<ばらかもん>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
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ある日の朝、半田清舟(杉野遥亮)が目を覚ますと、両脇には何故か山村美和(豊嶋花)と新井珠子(近藤華)が添い寝していた。そして足下には琴石なる(宮崎莉里沙)が…。
驚いて飛び起きた清舟は、カギをかけても家の中に入ってくることが出来る理由を尋ねた。すると、悪びれた様子もなく、合鍵を取り出してみせる美和。実は、美和は勝手に5本も合鍵を作っており、木戸浩志(綱啓永)含めてみんなで共有していたのだ。しかも、そのうちの1本はどこかで落としてなくしてしまったのだと言う。あ然となる清舟。美和と珠子は、そんな清舟を気にも止めずに、夏休みの宿題で習字をやらないといけないから教えて欲しい、と頼み込む。
清舟は「オレが教えるからには、絶対入賞させてやる!」と宣言し、さっそく熱血指導を開始。するとそこに、清舟にマネージャーの川藤鷹生(中尾明慶)から電話が入る。聞き耳を立てていた美和たちは、清舟が「そのときは帰るよ、東京に」と話しているのを聞いてしまう。
そんな折、書展に向けた作品が書けず、スランプに陥った清舟は港で出会った美和の父・巌(宍戸開)から趣味で買った中古船の船体に船名を書いて欲しいと頼まれる。船の登録名は“唯我独尊丸”。清舟は、筆ではなく刷毛、墨ではなくペンキ、紙ではなく船体と、いつもとはまったく違う条件の下、失敗は許されないというプレッシャーに襲われ…。
第4話のレビュー
坂元裕二脚本のドラマ「カルテット」(2017/TBS系列)にて、松たか子演じる真紀が、満島ひかり演じるすずめに投げかけた有名なセリフがある。「泣きながらご飯を食べたことのある人は、生きていけます」。「ばらかもん」第4話にて、郷長・木戸(飯尾和樹)が半田(杉野遥亮)に対し「笑いながら仕事をする人」と評するシーンを見て、笑いながら仕事をする人も生きていけるな、と思った。
たまに、みんなどうやって生きているんだろう、と不思議に思う瞬間がやってくる。
テレビをつければ暗いニュースばかり流れていて、SNSで「炎上」という言葉に触れない日はなく、仕事ではままならないことばかり。せっかく家族や友人に会っても文句や愚痴が止まらない自分を俯瞰しては「人生ってしんどい……」としみじみ思う。
「ばらかもん」に出てくる登場人物たちを見ていると、なんだか、心の水位が上がる気がする。みんなそれぞれ悩んでいることはあるし、苦しいときもあるのだろうけれど、でも、七転八倒しながらも助け合い、前を向くことを諦めていない姿に、自分も頑張れるかも、と思うのだ。
半田のスランプは続いていた。好きに、自由に、自分の思ったとおりに字を書く。口にするのは簡単だけれど、手は動いてくれない。好きに字を書けたら、それが自分の字だ。自分の字さえ書けたら東京に戻る、と心づもりまでできているのに、肝心の字が書けない。
気分転換に散歩へ出た半田は、道中で出会った島民たちの手伝いをする。自ら進んで、というより、島民たちの手腕によって自然な流れで手伝わされてしまうのだが、やっているうちに楽しくなってくる半田がかわいらしい。
石垣をつくったり、寺の寄付者の名前を書いたり、船名をペンキで大書したり。
いくら書道家といえど、船にペンキで名前を書くのは未体験。慣れない仕事を前に「失敗してはならない」とプレッシャーに潰されそうになる半田。しかし、なる(宮崎莉里沙)を始めとする子どもたちが小さな手形をつけたことで、気持ちが固まる。
手形を道標のようにして、思い切りよく字が書けたのだ。
都会を離れ、気の良い島民たちとの交流を通じ、人のあたたかさを知り、星空の美しさに心を動かされる。2023年夏クールにおいて、この「ばらかもん」は誰も傷つけず、安心して見られる平和なドラマの筆頭といえるのではないだろうか。
その後、半田は吹っ切れたように自分の字を書いた。眼前いっぱいに広がる、抜けるような星空を浴び、自分の字を見つけた。「星」という字を書くときも、彼は笑っていた。
※この記事は「ばらかもん」の各話を1つにまとめたものです。
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(C)フジテレビ