐ伝わってくるところだ。半田(杉野遥亮)に憧れ、東京へ連れ戻そうとする18歳の天才書道家・神崎康介(荒木飛羽)は少々屈折しているように見えるけれど、それも半田を崇めるがゆえ。半田のようになりたい一心で、これまで彼が登場した雑誌をコレクションしたり、本人に会いたいがために賞に応募したりと、行動基準がわかりやすい。ただ、感情表現が少し周りくどいだけで。
半田が己の悩みと向き合い、この島で何かを見つけようとしていることもわかる。明らかに、半田はこの島に来て変わった。島の環境、そして、なる(宮崎莉里沙)たちを始めとする島民たちとの交流から、素直に学びを得ている。
「人が成長するためには、ライバルってもんが必要だろ」と言って、わざわざ神崎を連れてきた画商の川藤鷹生(中尾明慶)も、さすが半田の中学生時代からの幼馴染だ。彼の悩みの根源や、前を向くスイッチの入れ方をよくわかっている。
川藤は言う。「若いもんの役目は、失敗することを恐れずに、新境地を拓くってことなんじゃねえのか?」と。書道界で巨匠といわれる父の背中を見て育ち、書く字もそっくりになった半田にとって、基本に沿った字で賞をとるのは“成功”を意味した。そして、“失敗”はわかりやすく“悪”だった。
川藤の言葉、そして神崎というライバルの存在が、半田に気づかせる。「半田清舟じゃなければ書けない字を書きたい」と。
この島に来てからというもの、許可なく上がり込んでくる島民たちや、予期しない台風の影響、思うように拾えない餅まき、せっかくのタイを釣り損ねるなど、予定調和とはいかない暮らしを味わっている半田。
基本に沿うことで安心し、結果を出してきた半田は、ようやくこの島で何かを見つけようとしているのかもしれない。脱線し、“遊ぶ”ことで、自分にしか書けない字を模索しようとしている。
川藤はぜひ、失敗は恐れなくていい、という教えを、新井珠子(近藤華)ことたまちゃんにも教えてあげてほしい。内緒で漫画を描いている彼女が、ようやく勇気を出して半田に見てもらおうと決心した。結局3話では、川藤や神崎が来てしまったことでひと騒動あり、それが叶わなかったのだ。
若者の役目は、新境地を拓くこと。失敗してなんぼ、という真っ直ぐすぎるメッセージはそのまま、このドラマの魅力であり、唯一無二の色となりつつある。
※この記事は「ばらかもん」の各話を1つにまとめたものです。
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